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勝利を約束された女  作者: 中原九尾


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第三話 水着、なぜか笑われる

 夏を迎え、あたしは、満を持して水着姿を映え板に投稿することにした。


 鏡の前でポーズを何パターンも試し、一番セクシーに見える角度を見極める。腰に手を当て、流し目を作り、口元は少し開き気味に。


「これを見てシコるがいい、凡夫どもが」


 自信満々にそう呟き、投稿ボタンを押した。


『今年も夏が来たわね♡』



 コメントは、すぐについた。


『ポーズ、なぜか格闘家っぽいですw』

『流し目のつもりが睨んでるように見えます』

『これは色気より圧が強い』


「……は?」


 あたしは、思わず自分の投稿を見返した。何度見ても、あたしとしては、この上なくセクシーなポーズのつもりだった。


『次の大会、応援してます』

『どの階級で出るんですか』


「なんの大会やねん! エントリー費用いくらすると思ってんねん!」


『あ、素で返信きたw』

『大会出場、否定しないんだwww』


 コメント欄は、ますます謎の盛り上がりを見せていった。



 翌日、ノエルが、恐る恐る話しかけてきた。


「ヴィクトリアさん、あの投稿、なんか格闘技の話で盛り上がってましたね」


「あれは、あたしのセクシーさが、変な方向に誤解されてるだけよ」


「そう、なんですかね……」


「絶対そう。あたしほどスタイルいい女、そうそういないんだから」


「まるで、お見合い写真として撮ったのに、格闘技雑誌の巻頭ページに使われてる気分ってことですかね」


「せっかくの見合い写真、なんでそんな筋肉質な雑誌に載らなあかんのよ!」


「たとえ話ですよ、落ち着いてください」



 一方、通りかかったアメリアが、ちらりとあたしの映え板を覗き込んで、小さく笑った。


「ヴィクトリア、格闘技、始めたの?」


「せんわ!」


 あたしは、思わず声を荒げた。


「その反射神経、格闘家っぽいけど」


 アメリアは、それだけ言って、涼しい顔で去っていった。



 その夜、あたしは、もう一枚、追加で水着写真を投稿することにした。今度は、もっと分かりやすく、色気を強調したポーズだ。


 結果は、変わらなかった。


『二段目の構え、綺麗ですね』

『フォームが安定してる』


「なんでよ!」


 あたしは、鏡に向かって、そう叫んだ。


 だが、フォロワー数もLIKEの数も、着実に増えていた。


(まあ、理由はどうあれ、注目されてるってことよね)


 あたしは、そう自分を納得させることにした。

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