ちょっと一休み
♢
「巫琴さん。アーサーさんの後ろで、ずっと嬉しそうですね」
「いいでしょう、別に」
「別に、悪いだなんて言ってませんよ」
「だから、チラチラと後ろを見ないで、フレデリック」
「だって、そんな巫琴さんを乗せているのが、楽しくって」
「楽しい? どうして?」
「巫琴さんの強い気持ちが伝わってくるんですよ」
「えっ!? そんなにあたしの感情って、筒抜けだったりするのぉー?」
「はいー。だから、後ろのビクターとポーラも楽しそうでしょ」
「確かに……」
「お前。さっきから一人で、なにをブツブツと喋ってるんだ?」
そっかぁーー。アーサー様たちには、馬たちの声が聞こえないんだった。
「ちょっと、考えごとをしてました」
「どんなだ?」
「どんなと申しますとぉーー」
「なんだ。本当はなにも考えてないのか」
「いや。そういうのじゃなくてですねぇーー」
「言ってみろ」
「今夜の夕食は、どんなのだろうかなぁーーって」
「なんだ。まだ夕食の時間までに、だいぶ時間があるというのに、もう腹が減ったのか」
「いや……。別に、そういうわけじゃないんですけどぉー」
「しょうがないな。夕食はまだだが、ちょっと休憩するか」
「みんな。あの木の下で、馬を少し休ませよう」
「そうね」
「わかった」
「でも、本当に便利よね。巫琴ちゃんの、隠匿の魔法」
「最初は一度に、一つのものしか仕舞っておけないって話しなそうだけど、まさか箱に入れてしまえば、そのまま一度に全部仕舞っておけるなんてね」
「だから、ワタシたちも、食うのに困らなくても済むわけだ」
「なんか、そういう言い方されると、ちょっと馬鹿にされてる気がしますぅーー」
「なにを言っている。お前がいなければ、オレたちは魔王の前に立つ前に、飢え死にするかもしれん」
「そっかぁーー。あたしって、そんなに重要なことしてたんですねぇーー」
「そうだぞ」
「でも、他のパーティーは、どうしてるんですかねぇーー?」
「それは、途中の村で食糧を確保するか、途中で食べれる生き物を捕まえるかだろうな」
「サイアクは、ヘビやカエルだな」
「もぉーー。ライムさん、そういうことを真顔で言わないでくださいよぉーー」
「本当に、サイアクは、そうなる」
「そうは、なりませんように。そうはなりませんように」
「大丈夫。そこはなんとかなるわよ。気楽にいきましょう」
「絶っ対に、ヘビやカエルは嫌ですからね!」
「わかった、わかった」
「ホントですよぉーー! 頼みましたからねー!」




