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うっかり死んだら異世界転生しちゃいました! でもここにはイイ男が全然いませーん! そんなところへ、ドSの王子様が現れました!  作者: 志村けんじ


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馬の鼻


「でも、ホント。巫琴ミコトちゃんといると、たまに緊張感を無くすわね」


「本当にそうだな」


「もぉーー。エミリさんもライムさんも、あたしのことバカにしてません?」


「いいじゃないか、巫琴ミコト。お前がいると、これからの辛いはずの魔王討伐の旅も楽しそうだ」


 あっ、アーサー様。あたしの頭、撫でてくれた。ベタだけど嬉しー。


 こういう楽しさって、前の世界(向こう)にいたときは、あんまりなかったな……。


「さぁ、旅を続けるぞ」



 もうすぐ、次の村に着くよぉーー。久しぶりにベッドで眠れる。


 おまけにその村には、温泉もあるみたいだしー。久しぶりのお風呂♪ お風呂♪ お風呂♪


巫琴ミコトちゃん。ずいぶんと嬉しそうね」


「そりゃーー。久しぶりのお風呂に入れますから」


「そうね」


温泉スパに入るのは、もう何年振りかだな」


「エミリさんもライムさんも、お風呂は好きですか?」


「そうね。湯船に浸かるなんてことも、滅多にないものね」


「ワタシも、久しぶりに汗で汚れたカラダを洗い流したい」


 はっ!? あたし、臭くない!? こうして、ピッタリとアーサー様にくっついてるけど!? もしそうだったら、臭いオンナだなんて思われたくないよー!


「大丈夫ですよ、巫琴ミコトさん。巫琴ミコトは、全然臭くありません」


「本当に? フレデリック」


「はい。ボクが保証します」


「でも、馬の嗅覚ってどぉなのぉーー。犬じゃないんだから」


「そんな!? 馬の嗅覚をバカにしないでください。少なくとも、人間よりは優れてるんですから!」


「ごめん、ごめん。そんなに怒らないで、フレデリック」


「……」


 あっ、黙った。


「お前は、また後ろで馬としゃべってるのか?」


「えっ、えーとぉーー。どうでしょうか」


「さっきから、全部がまる聞こえだぞ」


「あのぉーー、ひょっとして。アーサー様も、馬の言葉がわかります?」


「そんなのわかるわけないだろ。お前の話し声は、まる聞こえだ」 


「あっ、そっちでしたか」


 なんだ、そっちかぁー。安心した。聞かれて、特にまずいような話はしてないけど、たまぁーに都合が悪いときもあるもんね。


「そういうときは、口に出さずに、心の中で話せばいいんですよ」


 それはわかってるぅ。フレデリック。


「そうそう。その調子です」


 わかった。これからもみんなには言えない、あたしの内緒話に付き合ってね。


「はい。もちろんです」


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