戦場!
その横で、
メモ帳に「文化祭=出会い」と
太字で書き込む奴までいる。
――頼むから、
俺を恋愛マスターみたいに扱うのはやめてくれ。
俺はただ、
苦笑いを浮かべるしかなかった。
「決戦の日は――12月11日、12日!」
関谷は、
教卓にでも立っているかのような勢いで声を張り上げた。
「東高祭最大の山場!
キャンプファイアーで共に踊る女子を
見つけられるかどうかが、すべてを分ける!!
いいか諸君、
東高祭には毎年、他校の女子が来る!
その中から運命の相手を見つけ、
声をかけ、成功した者だけが――」
ぐいっと拳を握りしめる。
「キャンプファイアーの先に待つ――
Christmasという名のイベンツへと辿り着けるのだ!!」
男子たちが、
ごくりと喉を鳴らす音が、やけに大きく聞こえた。
「もちろん!」
関谷は畳みかける。
「自校の女子との、
思わぬところから始まるドラマも見逃してはならない!
つまり――この文化祭は戦場!!
敗者はドブ水を啜りながら、
リア充を横目に血涙を流す生活が待っており、
勝者には……
青春という名の……春が来る!!
そういう事を達也さんは言っておられるのだ!!」
「言ってねえよ!!」
一応ツッコむが、
もう彼らの耳には、俺の声など聞こえていない。
キャンプファイアーで女子と踊り、
そのままクリスマスのイルミネーションの下で
手を繋いで歩く――
そんな妄想が、
男子たちの脳内を洪水のように駆け巡っているのが、
表情を見れば一目でわかる。
そのときだった。
ガラッ、と教室の扉が開く音がして、
次の授業の先生が入ってくる。
「おーい、もう始めるぞ」
まだ言いたいことが山ほどありそうな顔をしたまま、
関谷含む男子たちは、
名残惜しそうに俺を見たが、
さすがに先生の前ではどうしようもない。
「ちっ……」
「続きは昼休みだな……」
そんな小声を漏らしつつ、
渋々それぞれ自分の席へ戻っていった。
ようやく、
教室に日常の空気が戻る。
俺は深く息を吐き、
椅子に背中を預けた。




