報告
第十話 報告
「直ぐにバレました」
直人は、桂小五郎との立ち会いについて龍馬に報告した。
「合気道って、基本、相手の動きがあってなんですよ」
「ふむ」
龍馬は何か心当たりがあるのか、うなずいた。
「でも桂さん、僕を待つわけです」
龍馬の口元が緩む。
「ほう」
「こっちが動くまで、ずっと待ってるんですよ」
龍馬がニヤニヤし始めた。
直人は少しむっとする。
「剣術で、僕が勝てるわけがないじゃないですか」
「それで?」
「仕方なく僕から行きました」
「ワッハッハ!」
龍馬が声を上げて笑う。
「それで、ボロ負けして帰ってきたってわけだ」
「そうです」
「そりゃそうじゃろ」
「笑わなくてもいいじゃないですか」
「しかし桂さん、そうじゃなくてもすごいです」
「そうじゃろ」
「バレなかったら、相性はいいと思ったんですよ」
「相性?」
「力の剣っていうんですか」
直人は、桂の打ち込みを思い出す。
「上手くやれば、流れが分かりやすいというか……」
「そりゃ無理じゃろ」
龍馬がすぐにたしなめた。
「ですよね」
直人もあっさり認める。
「わしは受け流しておったんだがな」
「はい」
「流しきれなくなって、一本取られた」
「ほう」
直人は顎に手を当てた。
「受け流しても、押し切られるんですか」
「ああ。重い」
「でも速い」
「そうじゃ」
直人はしばらく黙った。
そして、少し嬉しそうに笑った。
「やっぱり、もう一回やりたいな」
「おまん、懲りんのう」




