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うたへうたえ  作者: うらひと
2章

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4/9

2-A'『ためいきは白く染まって遠い青届きはしない僅かな白を』

禁 複製転載・AI学習

()()ちゃん」

「あっ()()っち、おはよー」


 冬も本格化して、()()はコートを()()んでいた。ファミレスに入ると、練習の待ち合わせの一番乗りだった()()が、(すで)に片手にシェイクを持って飲んでいた。


「寒くないの?」

「中はあったかいから逆に」


 以前、()()に根負けして(くず)した口調にした()()に、()()(うれ)しそうだ。コートを()いで丸めながら()()()(りん)で店員を呼び、『このいちごシェイクを一つ』と(たの)んだ。


「にしてもさ、()()っちのベース、ほんと『さすが経験者!』って()()さだよね」

「え、あはは……」


 照れ笑いを()かべる()()()()がにこにこしていると、(あん)()(はる)()もやってきた。二人が(すわ)れるように席を()めた。


「お(つか)れ!」

(あん)()(はる)()、おっつー」

()()、今日はどうする?」

「そだねえ、『星の忘れ物』やろっか。(はる)()もいい?」


 手元の(けい)(たい)(いじ)っていた(はる)()も顔を起こしてにかっと笑う。


「いいよー!」

「おっけ、それでいこう。じゃあ、(たの)んだもの飲んだら会計するね」

「はーい」


 休みの日の夕暮れ。ファミレスが少し混み始めた(ころ)()いで、4人は練習スタジオへと向かった。


 練習スタジオの機材のセッティングを終えて、少し()(ぜま)な空間で一息つく。


()()、今日はテンポ(おそ)くする?」

「いや、いつも通りで一度通そう」


 とたたタたたとたたタたた。

 (はる)()(てい)(ねい)に3(れん)()を刻む、4拍を4つ数えて、キーボードが入る。きらきらとしたエレキピアノ。()()が短歌を思いつくよりも早く、()()もベースで入る。歌いだしは、ボーカルの()()


――遠い空 (はな)れても 君といた あの時間を


 聞けば、()()のいとこがバンドを()(だつ)した後に、()()が自分だけで書いた歌詞らしい。それまでは手伝ってもらいながらだったので、この曲はまだ不慣れなのを感じる、と(あん)()も言っていた。それは()()自身も分かっていたが、(あん)()はこうも言っていた。


『――でも、()()らしい歌なんだよね。ああ見えて元気いっぱいというより、キラキラした歌詞が好きだから』

『そうなんですか……』

()()が、()()ちゃんに入ってほしいと強く思ったのも、この歌詞を見ると分かるでしょ?』


 (さび)しそうな色が()かぶ()()(ひとみ)()かれるけれど、見続けてよいのだろうか。ベースを()きながら、()()は目を閉じて願う。

 その色が、夕焼けのように()(れい)な色になりますように、と。

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