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婚約破棄、承りました。ですが私の管理していた「国家予算」「精霊の加護」「魔導防衛網」は全て私有財産ですので、回収させていただきますわね?  作者: 桐谷ルナ


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第27話:次元のヘッドハンティング:悲劇の勇者を「派遣社員」へ

第7並行世界。そこは「勇者が魔王を討伐した直後」という、最も不穏な空気が流れる時間軸だった。


「勇者アリス! 貴様の力は強大すぎた。……神託により、貴様を『次なる魔王』として、この聖なる封印の中に葬る!」


 血に塗れた剣を杖代わりに立ち尽くす少年勇者アリスを、かつての仲間であった王太子と司教が包囲していた。

 魔王を倒した英雄を、権力維持のために「悪」に仕立て上げて抹殺する。……それは、原典編纂委員会が好む、手垢のついた「悲劇の脚本」そのものだった。


「……これが、僕が守った世界の答えなのか……?」


 アリスが絶望と共に瞳を閉じた、その瞬間。

 王宮の空間が黄金の光によって「スライス」された。


「――あら。随分と、コスト意識の低い『人材破棄』をなさっていますのね」


 現れたのは、浮遊する玉座に優雅に腰掛けた女帝エリザベート。

 そして、その傍らで「次元を斬った」漆黒の剣を鞘に収めるカエルス。


「だ、誰だ貴様らは! 聖なる儀式の邪魔をするな!」


「儀式? ……いいえ。これは『労働契約の不当解除』、および『退職金の未払い』に関する重大なコンプライアンス違反ですわ」


 エリザベートが指を鳴らすと、アリスと王国の間に交わされていた『勇者の誓約』が、巨大な契約書となって虚空に浮かび上がった。


「セドリック王太子。……この契約書、拝見いたしましたが、あまりにも『ブラック』すぎますわ。……『休日なし』『給与は名誉のみ』『魔王討伐後の生存権は保証しない』。……これ、現代の宇宙労働基準法に照らし合わせれば、即刻『事業停止命令』が出るレベルの悪質案件ですのよ?」


「な、何を言っている! 勇者は神に捧げられる犠牲、それがこの世界の理だ!」


「その『理』という名の経営方針、私がたった今『買収』いたしましたわ。……セレーネ、この世界の『勇者派遣事業』の独占権を取得なさい」


「は。……現時刻をもって、ヴァリエール王国の勇者管理権を、帝国の『多次元人材派遣部門』へ譲渡。対価として、この国の『未来の繁栄(魔力)』を全額差し押さえましたわ」


 その瞬間、王太子たちが手にしていた聖具から、みるみるうちに光が失われていく。

 エリザベートは、呆然とする勇者アリスの前に、一枚の「新しい契約書」を差し出した。


「さあ、アリスさん。……そんな腐った国に尽くすのはおやめなさいな。……私の帝国カンパニーに来れば、基本給は今の100倍。福利厚生として『魔導治癒使い放題』、そして何より……誰にも裏切られない『最強の立場』を約束いたしますわ」


「僕を……雇用してくれるの……?」


「ええ。貴方のような『魔王を一人で完封できる優秀な人材』を、脚本の都合で殺すなんて。……経営者として、吐き気がいたしますもの」


 エリザベートが微笑むと、アリスの傷が一瞬で癒え、彼を縛っていた呪いの鎖が黄金の粉となって砕け散った。


「さあ、行きましょうか。……この『不採算国家』の処置は、カエルス陛下に任せて。……陛下、ここの王宮、少し『風通し』を良くして差し上げてもよろしいかしら?」


「ふふ……承知した。……これほど醜い脚本の舞台は、更地にして再開発するのが一番だからな」


 カエルスの剣が抜かれた瞬間、第7世界の王宮は音を立てて崩壊し、絶望していた勇者は女帝の「正社員」として、新たな次元へと旅立っていった。

「使い捨ての勇者」を、高給でヘッドハンティングする……。

これぞ、エリザベート様による、全次元規模の「人材救済タレント・アクイジション」ですわ。

ブラックな運命を「ホワイトな条件」で塗り替えるカタルシスに痺れていただけましたら、

ぜひ【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価で、彼女の「多次元帝国」を応援してくださいな。


皆様の評価がある限り、エリザベート様は全宇宙の「捨て駒」を拾い上げ、

「悪役」と「勇者」が手を取り合う、史上最強の「ざまぁ軍団」を作り上げられることでしょう。

次回、第28話『福利厚生は「神殺し」:勇者たちの社員研修』。

救い出された英雄たちが、女帝のために「因果律」を物理で粉砕し始めます。

お楽しみに。

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