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自称・看板女優の私、ヤジには関西弁でツッコミ、SNSでは毎日コメント欄で漫才。女優のはずが芸人枠でした ~名前の意味は「勝利」~  作者: 中原九尾


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第六十話 続編記事、まさかの反響

「ヴィクトリア、続編記事、載ったぞ」


 金翼座での客演を終えた数日後、バロウが、また、雑誌を手に、稽古場に駆け込んできた。


「見せて見せて!」


 あたしは、勢いよく、その雑誌を受け取った。


*


 見出しには、こう書かれていた。


『地方女優、ライバル劇団の舞台にも進出――境界を超える、規格外の存在感』


「おお、なんか、前より格好いい見出しやん!」


「まあ、読んでみろ」


*


 記事の内容は、前回とは、少し違う切り口だった。


『彼女の魅力は、失敗すら笑いに変える力だけではない。ライバル劇団の看板女優からも、正式に客演を依頼されるほどの、独自の存在感を持っている』


「今回、ちゃんと真面目な評価も書かれとるやんか!」


 あたしは、思わず、声を上げた。


*


「もちろん、これまでの黒歴史にも、しっかり触れてますけどね」


 ノエルが、記事の別の箇所を指差した。


『ちなみに、彼女は「格闘技の人」として街で呼び止められることも多いという』


「それは、忘れてもらえへんのか!」


「もう、ヴィクトリアさんのブランドの一部になってますよね、それ」


「ブランドて!」


*


「これ、地方紙だけじゃなくて、首都でも配布されてる媒体らしいぞ」


 バロウが、そう補足した。


「え、首都!?」


 あたしは、思わず、大きな声を上げた。


「首都の人にも、この記事、読まれるかもしれんってこと?」


「その可能性はあるな」


*


 その夜、あたしは、映え板を確認した。すると、いつもとは違う雰囲気のコメントが、いくつか混ざっていた。


『首都在住ですが、この記事で初めて知りました』

『今度フェリシオン行くので、舞台観てみたいです』

『黒歴史のインパクトがすごくて、記事、二回読みました』


「首都の人からのコメント、初めて来たわ……!」


 あたしは、その一つ一つを、何度も読み返した。


*


「これ、あたしの目標、ちょっとずつ叶ってきてるんかもしれん」


 あたしは、稽古場のみんなに、そう報告した。


「首都から見に来てもらう、って目標のことね」


 アメリアが、そう頷いた。


「まだ、ほんの一歩やけど」


「一歩でも、確かに前に進んでるじゃない」


*


「でも、正直な話」


 あたしは、少し苦笑しながら、続けた。


「結局、注目されてるの、演技力やのうて、黒歴史のインパクトなんよな」


「それ、前に言ってた、聖剣・魔剣の話と同じじゃない」


「え」


「磨き方次第で、聖剣にも魔剣にもなる、って話。今のあなたは、まだ思いっきり魔剣寄りってだけよ」


「魔剣て!」


「でも、魔剣にも、需要はあるでしょ」


「その慰め方、微妙に傷つくんやけど」


「便利だけど、事実でしょ」


 その言葉に、あたしは、何も言い返せず、ただ、小さく笑うしかなかった。


 こうして、あたしの日常は、少しずつ形を変えながらも、いつもの騒がしさを保ったまま、これからも続いていくのだった。

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