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式部省の呪詛係  作者: 浮田小葉子
第八章 御門の内
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一 忍ぶ月

 葉月(八月)が過ぎ、やがて長月(九月)も終わった。


 萩野(はぎの)は、まだ目を覚まさない。


 藤原真薫(ふじわらのちかゆき)は、時折左大臣源基隆(みなもとのもとたか)邸を訪れ、萩野の容態を確認した。


 しかし、何も変わらなかった。


 萩野は(しとね)(布団)に横たわり、静かに呼吸をしている。


 たまに、うわごとを言う。


「......くろい......」

「......こわい......」


 か細い声。


 源潔子(みなもとのゆきこ)は、毎日萩野を見舞った。


「萩野......」

 潔子は、萩野の手を取る。

「私、もうすぐ入内します。お前の犠牲を、無駄にはしません」


 潔子の声は、震えていた。



 源基隆は、諦めなかった。


 藤原道顕(ふじわらのみちあき)の妨害を乗り越え、潔子の入内準備を進めた。


 道顕は、様々な手段で妨害を続けた。


 しかし、源基隆は押し切った。


 左大臣としての権威。

 源氏としての格。


 すべてを使い、道顕と渡り合った。



 そして、神無月(十月)


 吉日が選ばれた。


 ついに、源潔子の入内が決まった。



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