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メモ
――ただ、問題はタイミングだ。
学校にいる限り、当然ながら郁美もいる。
もし桜と話しているところを見つかったら――
間違いなく、面倒なことになる。
……いや、“面倒”で済めばいい方かもしれない。
となると、どうにかして郁美の目をかいくぐる必要がある。
けれど、あの様子じゃ、
少しでも隙を見せればすぐに張り付いてくるだろう。
どうする……。
そう考えていたとき、
不意に視線がぶつかった。
隣の席――一之宮。
彼は、クラスでも数少ない“彼女持ち”の男子だ。
さっきの騒ぎの中でも、
集団には加わらず落ち着いていたのを思い出す。
……あいつなら。
この状況を理解してくれるかもしれない。
俺は一之宮に、そっとメモを滑らせた。
『変な誤解してほしくないんだけど、
一つお願いしてもいいか?』
少しして、返ってきた文字。
『どした?』
俺は続けて書く。
『このメモを、放課後に桜へ渡してくれないか?』
そうして、もう一枚の紙を差し出した。
――内容はシンプルだ。
『今日の放課後15:50分に、
C館の屋上に来てほしい 達也』
余計な言葉は要らない。
今は、とにかく話す場が必要だった。




