第六十話 続編記事、まさかの反響
「ヴィクトリア、続編記事、載ったぞ」
金翼座での客演を終えた数日後、バロウが、また、雑誌を手に、稽古場に駆け込んできた。
「見せて見せて!」
あたしは、勢いよく、その雑誌を受け取った。
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見出しには、こう書かれていた。
『地方女優、ライバル劇団の舞台にも進出――境界を超える、規格外の存在感』
「おお、なんか、前より格好いい見出しやん!」
「まあ、読んでみろ」
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記事の内容は、前回とは、少し違う切り口だった。
『彼女の魅力は、失敗すら笑いに変える力だけではない。ライバル劇団の看板女優からも、正式に客演を依頼されるほどの、独自の存在感を持っている』
「今回、ちゃんと真面目な評価も書かれとるやんか!」
あたしは、思わず、声を上げた。
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「もちろん、これまでの黒歴史にも、しっかり触れてますけどね」
ノエルが、記事の別の箇所を指差した。
『ちなみに、彼女は「格闘技の人」として街で呼び止められることも多いという』
「それは、忘れてもらえへんのか!」
「もう、ヴィクトリアさんのブランドの一部になってますよね、それ」
「ブランドて!」
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「これ、地方紙だけじゃなくて、首都でも配布されてる媒体らしいぞ」
バロウが、そう補足した。
「え、首都!?」
あたしは、思わず、大きな声を上げた。
「首都の人にも、この記事、読まれるかもしれんってこと?」
「その可能性はあるな」
*
その夜、あたしは、映え板を確認した。すると、いつもとは違う雰囲気のコメントが、いくつか混ざっていた。
『首都在住ですが、この記事で初めて知りました』
『今度フェリシオン行くので、舞台観てみたいです』
『黒歴史のインパクトがすごくて、記事、二回読みました』
「首都の人からのコメント、初めて来たわ……!」
あたしは、その一つ一つを、何度も読み返した。
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「これ、あたしの目標、ちょっとずつ叶ってきてるんかもしれん」
あたしは、稽古場のみんなに、そう報告した。
「首都から見に来てもらう、って目標のことね」
アメリアが、そう頷いた。
「まだ、ほんの一歩やけど」
「一歩でも、確かに前に進んでるじゃない」
*
「でも、正直な話」
あたしは、少し苦笑しながら、続けた。
「結局、注目されてるの、演技力やのうて、黒歴史のインパクトなんよな」
「それ、前に言ってた、聖剣・魔剣の話と同じじゃない」
「え」
「磨き方次第で、聖剣にも魔剣にもなる、って話。今のあなたは、まだ思いっきり魔剣寄りってだけよ」
「魔剣て!」
「でも、魔剣にも、需要はあるでしょ」
「その慰め方、微妙に傷つくんやけど」
「便利だけど、事実でしょ」
その言葉に、あたしは、何も言い返せず、ただ、小さく笑うしかなかった。
こうして、あたしの日常は、少しずつ形を変えながらも、いつもの騒がしさを保ったまま、これからも続いていくのだった。




