前門の虎、後門の狼
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「つい、この間。巫琴、犬も飼ったから、猫も飼うんじゃないかって、冗談で言ってたら、ホントに飼ったわね」
「猫じゃなく、虎だけどな……」
「アーサーよ。それをいうなら、犬の方も、狼だぞ」
「名前。タマよね?」
「そうだ。あんまり、こっちでは聞かん名前だな……」
「ワタシは、もう少し、狼も虎も、もっと強そうな名前を付けてほしかった」
「あら、いいじゃない。どっちも可愛らしい名前で」
「それはそうと、 猫は、もう玉乗りを仕込まれてるぞ」
「もう。そこら辺は、どうでもよくなってきたな。聞くが二人とも。モンスターの狼と虎を引き連れてる魔法使いがどこにいる」
「何を言っている。もう、ここに居るじゃないか。目の前に」
「そうね。あの二頭を、いとも簡単に手玉に取ったわよね」
「このままシャレになるのか、これは?」
「そう思わないと、ワタシたちもやっておれん」
「おい! 巫琴! そろそろ出発するぞ!」
「わっかりました! アーサー様! ほら、ポチ、タマ。来なさい!」
「あいつに怖いものはないのか」
「あったじゃない。蜘蛛が」
「あったな……そういえば。なんだか、遠い記憶のような気もするが」
「ワタシも、そんな気がする」
「お待たせしましたーー! それじゃ、行きましょうか」
「巫琴さん。お願いしますよ。虎にも、僕たちのことを食べないように、きつく言っておいてくださいよ゜」
わかってるわよー。フレデリック。
「タマ! エサは自分でなんとかなさい! でもこの三頭の馬たちは、絶ーー対に食べちゃダメですからね!」
「ガゥ」
はい。これで、もう大丈夫!
「本当に大丈夫なんですかぁーー、巫琴さん」
大丈夫。心配しなくても。タマ、馬の味は嫌いだって言ってるし。もし食べるなら、雌が良いって、言ってるし。
「もぉーー!? 怖いこと言わないでよ、巫琴さん!?」
「それより、巫琴さん。ボクたち動物の言葉がわかる魔法。パワーアップしてません?」
あぁーー。そうかも。でもポチとタマは、モンスターからなのか、なんとなく、そう言ってるように聞こえるだけだけど。
「そうなんですねぇーー」
「なぁ、巫琴」
「あっ!? アーサー様、ちょっと、うるさかったですか? できるだけ声には出さないようにしてたんですけど」
「いや。そうじゃなくてなぁーー」
「じゃあ、なんです?」
「その……。虎か狼。どっちか前を歩いてもらえないか。二頭で、後ろを歩かれると、どうも落ち着かん」
「そうですかぁーー。じゃあ、タマが前で」
「そうしてくれると、助かる」
「タマ! あたしたちの前を歩きなさい!」
「ガゥ」
ん? あれ? 前門の虎、後門の狼と、前門の狼、後門の虎のどっちだっけ? それに、使い方の意味も違ったような……。まぁ、いっか。どうせみんなにはわからないし。




