温泉での攻防
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「ここかぁー、温泉は! 村の温泉っていうから、もっと小さいところを想像してたけど、全っ然大きい!」
「そりゃあ、100人が一度に入れるぐらいの温泉だからね」
「そーなんですかぁー!? そんなに大きいんだ」
「そうよ。さぁ、着替えましょ」
「はい」
「ちょっと、巫琴ちゃん!? なにしてるの!?」
「なにって、服を脱いでるんですけど」
「そうじゃなくって。まさか裸のまま温泉に入るつもりだった?」
「はい。そうですけど」
「あのね。巫琴ちゃんの生まれた国では、裸で入るものなんだろうけど。この国では、これを着て入るのよ」
「チューブトップで、パレオ付きの水着ですかぁ。そういえば、まわりのみなさんも着てますね」
そっかぁー。裸でみんなで温泉に入るのは日本ぐらいだって、確か聞いたことあるな。ここも、いわば海外。そーいうことかぁー。
「それとも、そんなにアーサーに裸を見せたかった?」
「そ、そんなことはないです!?」
そーだったぁーー!? 水着を着て入るから、男女一緒だったんだ。
「じゃあ、巫琴ちゃんも、これに着替えてね」
「はい。そーします」
「それにしても。エミリさん、スタイル良いなぁーー。胸もちゃんとあるし。これでホントは、男の人だっていうんだから信じられない。
試しに……。久々の正体を見破る魔法。
ん!? んんーーう!? 透視できる魔法じゃないけど、どう見ても中身は女の人。ホントに男の人?
「なにしてるの? 着替えたんなら、行くわよ」
「はっ、はい!」
びっくりしたぁーー!? エミリさんを魔法で見たのがバレたかと思った。
「なにをしていた? 二人とも遅かったな」
「オンナはね。いろいろと準備があるのよ」
あっ。アーサー様、エミリさんが、オンナって言ったら少し嫌な顔したぁーー。そうなると、やっぱりエミリさんは、男の人。
「何をしている。早く入れ。いい湯だぞ。気持ちがいい」
そーーでした。ここにホントの強敵がいました。エロいカラダをした、本当のオンナ。
「はい。失礼しまーーす」
ここは、アーサー様とライムさんの間に割って入んないと。
「おいおい。こんな狭いところに入ってこなくてもいいだろ。こんなに広いんだから」
「いやいや。どーしても、ここが一番気持ちよさそうだったんで」
「そうか? 別に変わらんと思うが」
「あーー。気持ちがいい」
「まぁ、いい。本当に癒されるな」
「本当ですねぇー。癒されますぅー。アーサー様。よかったら、お背中流しましょうか?」
「……。いや。いい。なんか、ありそうだ」
うーーん。別になんにもなかったんだけどなぁーー。もっとアーサー様と仲良くなれるチャンスだと思ったんだけど、残念。




