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9 注連縄(しめなわ) 前編

新作 第3弾目の投稿です。

題名 転生したらしいけどスキルデッドストックって何???

今回の主人公は海軍さんの街呉からの転生した女子高生のお話です

はちゃめちゃのスキルで異世界を乗り越えます。


誤字脱字が多くなると思いますが、よろしくお願いいたします。

途中で、脱線することもあると思いますが、ゆっくりと見守ってください。

作品の内容が前後することが多々あると思いますが、大目に見て頂ければ、うれしく存じます。


パラレルワールド編 ダビンチは世界遺産のナスカから謎の大陸ムーのお話です!

当初から作品を見ていただき本当にありがとうございます。

大変励みになっております。


これからもよろしくお願いします。

では、参ります!!

第一章:混沌の時空魔神•クロノス


絶対零度の古龍を「炬燵」と「熱燗」と「耳かき」という究極の極楽コンボで春の雪へと昇華させてから数週間。


ルミナス魔法学院の図書室は、もはや完全に天照ひよりの「異世界実家分室」と化していた。エルフの王女である生徒会長セリアすらも、放課後になると当然のようにここへやってきて、付喪神(つくもがみ)たちが実体化した姿と共にお茶を啜るのが日常の光景になっている。


「……ねえ、硯水さん。本当に、これ以上私の噂が広まったらどうなると思う?」

ひよりは、文机の上でノート(の姿をした付喪神)に何やら現代日本の女子高生らしいイラストを書き殴りながら、深いため息をついた。


「何を今更、ひより。魔王軍、古代迷宮の巨竜、異端審問騎士団、そして永久凍土の古龍。これらをすべて『炊き出し』や『耳かき』で無力化してきたのだ。お主の名はすでに、この大陸の全亜人、全魔物、そして人間国家の王族たちにまで『生ける生神(いきがみ)』として轟いているぞ」


私は人型の姿で、愛用の文机の前に腰掛け、インク瓶の蓋を開けながら応えた。私の名は『硯水(けんすい)』。千年以上もの間、あの超ど田舎の神社の蔵で、人間の様々な物語を書き留めてきた文机の付喪神である。


「生神様って! 私、ただの十六歳の女子高生(兼・見習い召喚士)だよ!? こんなに有名になったら、実家のパパとママが海軍の町で『おいおい、うちの娘、異世界で神様になってるぞ』って新聞でも見たらひっくり返っちゃうよ! あーあ、二人は今頃、呉の灰ヶ峰から綺麗な夜景でも眺めながら、美味しい焼き鳥と鳥皮みそ煮でも食べてるのかなぁ。娘はこっちで世界の命運を背負わされてるっていうのに」


ひよりが「はぁ」と大きなため息を重ねた、その瞬間だった。


図書室の空間そのものが、まるで薄いガラスのように

「パキィン!」

と音を立ててひび割れた。


いや、ひび割れたのは空間だけではない。図書室の窓から見えるルミナスの街全体の景色が、まるで古い絵の具が剥がれ落ちるように、パラパラと灰色に変色し、崩壊し始めたのだ。


「な、何これ!? 空間が割れてる!? セリア様、また迷宮の暴走ですか!?」


ひよりが驚いて立ち上がる。しかし、隣にいたはずのセリアは、まるで時間が静止したかのように、お茶を持ったままピクリとも動かなくなっていた。街を行き交う人々も、風に揺れる木々も、すべてが「静止した絵画」のようになっている。


世界のすべてが灰色に染まりゆく中で、図書室の天井に、巨大な『時計の歯車』のような漆黒の魔法陣が展開した。

そこから這い出てきたのは、全身を黒い鎖で縛られた、異形の魔神――魔王軍の真の支配者であり、世界の時間を狂わせる

…………『混沌の時空魔神・クロノス』…………の幻影だった。


「……見つけたぞ、異界の召喚士よ。お前が呼び出す『ツクモガミ』という不条理な存在は、この世界を管理する『因果のシステム』を破壊し続けている。これ以上の改変は許さぬ。我は今、この世界の『過去・現在・未来』の時間をすべて停止させ、お前ごとこの世界を『無(ボイド)』へと還元する!」


魔神が咆哮すると、灰色の空間から、世界そのものを削り取るような「虚無の嵐」が吹き荒れた。


「不味いな、ひより。相手は世界の『時間と空間(システム)』そのものを司る概念体だ」

私は文机を盾にしながら、冷や汗を流した。


「私の『現実改変執筆』で『魔神が消えた』と書こうにも、世界そのものの時間が止められているため、万年筆のインクが空間に定着せん。文字を書くという『行動の時間』すらも、奴に奪われつつある!」

「そんな……! 私の魔力タンクはこんなに大きいのに、使う時間すら貰えないの!? 紅緒姉さんも、蓑翁おじいちゃんも、みんな灰色の世界の中で固まっちゃってるよ!」


見れば、ひよりの影から現れようとしていた紅一文字や蓑翁たちも、時間の停止によって半透明のままフリーズしていた。


「ひより、まだ諦めるな。相手が『世界の時間と空間の縛り』なら、我が神社のデッドストックの最深部――あの千年以上、誰の目にも触れず、ただひたすらに『神聖な神の領域』を護るためだけに存在していた、本殿の最奥の結界の要(かなめ)を呼び出すのだ」


「本殿の最奥の結界……? あ、まさか、お父さんが『これだけは絶対に触るな、世界の結界が解ける』って言ってた、あの小さな、古い……!」


「そうだ。あれは、時間も、空間も、神の怒りも、あらゆる『外からの理不尽』を完全に遮断し、その内部を完全なる【我が家(日常)】として固定する、最強の防衛具だ。お主の膨大な魔力をすべて注ぎ込み、あの魔神の時空支配を内側から叩き割れ!」


## 第二章:時空崩壊と「注連縄の聖域」


灰色の虚無の嵐が、図書室の壁を消し去り、ひよりたちの足元の大地すらも暗黒の深淵へと変えていく。

魔神クロノスは、無数の時計の針のような触手を伸ばし、ひよりの魂を直接絡め取ろうと迫ってきた。


「止まれ、異界の娘よ。お前の時間は、ここで終わりだ」


「終わらせないよ……! 私の時間は、私の思い出は、パパやママ、そして実家のみんなと繋がってるんだから!」


ひよりは暗黒の深淵に向かって、自らの魂の全魔力を、まるで濁流のように解き放った。彼女の体から、眩いばかりの『黄金の神社(お社)』の幻影が立ち上る。


「デッドストック、起動ぉぉぉーーーッ!! 我が実家の本殿の最奥、千年の間、神の領域を護り続けてきた、最強の約束をここに!」


ドガァァァァン!!!


暗黒の空間を切り裂いて出現したのは――太さが大人が三人で抱えきれないほどもある、何重にも編み込まれた巨大な『注連縄(しめなわ)』だった。その縄からは、純白の『紙垂(しで)』が厳かに垂れ下がっている。


「……ふむ。随分と不浄な風が吹いているな。千年の眠りを破り、我が結界を呼び出すとは、よほどの緊急事態と見える」


注連縄の周囲に満ちた神聖な霧の中から現れたのは、真っ白な狩衣(かりぎぬ)を纏い、背中に巨大な後光を背負った、大変に厳かで美しい青年の姿をした付喪神――名を『注連丸(しめまる)』という。千年の間、神社の本殿や御神木に巻き付けられ、「ここから先は神の領域であり、いかなる世界の汚れも、時間の歪みも立ち入るべからず」という、絶対的な『境界線』の執念から生まれた、注連縄の付喪神だ。


「注連丸さん! あの真っ黒い時計の化け物が、世界の時間を止めて、私たちを消そうとしてるの!」

「時間の停止、および空間の消滅か。なるほど、世界の法則(システム)の暴走ですね。……しかし、我が前においては、そのような理屈は通用しません。我が引きし線の内側は、すなわち【絶対不変の神域】。――【神籬封鎖・常世ノ国(ひもろぎふうさ・とこよのくに)】」


注連丸が優雅に袖を振ると、巨大な注連縄がひよりたちの周囲を円状にぐるりと囲んだ。


その瞬間、注連縄の内側の空間だけが、灰色の世界から切り離され、元の鮮やかな色彩を取り戻した。静止していたセリアの時間が動き出し、

……「えっ!? 今、何が起きたのですか!?」……

と驚いて紅茶をこぼしている。半透明で固まっていた紅緒や雷轟、金蔵たちも、一斉に元の姿へと戻り、

……「ふぅ、危うく永遠の昼寝をさせられるところやったわ!」……と息を吹き返した。


「な、何だと!? 我が時空停止の結界が、ただの『藁の縄』の内側で完全に無効化されているというのか!?」

魔神クロノスが驚愕の声を上げる。


「ただの縄ではありません。これは『ここから先は、我が主の日常である』という、千年不変の境界線。お前の操る世界の時間など、我が結界の内側には一秒たりとも侵入させませんよ」


注連丸は涼しい顔で、魔神の時空攻撃を完璧にシャットアウトしてみせた。

みなさま、どんな風に感じてもらったのでしょうか?

少しでも面白いかもと思って頂けましたら幸いです。

励みになりますので、☆☆☆☆☆をチェックしてもらえると嬉しく存じます。

これからもお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

今回は女子高生のお話です。

よろしくお願いします。

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