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獄門ループ ―家族が消えた日―  作者: ダダ太郎


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亡霊

次の授業に備えて、

各自が教科書やノートを取り出し始める中、


教室の一角だけが妙にざわついていた。


視線をやると、

関谷を中心に男子数人が身を寄せ合い、


まるで密談でもしているかのように、

小声でゴニョゴニョと話し込んでいる。


――嫌な予感しかしない。


やがて話し合いが終わったらしく、

一同はふっと顔を上げた。


次の瞬間、

関谷を先頭に、


肩を落とし、体を左右に揺らしながら、

幽霊の行進のようにこちらへ近づいてくる。


そして、


ダァンッ!!


鈍い音とともに、

関谷が俺の机に両手を叩きつけた。


「弟子にしてください!!」


勢いよく頭を下げられ、

俺は思わず間の抜けた声を出す。


「……え?」


「どうやったら郁美ちゃんみたいな可愛い子と

付き合えるんすか!?


っていうか、

いつの間にあんな仲良くなったんすか!?」


関谷が詰め寄ると、

それを合図にしたかのように、


周囲の男子たちもゾロゾロと集まってきた。


「俺にも教えてください!」

「パシリでも何でもしますんで!」

「靴……舐めましょか?」


最後の一言に、

思わず吹き出しそうになる。


「いやいや……」


俺は完全に言葉を失った。


違う、そうじゃない――

そう言いたいのは山々だが、


ここで下手に否定すれば、

今度は非難の集中砲火を浴びる未来しか見えない。


どうしたものかと頭を抱えていると、

関谷が一歩前に出て、片手を上げた。


「まあまあ、みんな落ち着けって」


場を制するように言ってから、

ニヤリと笑う。


「俺の“親友”が困ってるだろ?


物事には順番ってもんがあんだよ。


なあ、達也?」


そう言って、

関谷はグイッと顔を近づけてきた。


近すぎる距離と、

その目に宿る妙な熱に、


俺は言いようのない不安を覚えた。

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