02話 光の三原色と慈愛の純白と破滅の黒
「いつの日か、強くなった君が私を殺して…全てを終わらせる。」
僕は神である刹那さんにそう言われた。
あまりに唐突な事、そして彼女を殺すという事を重く受け止め、先の僕に任せる事にした。
「その時が来たら決めるよ。だからその時まで待っていてほしい。まぁ『その時が来たら』……だけどね。」
「うん! じゃあ気長に待ってるよ!」
「そう言えば、今後の予定ってないのか? 具体的には僕達の行くところとか…」
僕の問いに刹那さんは問いで返した。
「優夜くんは行きたいところとかない? あるなら今すぐに行くけど……」
「行きたい世界?」
僕には記憶が無いから、行きたい世界を知らない。
なので刹那さんに聞いてみることにした。
「僕は記憶がないから分からないよ。刹那さんは行きたい世界は無いの?」
「私はもう、全ての世界を旅したからね。行きたい世界は無いかな。あっ…じゃあ、私が今から優夜くんにオススメの世界を言うからどれか決めてね!」
刹那さんは続け様に世界を4つ言った。
「一つ目の世界は、魔法世界リリアル。」
「二つ目の世界は、機巧世界ギリアル。」
「三つ目の世界は、古代世界コリアル。」
「四つ目の世界は、闘志世界ベリアル。」
「この世界の中のどの世界に行きたい? 私はどこでも良いよ!」
僕はこれから行く世界を迷うことなく即決した。
「魔法世界リリアルに行きたい! なんか、魔法って言葉に気を惹かれる。」
「魔法世界リリアルね! この世界は魔法で溢れているからね。とっても夢があるよ!」
「その魔法って何? なんか知らない単語なのに聞いてるだけだワクワクする響きだけど…」
「魔法を簡単に言えば、魔力と言う世界に溢れている力を取り込んだ生物達が扱う、物理法則を無視した超常現象……かな。」
「僕も魔法使えるかな…」
夢を見る僕に刹那さんは現実を突きつける。
「残念だけど、優夜くんは魔法が使えないよ。」
「僕は使えないのか…理由を教えてほしいな。」
「理由は簡単だよ! 優夜くんは魔力で溢れてて魔法が当たり前の世界で生活してこなかったから。
昨日まで地上で肺呼吸してた人に、いきなり水中でエラ呼吸しろって言われても無理でしょ? 魔法がある世界に居る生物は、進化の過程で魔法を使える身体になったけど、優夜くんはその身体をしてないからね。」
「なるほど…じゃあどう足掻いても使えないのか」
僕は少しがっかりしたけど、魔法がある世界に行けるだけでも贅沢か、と思い割り切った。
刹那さんはそんな僕を見たからなのか、励ますようにフォローした。
「でもね、優夜くんは魔法なんかとは比べほどもないくらいに珍しくて強い力を持っているんだよ!」
「強い力?」
「うん! スキルって言うんだけど。」
「スキル? 何それ?」
「私から切り出しといてなんだけど、スキルの説明はリリアルに着いてからするね! だって、今日はまだ説明しないといけないことが沢山あるし、優夜くんも色々あって混乱してると思うから。」
その時、急に何もないところから黒い服を着た女の人が現れ、刹那さんの前で膝を付いて「準備が整いました。」と言っていた。
刹那さんは女の人に「ご苦労さま。」と言っていた。女の人がその場を去ろうとした時、僕と目が合った気がした。
「じゃあ、準備ができたし、早速行こうか!」
「あ…うん。」
そうして魔法世界リリアルへと向かった。
♢
「いざ、新たなる世界へ、しゅっぱーつ!」
刹那さんの声と共に辺りの景色が加速する。
「なにこれ…めちゃくちゃ綺麗。」
辺りの景色は一変して、黒い宇宙に星が輝いていた先ほどの光景とは別に、赤色と緑色と青色の三色が白い光に包まれていた。
それはまるで、やんちゃな子供達が母に愛され、恩恵を受けるかのようだった。
「綺麗でしょ! 私はこの景色が好きなんだ!」
色達が段々と重なって行く中で、突如、三色の中心からあまりにも異質な黒色が現れた。
「何あれ…黒? 嫌な感じ。」
黒が辺り一帯をどんどん侵食していく。
そしてそれに立ち向かうかのように三色は重なっていく。
それは赤の勇者と緑の勇者と青の勇者が強大な黒の魔王に立ち向かっているようだった。
パァァァァァァァ
「―――っ、何?」
急に僕達は白い光で包まれた。
先ほど赤と緑と青を包んでいた白色だ。
光が収まると僕は目を開けた。
♢
「さっきは何が起こったの? それにここは…宇宙か。あれ、でもなんか…宇宙が青い?」
最初に居た宇宙は黒色だったが、今いる宇宙は、何故か青かった。
「刹那さん、なんな宇宙が青いよ…なんでなの?」
その時、刹那さんの空色のグラデーションの髪と目が青色になった気がした。
「青色の宇宙は無限の派閥だね。優夜くんは知らないと思うけど、宇宙は色んな色があるんだよ。青色、赤色、緑色。宇宙の色は、属している派閥で決まるんだ。」
「その派閥? ってのは何?」
「派閥はね、名目上の支配地みたいなものだよ。
始原の4柱ってのが支配している宇宙を、分かりやすく色で表した感じ……かな。」
何となく分かった。
「じゃあさっきの空間で溢れてた色が、宇宙の色に関係してるって事か?」
「そうだよ。」
あれ? でもさっきの空間であった色は、白、黒、赤、青、緑の5色だった気が…4柱なんだよね? あと一つはなんだろう?
「そう言えば、さっき居た宇宙は黒色だったよね?黒色はなんの派閥なの?」
空色だった刹那さんの髪と瞳が、影が差したのか黒くなり答えた。
「黒はね、駄目なんだ。その色が示すのは始まりでも終わりでも、存続でもなく……ただの罪だよ。」
なんか聞いてはいけないことを聞いた気がした。
刹那さんは沈黙の後、何事も無かったかのように切り替えて目的の世界の話をした。
「じゃあ、城の中に入ろうか!」
「城の中? 直接行くんじゃないの?」
「今から行くのは門だよ! 魔法世界リリアルと、この地を繋いでいる。だから…ね。一緒に城内に行こうよ!」
刹那さんは『始まりの間』で僕の手を繋いだ時のように僕の手を持って城内へと歩き出した。
執筆リズムを整えるため、今後は1話3000文字前後を目安に更新していきます!
本作は、連載中の本編『配神者』と深くリンクしています。あちらを読んでから本作を読み返すと、より世界観の「裏側」を楽しめるはずです。
次回は今日21時頃に投稿します。お楽しみに!
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