第五十四話 宣伝活動、フルコース
「フェスの宣伝、あたしらの得意技、全部使ったろか」
あたしは、劇団員一同を集めて、そう号令をかけた。
「得意技って、何ですか」
「これまで積み上げてきた、あたしの伝説の数々や」
「それ、伝説じゃなくて、黒歴史の再利用ですよね」
ノエルが、冷静に、そう突っ込んだ。
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まずは、映え板での宣伝から始めた。
『今度、フェリシオン興行街合同フェス、出演します。三十分、あたしの見せ場、たっぷりあります』
コメントは、すぐについた。
『ハッシュタグ、今回は詰め込んでませんね』
『成長を感じます』
『でも、絶対何かやらかしそう』
「誰がやらかす前提で見とんねん! やらかしてこそ伝説やろがい!」
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次に、街頭でのビラ配りにも、再び挑戦した。
「今度は、あたし一人やないで。みんなでやったら、効果も倍やろ」
「ヴィクトリアさん、これ、内容盛りすぎじゃないですか」
ノエルが、ビラを見ながら、そう指摘した。
そのビラには、こう書かれていた。
『銀月座、参戦。フェリシオン最強決定戦(自称)』
「最強決定戦て、そんな設定、どこにもないですよね」
「あたしの中では、もう決まってるんよ」
「その設定、公式には存在しません」
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街頭での反応は、以前より、いくらか良かった。
「あ、格闘技の人だ」
「今日は、ちゃんと女優として来てるんやけどな」
「格闘技もやるんですか」
「やらんて! ど突くぞ!」
それでも、あたしの知名度は、じわじわと、確実に広がっているようだった。
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最後に、あの取材記事の記者にも、追加取材の依頼を送ってみることにした。
『今度、フェスに出演します。よければ、また取材してください』
返信は、すぐに来た。
『ぜひ! あの記事、反響大きかったので、続編、企画中です』
「続編て、今度はどんな黒歴史が掘られるんやろ……」
あたしは、少し不安になりながらも、その申し出を、ありがたく受け入れることにした。
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「これで、宣伝は、一通りやり尽くしたな」
あたしは、これまでの活動を振り返りながら、そう呟いた。
「ハッシュタグ、街頭ビラ、記者への追加取材依頼。全部、これまでの経験の集大成ね」
アメリアが、少し呆れたように、そう言った。
「せやろ。これまでの失敗、全部、今のためにあったんよ」
「失敗を伏線にしないでよ」
「伏線にせな、あたしの人生、ただの災害記録になるやろがい!」
その一言に、稽古場に、また、笑いが起きた。
こうして、フェスへの宣伝活動は、これまでの積み重ねを総動員する形で、賑やかに幕を閉じることになった。




