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桂小五郎
第五話 桂小五郎
龍馬と直人は、街をぶらぶら歩いていた。
お玉ヶ池で寿司を食べたあと、そのまま神田の方へ向かう。
向こうから、きっちりと袴を着た男が三人歩いてきた。
そのうちの一人。
がっちりした体格の男が、龍馬に気づいて足を止めた。
「坂本龍馬さん。ご無沙汰しています」
軽く頭を下げる。
「こちらこそ久しぶり」
龍馬も笑った。
「今から飲みに行くんだけど、一緒にどうだ?」
「申し訳ない。先約がいるので」
男はもう一度会釈すると、連れの二人とともに去っていった。
直人はその背中を見送った。
「誰?」
「練兵館筆頭の桂さんぜよ」
「へえ」
龍馬は少し苦笑した。
「いやぁ、前に試合に負けてしまってな」
直人が龍馬を見る。
「えっ」
「なんじゃ」
「坂本くんが負けたの?」
「ああ」
直人の目が、明らかに変わった。
龍馬はそれを見て嫌な予感がした。
「強いぞ。桂さんは」
「そうなんだ」
直人は、桂が消えていった方角をじっと見ていた。




