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あーん
「す、すごいな……」
思わず漏れた言葉に、
郁美はぱっと顔を輝かせた。
「すごいでしょ?
私、頑張ったんだよ!」
誇らしげに、
でもどこか無邪気に笑う。
その目はきらきらと光っていて、
まっすぐすぎるほどだった。
次の瞬間、
郁美は卵焼きを一つつまみ、
そのまま俺の口元へと差し出してくる。
……やっぱり、そうなるよな。
「はい、あーん!」
「ぴぎゅpjぅギアポsg日ぴゃ」
どこかで、
魂の断末魔みたいな声が聞こえた気がした。
……気のせいだ、きっと。
ここで拒めば、
さらに面倒なことになる――
そんな確信があった。
俺は観念して、
差し出された卵焼きを口に運ぶ。
ふわりとした食感と、
優しい甘さが広がった。
「どう? 美味しい?」
期待に満ちた視線。
「……うん。美味い」
そう答えると、
郁美の表情がぱっと弾けた。
「そっか! よかった!!!」
心の底から嬉しそうに笑って、
小さくガッツポーズを作る。
その仕草は、
どこまでも純粋で――
だからこそ、
少しだけ、胸の奥がざわついた。




