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獄門ループ ―家族が消えた日―  作者: ダダ太郎


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ショック

――一之宮はどうした?


あいつは、桜にメモを渡したはずじゃなかったのか。

何が起きた?


「あ……いや……場所、間違えたかもな……はは」


取り繕うように笑いながら、

俺はそっとドアを閉めようとする。


その瞬間――


「間違ってないよ」


静かに、でもはっきりとした声。


郁美はひらりと一枚の紙を掲げた。


見覚えのある――

いや、見間違えるはずがない。


俺が一之宮に渡した、あのメモ。


ドクン、と心臓が大きく鳴る。


「あれ……なんで、それ持ってるの?」


喉がわずかに乾く。


郁美は首をかしげながら、

あっさりと言った。


「んー……?

一之宮くんがくれたよ?」


「……そっか……」


短く返したものの、

頭の中は混乱していた。


「達也くん、私がいるのに、

別の女と二人で会おうとしてたんだ……

ショックだなー……」


軽い口調。

けれど、その奥にあるものが、笑っていない。


「そういうんじゃ――」


言いかけた言葉は、最後まで続かなかった。

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