第38話:原典編纂委員会の総会:上告は却下。貴方たちの「存在意義」は負債です
全次元の「原典」が保管される聖域、編纂委員会本部の円卓会議場。
そこには、各世界の「編集長」を自称する高次元存在たちが、真っ青な顔で沈黙していた。
会議場の重厚な扉が、物理法則を無視した圧力で吹き飛ぶ。
現れたのは、黄金の魔力をオーラのように纏い、漆黒の皇帝を従えたエリザベート。
そして彼女の背後には、数千、数万という「救済された令嬢と英雄たち」が、帝国の株主として列をなしていた。
「――皆様。……予告通り、本日この時刻をもって『原典編纂委員会』の臨時株主総会を開催いたしますわ」
エリザベートが中央の演壇に立ち、冷徹な視線で委員たちを射抜く。
「お、おのれエリザベート! 貴様は分かっていない! 悲劇があるからこそ、読者(観測者)は感動し、世界はエネルギーを得るのだ! 貴様のハッピーエンド独占は、物語の死だ!」
最高編集長が叫ぶが、エリザベートは扇をパチンと閉じ、鼻で笑った。
「感動? ……ふふ、笑わせないで。……貴方たちの言う『感動』とやらのコストパフォーマンスを計算したことがおあり? ……セレーネ、本年度の『物語運営報告書』を」
「は。……委員会による『悲劇運営』のROI(投資利益率)は、過去一万年でマイナス $$98.7\%$$。……対して、エリザベート陛下による『幸福経営』の魔力生産性は、前年比で $$4000\%$$ の成長を記録しております」
エリザベートは、絶句する編集長たちに巨大な数式を突きつけた。
$$ \text{Total Waste} = \sum (\text{Talent Loss} + \text{Economic Stagnation}) - \text{Temporary Catharsis} $$
「いいですか? 一人の有能な悪役令嬢を殺して得られる一瞬の快感よりも、彼女を生かして国を富ませる方が、宇宙全体の『資産価値』は遥かに高まります。……貴方たちは、私という『超優良資産』を、目先の『お約束』のためにドブに捨て続けてきた。……これは明白な『善管注意義務違反』ですわ」
「そ、そんな……。数字で物語を語るなど……!」
「数字は嘘をつきませんわ。……そして何より、この会場に集まった方々の声を聞きなさいな」
エリザベートが合図すると、背後に控えていた数万の株主(被害者たち)が一斉に叫んだ。
『無能な経営陣は退陣しろ!』
『私たちの人生を勝手に脚本するな!』
『損害賠償を支払え!』
「……さて。……議決権の $$95\%$$ は、既に私が掌握しております。……原典編纂委員会の現役員は全員、本日をもって『解任』ですわ。……抗弁は認めません。……上告も、私が却下いたします」
「ぐ、あああ……! 私たちの聖なるペンが、折れていく……!」
カエルスが静かに剣を抜いた。
彼の刃は、委員たちが拠り所にしていた「物語の強制力」を、ただの紙切れのように切り裂いていく。
「――脚本(文字)で、私の妻の覇道を止められると思うな。……これからの宇宙には、ただ一つの『法』――エリザベートの意思があれば十分だ」
委員会の聖域が黄金の炎に包まれ、古臭い「悲劇の記録」が灰へと変わっていく。
それは、全宇宙の住人が、自らの運命の「記述権」を奪還した瞬間であった。
「物語の面白さ」という曖昧な言葉を、ROI(投資利益率)で論破し、
委員会の幹部を「特別背任罪」で解任する……。
これぞ、エリザベート様による、メタ視点すらも買収する「究極のガバナンス」ですわね。
「悲劇はコストの無駄」と言い切る女帝の冷徹な合理性に痺れていただけましたら、
ぜひ【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価で、新宇宙の「筆頭株主」として彼女を応援してくださいな。
皆様の評価がある限り、エリザベート様は不条理な脚本をすべてシュレッダーにかけ、
「全人類が黒字になる」という前代未聞の神話を書き上げられることでしょう。
次回、第39話『概念のM&A:宇宙の法則を「私のルール」で塗り替えましょう』。
物理法則や魔法の理すらも、エリザベート様の「社内規程」に統合されます。
お楽しみに。




