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ゴキブリ以下
女子たちのひそひそ声が、
小さく耳に入ってくる。
「え、サイテー……」
「えー、達也くんって、そんな節操ないの?」
「結局どっちと付き合ってるの……?」
一方で、男子たちは――
もっと露骨だった。
指を鳴らす音が、
やけに大きく響く。
「ふーん……殺処分かな♡」
「死……? 死など生ぬるいわ……!」
「うぬら、準備はいいな? 血祭りじゃ」
先頭に立っているのは、
見なくても関谷だとわかる。
あいつ、俺の親友やめたんかな。
俺はクラスの中の立ち位置が、
みるみる怪しくなるどころか、
カーストの最下層よりも下。
ゴキブリ以下の立ち位置に、
転げ落ちるのをリアルタイムで、
肌身をもって感じていた。
――どうすりゃいい。
郁美の機嫌を損ねず、
なおかつ男子の恨みも買わないようにする?
そんなの、
両手を使わずに腕立てしろって言われてるようなもんだ。
無理に決まってる。
……よし、割り切るしかない。
男子は一旦、捨てだ。
あいつらは単純だから、
あとで桜に頭を下げて、
女子を紹介してもらう段取りでも作れば、
すぐ機嫌は戻るだろう。
問題は――
女子の方だ。




