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うたへうたえ  作者: うらひと
2章

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5/9

2-B 『照明の白に重なる音色たち眩しいほどに叫べ少女よ』

禁 複製転載・AI学習

「……」

 ぽろっ、と歌い終えた()()()(じり)から(なみだ)がこぼれた。

 ()()めた空気が、三人にも流れる。

「……え? なんで(みな)(だま)っちゃうの?」

 理由を知らない()()がきょとんとして、3人を見回すと、(あん)()が『いつもこの曲で泣くんだからー』とからかう。

 それにわーわーと何かを言う()()(しり)()に、(はる)()と苦笑いする()()

「いつもこうだもんなー」

「まあ……」

 すぐ()(げん)()(もど)した()()(がく)()を見直す。

「一番サビの前、()()っちのベース、ちょっとしたアレンジ加えてみてよ」

 ()()が、(とつ)(ぜん)立てられた白羽の矢に(あわ)て、コード進行を見る。

「う、うん。行け、ます」

 思わずそう言ってしまったが、アドリブはまだそれほど得意ではない。しかし、『()()が気持ちよく歌えるなら、やってみたい』と。

「四小節前から入るね」

 (はる)()が再びカウントを入れる。

「(――ベースはキラキラした音は苦手だけど)」

 一小節前、()()が歌うサビの歌いだし。ベースの細い、高いハーモニクスが響いた。

 (おどろ)いた三人の手が止まる。

「……す」

「えっ」

「すっごい! なに今のハーモニクス、きれいだったんだけど!」

 はしゃぐ()()の勢いに()され、(こん)(わく)する()()

「アドリブでそれが来たからビックリしたけど、()()的にはどう?」

 (あん)()()()(うなが)すと、首を縦に強く()った。

「採用!……って言いたいけど、これラスサビに入れたほうがカッコいいかな」

「あぁ、確かに。そんで、私たちも止めてみよっか」

「うんうん! ()()っち、ありがと!」

「……うん」

 自分の演奏で喜んでくれたなら。そう()()(あん)()した。気持ちの入った()()の声、(やさ)しくキラキラした(あん)()のキーボード、『らしくない』と言われるが(せん)(さい)なタッチの(はる)()のドラムス。

 それに()()()()うように加わる。コンクリートの(かべ)の冷たさも気にならないくらいの、ほんのり暖かい空間。

「……『(かな)でるは(あま)(おと)のようなキーボード (やさ)しい雨がスタジオ包む』」

「あっ、新作?」

「えっ、あっ、はい」

()()っち、短歌を思いつくと、すっと世界に入っていくよね」

「……つい、思いついたから」

 にこにこと(なが)めてくる()()に赤くなりながら、ベースを()きかかえた。

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