
第八話 いない
直人の奇妙な剣術を見ていた門徒たちは、桂とのやり取りを聞いていた。
すぐに道場の中央が空けられる。
桂と直人が向かい合った。
一礼。
二人が構える。
動かない。
誰も声を出さない。
先に仕掛けたのは桂だった。
上段からの正面打ち。
速い。
直人は木刀を寝かせ、そのまま上段へ持ち上げる。
門徒たちは思った。
受ける。
そして、剣筋を変える。
そう見えた。
カンッ。
軽い音がした。
桂の木刀は止まらない。
そのまま真下へ振り抜かれる。
だが――
いない。
桂の目が動く。
直人を探す。
次の瞬間。
背中に、こつん、と木刀が触れた。
「一本……ですか?」
直人の声が、後ろからした。