第37話:運命の強制執行:ヒロインの「逆ハーレム」を独占禁止法で解体なさい
第77並行世界、フローラ王国の王宮。
先ほどまでフローラを囲んで「愛の誓い」を競い合っていた五人の王子や騎士たちは、エリザベートが放った「魅了解除(監査波動)」により、冷水を浴びせられたような顔で立ち尽くしていた。
「……私は、何をしていたんだ? 国境の警備計画を放り出して、なぜここで花を摘んでいた……?」
「この女が転んだだけで、なぜ国家予算を投じて『道に絨毯を敷く』などという愚行を……!」
己の無能さに戦慄する男たち。そんな彼らを見下ろし、エリザベートは冷酷に告げる。
「ようやく、ご自分の『市場価値の暴落』に気付かれましたかしら? ……皆様。貴方たちがこの女に捧げた時間は、この国のGDPを $$20\%$$ 押し下げ、教育水準を五十年退化させましたわ」
「そ、そんな……! 酷いよ、みんな私を愛してくれていたのに!」
フローラが涙を浮かべて叫ぶが、エリザベートは眉一つ動かさない。
「愛? ……いいえ、それは『共依存による不当な独占』ですわ。……セレーネ、独占禁止法第12条に基づく『排除措置命令』を読み上げなさい」
「は。……被疑者フローラ。貴女は自身の特殊能力を用い、本来であれば複数の公務に従事すべき優秀な人材(王子ら5名)を私的に囲い込み、他者との自由な競争(婚姻・外交)を阻害しました。これは『人材の私的独占』および『不公正な取引方法』に該当します」
セレーネが虚空に書類を提示すると、フローラと男たちの間に結ばれていた「運命の赤い糸」が、まるで古いゴムのようにパチンと弾け飛んだ。
「あ、赤い糸が……! 私のハッピーエンドが……!」
「ハッピーエンドは、個人の利益ですわ。……ですが、帝国の法は『全体の公益』を優先いたします。……王子様方。貴方たちには、失われた国力を回復させるための『強制労働』を命じますわ」
エリザベートが指を鳴らすと、次元の扉が開き、そこから「帝国インフラ建設局」のヘルメットを被ったセドリック(第102世界の元王子、現在は現場監督)が現れた。
「……陛下、新人ですか? ちょうど『多次元高速道路』の舗装作業が人手不足でして」
「ええ。この五人、顔だけは良いようですから、客寄せパンダとして工事現場の看板娘――いえ、看板息子にでもなさいな。……もちろん、完工するまで休暇(恋愛)は一切禁止ですわよ」
「待って! 行かないで! 私の王子様たちっ!」
縋り付くフローラを、カエルスが冷たい一瞥で突き放す。
「……煩い女だ。……エリザベート、この『バグの原因』はどうする。……存在ごと消去するか?」
「いいえ。……彼女には、自分が浪費した『他人の時間』の重さを、その身で償っていただきますわ。……フローラさん。貴女は今日から、帝国の『全次元向けマナー・コンプライアンス研修』のVTRに出演する『悪い見本』として、永遠に自分の失敗を解説し続けなさいな」
女帝の判決。
それは、愛という名の甘えを「組織犯罪」として処理する、最も合理的で情け容赦のない終止符だった。
「逆ハーレム」を「人材の独占禁止法違反」で解体し、
王子たちを「道路工事」へ送り出す……。
これぞ、エリザベート様による、全宇宙の「労働適正化」ですわね。
愛の幻想が数字と法に負ける瞬間に痺れていただけましたら、
ぜひ【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価で、帝国の「人材配置適正化」を応援してくださいな。
皆様の評価がある限り、エリザベート様は宇宙の「ご都合主義ヒロイン」から特権を剥奪し、
「真に働く者が報われる」という鋼の秩序を維持されることでしょう。
次回、第38話『原典編纂委員会の総会:上告は却下。貴方たちの「存在意義」は負債です』。
ついに物語の黒幕、委員会の幹部たちとの「最終株主総会」が始まります。
お楽しみに。




