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リア充
――ふう。
小さく息をついた。
とりあえず、これで段取りはできた。
うまくいけば、放課後に桜と話せる。
昼間のこと。
郁美の異変。
健さんの呪いの話。
全部、一度ちゃんと話しておきたかった。
俺は気持ちを切り替えるように前を向き、
今度こそ授業に意識を向けた。
六限が終わり、教室にざわめきが戻る。
俺は荷物をまとめながら、
隣の一之宮に声をかけた。
「悪いな……面倒なこと頼んで」
一之宮は肩をすくめて、軽く笑う。
「いや、深い事情は知らないけどさ。
困ってるのはわかったし」
その一言に、少しだけ肩の力が抜けた。
「ほんと助かる。
今度、ジュースでも奢らせてくれよ」
「いいって。
どうせ俺も、彼女に会いに行くついでだし」
さらっと言いやがる。
「このリア充が」
思わずぼそっと返すと、
「お前が言うか」
間髪入れずにツッコミが飛んできた。
一瞬、言葉に詰まったあと――
お互いに、ふっと笑いがこぼれる。
さっきまでの重たい空気が、
少しだけ和らいだ気がした。
「じゃ、頼んだ」
「ああ、任せとけ」
短く言葉を交わし、
俺たちはそれぞれの方向へと歩き出した。




