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獄門ループ ―家族が消えた日―  作者: ダダ太郎


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書き込み

『達也くん好き好き大好き好き愛してる大好きキスしたい……』


余白という余白が、

すべて文字で埋め尽くされている。


同じようなフレーズが、

狂気じみた密度で、


何度も何度も書き連ねられていた。


「……ん?」


思わず動きを止めた俺を訝しんだのか、

隣の席の一之宮遼平が教科書を覗き込む。


次の瞬間。


「うぇっ……!」


短い悲鳴を上げて、

彼は椅子ごと後ろにのけぞった。


「どうした? 早くしろー」


教師の呑気な声が、

やけに遠くに聞こえる。


「あ、あ……すみません」


俺は教科書を握り直す。


紙に残る妙な感触が、

やけに生々しい。


「……We are……」


震える声で、

なんとか英文を読み上げる。


だがその間も、


視界の端では、

びっしりと書き込まれた文字が、


消えずに焼き付いていた。


どうにか読み終えて席に着くと、

一之宮がそっと身を乗り出してきた。


「なあ……もしかして、

その教科書の書き込みって……


郁美ちゃん?」


「……多分な」


短く答えると、

そいつは一瞬言葉を失い、


それからぎこちなく笑った。


「そ、そうなんだ……。


なんか、イメージと全然違うな。

はは……」


引きつった笑みのまま、

気まずそうに前へ向き直る。

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