表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄、承りました。ですが私の管理していた「国家予算」「精霊の加護」「魔導防衛網」は全て私有財産ですので、回収させていただきますわね?  作者: 桐谷ルナ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
40/75

第40話:多次元帝国の建国記念日:世界で最も「幸せな独裁」の始まり

宇宙の全次元が黄金の輝きに満たされる日――『多次元帝国アルカディア』の建国記念日。

 統治中枢『ヴォイド・コア』は、いまや数千の銀河が花々のように咲き乱れる、壮麗な空中庭園へと変貌していた。


 次元を跨ぐ巨大なパレードの先頭を行くのは、第7世界の勇者アリス率いる『帝国監査騎士団』。彼らが掲げる旗には、剣ではなく「黄金の天秤」が描かれている。

 その後ろには、かつて救い出された数百人の「エリザベート」たちが、各次元の代表として優雅に馬車を連ねていた。


「――見てくださいな、陛下。……空を彩るあの打ち上げ花火。……あれ、先日リサイクルした『元王子ジュリアン』と『元神官テオス』たちの魔力残滓ですわ。……最後まで、実に見事な燃えっぷり(還元効率)ですこと」


 バルコニーに立つエリザベートが、隣のカエルス皇帝に微笑みかける。

 夜空を焦がす鮮やかな光は、かつて彼女を虐げた者たちの「存在そのもの」を消費して生み出された、最も贅沢な供養ざまぁであった。


「ああ。……無能なゴミでも、君の手に掛かればこれほどの輝きを放つ。……宇宙は、ようやく正しい持ちオーナーを手に入れたということだな」


 エリザベートは、全次元に中継されている魔導カメラに向かって、静かに扇を広げた。

 彼女の声は、帝国の「新・物理法則」を通じて、全住民の意識に直接響き渡る。


「――全次元の民よ。……本日をもって、宇宙の『不況(不幸)』は完全に終了いたしました。……これからの私の統治下において、不幸になることは『規約違反』であり、絶望することは『重大な過失』とみなされますわ」


 女帝の瞳が、紫水晶のような神秘的な輝きを放つ。


「私は貴方たちに、完璧な安全と、正当な努力が報われる公平な市場を約束いたします。……その代わり、貴方たちの『意思』と『未来』は、すべて私が投資プロデュースさせていただきますわ。……幸せを享受し、私に莫大な利息(魔力)を返し続けなさい。……不服申し立ては、一切受け付けませんわよ?」


『総幸福 = 全宇宙にわたる(意思 × 自由)の積分 → 無限大』


 エリザベートが数式を虚空に刻むと、全次元の空に「幸福の雨」が降り注いだ。

 病は癒え、飢えは消え、理不尽な脚本は灰となり、全宇宙が女帝の鼓動と同調リンクする。


「……さて。……公式行事はこれくらいにしましょうか。……セレーネ。……パレードの後の祝杯は、陛下の私室に運びなさい。……今夜は、仕事の監査ではなく……この宇宙で唯一、私の計算が狂う『陛下の愛』をじっくりと堪能したい気分ですわ」


「御意、お嬢様。……既に、全次元の時間を一時的に『陛下専用の保存期間』としてロックしております」


 黄金の女帝は、漆黒の皇帝の腕をとり、歓喜に沸く宇宙を背に、二人だけの聖域へと歩を進めた。

 それは、終わりのない繁栄と、至高の独裁が始まる、神話の第一章の終わりであった。

 「第一部・多次元帝国建国編」、これにて完結ですわ。

 断罪された令嬢が、宇宙の帳簿をひとりで締められるところまで参りました。

 かつての敵は打ち上げ花火になり、住民には幸せが課税されております。……悪くない決算でしょう?

 ここまでお付き合いくださって、ありがとうございました。【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】は、次の事業への出資として頂戴いたします。

 次は、まだ帝国の版図に入っていない場所へ。死後の世界の門番が、履歴書を持って待っておりますわ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ