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転生したら、圏外なのにAIだけは動いていた  作者: イロハ


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第3話 猛獣の群れに出くわした時は?

いつも読んでいただきありがとうございます!


第3話では、主人公が異世界で初めて「共闘」と呼べる状況に巻き込まれます。 とはいえ、レンはまだ戦える力を持っていません。頼れるのは、自分の判断とスマホのAIだけ。


そして、前話の最後に現れた"群れ"が牙をむきます。


それでは、第3話をお楽しみください。

ドドドドドドッ!


地面が揺れる。


「速っ……!」


ガルドに腕を掴まれたまま、俺は必死で走る。


息が切れる。


肺が焼けるように熱い。


後ろから迫る足音は、むしろどんどん近づいてきていた。


「このままじゃ追いつかれる……!」


恐る恐る振り返る。


木々の間を、灰色の巨体が駆け抜けてくる。


一匹。


二匹。


三匹。


いや、それ以上だ。


赤い瞳がいくつもこちらを睨んでいる。


「嘘だろ……。」


ガルドが鋭く何かを叫んだ。


隣の男が振り向きざまに弓を引く。


ヒュッ!


矢が飛ぶ。


先頭の狼の肩へ突き刺さった。


しかし。


「効いてない!」


狼は速度を落とさない。


むしろ怒ったように唸り声を上げる。


「ゲームならここで怯むだろ!」


当然、現実はそんなに甘くない。


《追いつかれる。何か方法は?》


『情報を整理します。』


『相手は四足歩行です。』


『平地では速度で劣ります。』


『狭い地形や障害物を利用してください。』


『集団は進路変更が苦手な場合があります。』


「そんな都合よく狭い場所なんて……!」


その時だった。


前方に岩が連なった細い道が見えた。


ガルドたちもそこへ向かっている。


「まさか!」


一本道。


左右は切り立った岩壁。


狼が一度に飛び込める数は限られる。


ガルドが振り返り、大声を上げた。


隣の男が槍を構える。


二人は道の入口で立ち止まった。


「戦うのか!」


逃げない。


ここで食い止める気だ。


狼が飛びかかる。


ガルドの剣が閃いた。


ギィン!


硬い音。


血ではなく、火花が散る。


「硬っ!?」


狼の前脚には黒い甲殻のようなものが生えていた。


ガルドも予想外だったのか、一歩押し込まれる。


二匹目が飛ぶ。


槍が喉を突いた。


それでも止まらない。


「まずい!」


俺は震える手でスマホを開いた。


《弱点は!?》


数秒。


『種族を特定できません。』


「だよな!」


『ただし、多くの大型肉食獣は目・鼻・口内・関節などが比較的脆弱です。』


「比較的って!」


『確証はありません。』


「それでも十分だ!」


その瞬間。


三匹目が岩を蹴って高く飛び上がった。


「上!」


叫んだ。


意味は通じない。


でも俺が指をさした先を見たガルドは、とっさに身を翻す。


狼は空振りし、岩肌へ激突した。


ドゴォン!


一瞬だけ動きが止まる。


ガルドは迷わず首元へ剣を振り下ろした。


ガァァァッ!!


初めて狼が苦鳴を上げる。


「首……!」


甲殻がない。


そこだけ柔らかい。


「そこだ!」


俺は必死に首を指差す。


「首! 首!」


当然、日本語は通じない。


それでもガルドは俺の動きを見て狼の首を見る。


そして理解したように目を見開いた。


次の狼。


首へ一閃。


今度は深く斬り裂いた。


巨体が崩れ落ちる。


「効いた!」


ガルドが短く叫ぶ。


もう一人も狙いを変えた。


しかし数が多すぎる。


四匹目。


五匹目。


岩場を押し寄せてくる。


「これ無理だろ……!」


その時だった。


森の奥から再び角笛が鳴り響く。


ブォォォォォン――。


さっきより近い。


そして次の瞬間。


バシュッ!


一本の矢が狼の頭を貫いた。


続いて二本。


三本。


正確すぎる。


狼たちが一斉に足を止める。


木々の奥から、人影が次々と姿を現した。


革鎧を着た戦士。


弓兵。


そして、その中央には、一人の少女が立っていた。


銀色の髪を風になびかせ、小柄な体で一本の弓を構えている。


年齢は俺と同じくらいだろうか。


彼女は静かに弦を引いた。


放たれた矢は、一直線に狼の首へ吸い込まれる。


ドサッ。


一匹が倒れた。


その光景に、ガルドが大きく息を吐く。


援軍だった。


けれど少女は倒れた狼ではなく――


真っ直ぐ俺を見ていた。


その鋭い視線には、警戒とも興味ともつかない色が宿っていた。


「…え…俺?」


異世界で初めて出会った"仲間"になるかもしれない少女は、弓を下ろすことなく俺を見据えていた。



あとがき


第3話を読んでいただきありがとうございました!


ようやくレンは異世界の人々と行動を共にすることになりました。 しかし、言葉の壁はまだ越えられていません。


そしてラストで登場した銀髪の少女。 彼女が敵なのか、味方なのか──それは次回のお楽しみです。


次回もぜひ読んでいただけると嬉しいです。

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