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自称・看板女優の私、ヤジには関西弁でツッコミ、SNSでは毎日コメント欄で漫才。女優のはずが芸人枠でした ~名前の意味は「勝利」~  作者: 中原九尾


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第五十四話 宣伝活動、フルコース

「フェスの宣伝、あたしらの得意技、全部使ったろか」


 あたしは、劇団員一同を集めて、そう号令をかけた。


「得意技って、何ですか」


「これまで積み上げてきた、あたしの伝説の数々や」


「それ、伝説じゃなくて、黒歴史の再利用ですよね」


 ノエルが、冷静に、そう突っ込んだ。


*


 まずは、映え板での宣伝から始めた。


『今度、フェリシオン興行街合同フェス、出演します。三十分、あたしの見せ場、たっぷりあります』


 コメントは、すぐについた。


『ハッシュタグ、今回は詰め込んでませんね』

『成長を感じます』

『でも、絶対何かやらかしそう』


「誰がやらかす前提で見とんねん! やらかしてこそ伝説やろがい!」


*


 次に、街頭でのビラ配りにも、再び挑戦した。


「今度は、あたし一人やないで。みんなでやったら、効果も倍やろ」


「ヴィクトリアさん、これ、内容盛りすぎじゃないですか」


 ノエルが、ビラを見ながら、そう指摘した。


 そのビラには、こう書かれていた。


『銀月座、参戦。フェリシオン最強決定戦(自称)』


「最強決定戦て、そんな設定、どこにもないですよね」


「あたしの中では、もう決まってるんよ」


「その設定、公式には存在しません」


*


 街頭での反応は、以前より、いくらか良かった。


「あ、格闘技の人だ」


「今日は、ちゃんと女優として来てるんやけどな」


「格闘技もやるんですか」


「やらんて! ど突くぞ!」


 それでも、あたしの知名度は、じわじわと、確実に広がっているようだった。


*


 最後に、あの取材記事の記者にも、追加取材の依頼を送ってみることにした。


『今度、フェスに出演します。よければ、また取材してください』


 返信は、すぐに来た。


『ぜひ! あの記事、反響大きかったので、続編、企画中です』


「続編て、今度はどんな黒歴史が掘られるんやろ……」


 あたしは、少し不安になりながらも、その申し出を、ありがたく受け入れることにした。


*


「これで、宣伝は、一通りやり尽くしたな」


 あたしは、これまでの活動を振り返りながら、そう呟いた。


「ハッシュタグ、街頭ビラ、記者への追加取材依頼。全部、これまでの経験の集大成ね」


 アメリアが、少し呆れたように、そう言った。


「せやろ。これまでの失敗、全部、今のためにあったんよ」


「失敗を伏線にしないでよ」


「伏線にせな、あたしの人生、ただの災害記録になるやろがい!」


 その一言に、稽古場に、また、笑いが起きた。


 こうして、フェスへの宣伝活動は、これまでの積み重ねを総動員する形で、賑やかに幕を閉じることになった。

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