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うっかり死んだら異世界転生しちゃいました! でもここにはイイ男が全然いませーん! そんなところへ、ドSの王子様が現れました!  作者: 志村けんじ


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愛のチカラ

♢ 


「遠くに、ずいぶんとイイ男がいたと思ったから来てみたの」


 何なんですかぁーー!? この女ぁーー!? 突然現れて、藪《やぶ》から棒に!


「ホント、近くに来てみたら、益々イイ男ね。ねぇ。これからふたりでお酒飲まない?」


「ダメですぅーー! これからアーサー様は、宿に帰って、ゆっくり休むんですから!」


「なぁーにぃ。このお子様は? こんなのほっといて、ふたりで飲みに行きましょうよ。そうしましょ!」


「だから! アーサー様は、お酒なんか飲みに行きません!」


「だから、なんなの? お子様は、先に帰って寝てなさい」


「あなたこそ、何なんですかぁーー!? そんなエロい格好して、近づいてきて!」


「そうね。お子様には、まだこういう大人のオンナは無理よね」


 ムッかぁーー! この女の正体、暴いてやる!


「正体を見破る魔法!」


「アーサー様! この女、人間じゃないです! 角に尻尾に、翼まであります!」


「クッ。こうも早く、サキュバスのレイミの正体を見破るとは!?」


「やはり、そうだったか!」


「アーサー様、わかってたんですか」


「当然だ。こんなあからさまに誘惑してくる女など、そうは居ないからな」


 あっ……。でも、居るにはいるんだ……。気をつけよう。


「他の男どもは、簡単に私の誘惑に負けたのに、お前だけは違ったようだな」


「当然だ!」


「お前たち以外の他のパーティーの女たちも、インキュバスが誘惑して、その精気と生命力を吸い取ってやったからな。これで魔王様の居城に向かうバーティーで残っているのは゜、お前たちだけだ!」


「そうなのか……」


「これで、お前もお終《しま》いだな。勇者よ!」


「そうはさせません! アーサー様は、あたしが護ります!」


「そういうお前も、杖《つえ》も、あの弓矢も持っておらぬではないか!」


「そんな舐めないでください! あたしには、愛のチカラがあります!」


「よくもまぁー。そんな恥ずかしいセリフを抜けぬけと」


「光の矢の魔法! エイ!」


「当たらぬな。お前の狙っているところなど、手に取るようにわかるわ! いくらその矢を放とうと無駄だぞ」


「こんのぉーー! 動き回って、矢が当たらないんなら、押さえつけてやるぅーー!」


「なんだ!? この光の輪は!? 全然、身動きが取れん!?」


「では、あらためて、光の矢の魔法!」


「これが警戒すべき、この小娘魔法使いのチカラか……」


「どうです! これが愛のチカラです!」


「よかったわね。アーサー。無事で」


「巫琴《ミコト》の愛のチカラは偉大だな」


「そうかもしれないが……。そう他の奴に面と向かって言われると恥ずかしい……」


「あらやだ。アーサーったら、照れてるの」


「あれ? エミリさん、ライムさんどうしたんですか? 先に宿に戻ってたんじゃ」


「いえね。こういうのが、わたしたちを誘惑してきたものだから、ちょっと心配になって戻ってきたのよ」


 あっ……。さっきの女悪魔みたいなのの男版だ……。完全にボコボコにされてる……。たぶん二人に殴られたんだ……。


「こいつは生かしておいたから、いろいろと吐かせましょう」


「あぁ……」


 あぁ……アーサー様。さすがにドン引いてる。


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