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不気味
「私、お弁当作ってきたんだ!」
満面の笑みでそう言う郁美。
その無邪気さとは裏腹に、
教室の隅からは痛いほどの視線が突き刺さっていた。
さっきまで土下座していた連中が、
今度は無言で俺を睨みつけている。
……怖いんだけど。
それでも郁美は、
まったく気にする様子もなく、
俺にぴったりとくっついたままだ。
正直に言えば――
少し、ぐらっとくる。
こうして頼られて、
好意を向けられて、
嬉しくないはずがない。
けど。
――違う。
胸の奥に、
はっきりとした違和感が残る。
これは、
俺の知っている郁美じゃない。
郁美は本来、
もっと控えめで、どこか臆病で。
でもその分、
優しさと芯の強さをちゃんと持っていた。
目の前のこの姿は――
それとは、あまりにもかけ離れている。
甘さの裏に、
何か得体の知れないものが混じっているような感覚。
その不気味さに、
さっきまで揺れていた感情が、
すっと冷えていった。




