第33話:デスゲーム運営の監査:その「命のチップ」、換金性はありますの?
第44並行世界。そこは、富裕層がスラムの人間を集め、命を賭けた残虐なゲームを観戦して愉しむ「絶望の闘技場」だった。
「さあ、愚民ども! 最後に残った一人にだけ、莫大な賞金と自由を与えよう! 賭けるのはお前たちの命、ただそれだけだ!」
不気味な仮面をつけた『主催者』が、空中モニター越しに高笑いする。
怯える参加者たちの前に、鋭い刃を備えた処刑ロボットや魔獣が解き放たれようとした、その瞬間。
「――お待たせいたしましたわ。……随分と、レートの低い『闇カジノ』を開いていらっしゃいますのね」
黄金の光と共に、闘技場の中央に優雅なソファーとティーセット、そして女帝エリザベートが降臨した。
阿鼻叫喚の場に似つかわしくない気品。参加者も、そして主催者も、その圧倒的な「格」に言葉を失う。
「な……何だ貴様は! 外部からの乱入は規約違反だぞ!」
「規約? ……あら、失礼。……その『規約』とやらを精査させていただきましたが、あまりにも杜撰で失笑いたしましたわ。……セレーネ、このゲームの『資産価値』を算出しなさい」
「は。……参加者五百名の『期待寿命』および『潜在的労働価値』を金銭換算。……合計、銀貨五千億枚。……対して、主催者が用意した『賞金』は、その一万分の一にも満たない『不良債権』ですわ、お嬢様」
エリザベートは、震える参加者の一人が持たされていた「命のチップ」を指先で弄んだ。
「主催者さん。貴方は『命を賭けろ』と仰いましたわね? ……ですが、このチップ、帝国の市場では『換金性ゼロ』のただのゴミですわ。……価値のないものを担保にゲームを成立させるなんて、これは明白な『詐欺罪』、および『不当景品類及び不当表示防止法違反』に当たりますのよ?」
「黙れ! ここは私の世界だ! 命こそが最高の価値――」
「――価値を決めるのは、貴方ではなく『市場』ですわ」
エリザベートが指を鳴らすと、闘技場の天井が物理的に「差し押さえ」の魔力鎖で封印された。
「貴方の運営資金、どこから出ているか調べさせていただきました。……過去に私が買収した『旧・天界銀行』からの無断融資ですわね。……本日、全額の『即時繰り上げ返済』を要求させていただきますわ。……お支払いが無理な場合、この世界ごと『競売』にかけさせていただきます」
「な……資金が……口座が凍結されている!? バカな、私の全財産が……一瞬で消えただと!?」
主催者がパニックに陥る中、観戦していた富裕層たちのモニターが次々とブラックアウトし、代わりにエリザベートの紋章が映し出される。
「さて、観客の皆様。……無許可のデスゲーム観戦は、帝国の『倫理維持法』により重罪ですわ。……皆様の資産も、たった今『エンタメ税』として $$99\%$$ 没収いたしました。……文句がある方は、私の執務室(法廷)までいらして?」
「ひ、ひいいいいいっ!!」
富裕層たちが絶叫し、主催者が発狂する中、闘技場に解き放たれていた魔獣たちがアリス(第29話で雇用された勇者)によって一瞬で無力化されていく。
「ボス、参加者の保護完了しました。……この主催者、どうします?」
「そうですわね。……『命のやり取り』がお好きなら、彼には帝国の『永久人体実験ボランティア』として、死ぬことすら許されない徹底的な健康管理(強制労働)をプレゼントして差し上げなさい。……死なせては、『回収』が滞りますもの」
女帝の微笑みが、絶望に沈んでいた闘技場を、恐怖と歓喜が混ざり合う「再開発現場」へと変えていった。
「命のチップ」を「換金性のないゴミ」として切り捨て、
デスゲーム運営を「債務超過」で破産させる……。
これぞ、エリザベート様による、次元を超えた究極の「カジノ監査」ですわ。
理不尽なルールをロジックで粉砕する快感に痺れていただけましたら、
ぜひ【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価で、帝国の「不当博博撲滅運動」を応援してくださいな。
皆様の評価がある限り、エリザベート様は全宇宙の「搾取的なゲーム」を差し押さえ、
「勝っても負けても私が儲かる」という完璧な経済圏を築かれることでしょう。
次回、第34話『ホラー世界の再開発:幽霊の「不当労働」と「居住権」を巡る紛争』。
「怖い」だけで給料をもらおうとする幽霊たちに、エリザベート様が「付加価値の創出」を説きます。
お楽しみに。




