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うっかり死んだら異世界転生しちゃいました! でもここにはイイ男が全然いませーん! そんなところへ、ドSの王子様が現れました!  作者: 志村けんじ


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月がきれいですね


「しかし。巫琴ミコトは、本当によく食べるな」


「いや、ホント。気持ち……良いぐらいによく食べるわよね」


「なんだ? その喉の奥に物が詰まったような言い方は?」


「とにかく、これだけ食べたいぐらいのことがあったんだろう」


「どういう意味だ、ライム」


「いや……。よくよく考えたら。ワタシたちは逆に巫琴ミコトに頼れるところは、頼った方が良いと思ってな」


「どういう意味?」


「子どもというのは、普段は甘える半面。どこかで頼りにされたいとも思うものだからな」


「何? それは母の勘というやつ?」


「そうだな……」


「でも、巫琴ミコトは、オレたちとそんなに歳が離れてるわけでもないから、そんなに子どもでもないぞ」


「でも、ワタシとは十歳じゅうも違う」


「ホント。そうは見えないわよね。うらやましい」


「ちょっとぉーー!? みなさん、あたしを外して、何をコソコソ話してるんですかぁーー!? もぉー、仲間外れにしないでくださいよぉーー!?」


「スマン、スマン。あんまりお前がよく食べるものだからな。みんなで感心していたところだ」


「そーなんですかぁーー」


「そうだ。でもな、巫琴ミコト。前にも言ったと思うが、デブにはなるなよ」


 ガーーン……。そこはやっぱり言われるんだ……。


「はい……わかってます」


「飯を食ったら、あとはゆっくりと休むぞ。だからもう少し、よく嚙んで食べろ。寝てるときの消化に悪いぞ」


「はい。そうします」


「悪い。先に出てるぞ」


「どーしたんですか、アーサー様」


「なんでもないわよ」


「気にするな」


「何か思うところもあったのかもね」


 思うところですか……。なんだろ?


「さぁ、巫琴ミコトちゃん。食べ終わったら、わたしたちも宿に戻るわよ」


「だけど、アーサーの言うとおり、よく嚙んで食べるんだぞ」


「ハーイ。なんだか、今日のライムさん。お母さんみたいです」


「そうか?」


「はい」


「なら、そうかもな」



「外に出たら、ちょっと涼しいな」


「そーですね。あっ!? アーサー様、あそこに居ましたよ」


「何をしているのかしら」


「空を見上げているな。今日の満月でも見ているのか」


「あたし。聞いてきますね。お二人は、先に宿に戻っててください」


「それじゃー、よろしくね」


「はい」



「アーサー様。何をしてるんですか?」


「あぁ。巫琴ミコトか。ちょっと、月を見ていてな……」


「満月……ですね」


「あぁ……。なぁ、巫琴ミコト。月がきれいだな」


 ん? 月がきれいだな? これは、どこかで聞いたことがあるような……。はて?


あぁーーー!? この月がきれいって、もしかしてぇーー!? もしかするとぉーー!? あの夏目なつめーー! 漱石そうせきーー! 大先生のぉーー!


 愛の告白! 月がきれいですね。なのかも!?


「どうしたんだ、巫琴ミコト。顔を赤くして」


「い……いえ……。なんでもないです」


「なぁ、巫琴ミコト。お前も、月がきれいだとは思わんか」


 それってもしかすると、あたしにも返事を求めてる!?


「あっ、はい。月がきれい……」


「その月がきれいって、私のことを言っているのかしら」


 誰なんですか、突然現れたこの女!?


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