12-第5話:完成の汽笛と「焼き鳥丼」
あわヮヮヮwww~~~~~^ ^7(°▽°)ボケてセットして日付間違えてたーーー〜!
またまたごめんなさい
【本日の呉料理:『焼き鳥丼甘辛仕立て』】
特製甘辛醤油と絶妙の焼き加減の鶏肉丼もの。プリプリ感と甘辛醤油の旨味が白米に絡み合い、一ヶ月の努力を称える最高のご馳走となる。
第5話:完成の汽笛と「焼き鳥丼」
【AM 08:00 | ポルトー南海岸・新防波堤建設現場】
一ヶ月前、荒波が牙を剥く断崖絶壁だったポルトーの南海岸。
そこに今、朝の澄み切った太陽の光を浴びて白く眩しく輝く、見事な「新防波堤」が真っ直ぐ海へと突き伸びていた。
高さ五メートル、全長百メートルを超える巨大な白亜の石造りの防波堤。
昨日、ひよりたちと職人全員の力を合わせて据え付けた「巨大な親石(要石)」が、防波堤の最先端でどっしりと鎮座し、ポルトーの港を包み込むようにして太平洋の荒波を跳ね返している。
「よし……! 最後の目地の漆喰塗り、完了したばい!」
石工頭のダン吉がコテを置き、汗の浮かぶ額をハチマキで拭った。
隣では大工頭の源造が、太い腕を組んで感無量の面持ちで完成した防波堤を見上げている。
「できた……! できたたい! 俺たちの手で、ポルトーの街を何百年も護る最高の新防波堤が完成したばい!」
「うわぁぁぁぁぁぁっ……! ぶち綺麗じゃねぇぇぇっ!」
作業着の袖をまくり上げたひよりが、呉弁で歓声を上げながら防波堤の石畳の上をタタタッと駆け抜けた。
リュックから飛び出した八百万の付喪神たちも、次々と実体化してひよりの周りを取り囲む。
朱色の袴を纏った神刀の紅緒、大童の姿の飯蔵、三十センチの目盛りを光らせる竹千代、ハサミを手にした糸吉、バケツを抱えた洗三、モコモコカバーを着たぬくもり、そっと浮遊する文机の硯水、着物姿のおみくじ箱、そして可憐に宙を舞う天球儀のステラ。
「ひより様、ご覧ください。一ミリの狂いもなく、完璧な曲線を描いて海を切り開いております」
神刀の紅緒が優しく微笑み、朱色の袴を風になびかせた。
「竹千代の計測誤差、完璧なゼロ! 波圧分散効率、一〇〇パーセント達成であります!」
竹千代が誇らしげに胸を張る。
その時だった。
ボーーーーーッ! ボーーーーーッ!
港の中央から、波止場に停泊する大型交易船や漁船が一斉に鳴らした祝砲の汽笛が、雲ひとつない青空へ向けて高らかに響き渡った!
「完成だぁぁぁぁっ!」「新防波堤の完成だばい!!」
港の波止場や街のあちこちから、この日を待ちわびていたポルトーの街の人々や冒険者たちが押し寄せ、割れんばかりの歓声と拍手を新防波堤に向かって送った。
「やったね! みんな! ほんまに完成したよーっ!」
ひよりが両手を高く上げて飛び跳ねると、腰の『おみくじ箱』が「カコン! シャカシャカシャカ……カコンッ!」と最高に力強く小気味よい音を立てて身を乗り出した。
『ひより様! 祝賀の儀にございます! 拙者の中に溜まりし祝いの御託宣、解き放たせていただきますぞ! シャキーン!』
おみくじ箱の口から、金粉と銀粉が散りばめられた「大吉」の和紙の紙吹雪が、まるで満開の桜のようにドカンと大空へ向けて舞い散った!
「うわぁぁぁ! おみくじ箱、ぶち綺麗じゃん!」
舞い散る金の紙吹雪の中、白亜の防波堤の上で、ひよりを中心に付喪神たちが全員並んでキリリとポーズを決めた。
天球儀のステラが綺麗な星空の光を昼空に輝かせ、糸吉が「チョキチョキ! 完成おめでとうチョキ!」とハサミを鳴らし、洗三が「ピカピカの防波堤、お水で洗って光らせたよ!」と笑う。
その光景は、まるでポルトーの歴史に刻まれる一枚の美しい絵画のようだった。
【AM 11:00 | 表彰式と手作りの木彫りの記念品】
防波堤の根元に特設された式典会場。
ギルドマスターをはじめ、街の重鎮たちが並ぶ中、石工頭のダン吉と大工頭の源造が、緊張した面持ちのひよりの前に歩み出でてきた。
ダン吉の手には、頑丈な羊皮紙に飾られた一枚の「感謝状」と、二つの小さな木彫りの記念品が抱えられていた。
「ひよりちゃん……そして、そこにいる自慢の付喪神(仲間)たち」
ダン吉がダミ声を少し震わせ、感極まった様子でひよりを見つめた。
「最初は『ちんちくりんな女の子と変な道具に何ができる』なんて暴言吐いて、本当にすまなかっただばい。だけど……この一ヶ月、あんたは誰よりも泥まみれになって現場を掃除し、声を張り上げて俺たちの心をひとつにしてくれた」
源造も太い手で涙をグッと拭い、身を乗り出した。
「竹千代殿の完璧な計測、飯蔵殿の力強い手助け、糸吉殿の滑り止め、洗三殿の清らかな水、ぬくもり殿の温もり、紅緒殿とステラ殿の光、硯水殿の知恵、おみくじ箱殿の吉兆……お前さんたち道具がいなけりゃ、この猛烈なシケと難所を乗り越えて工事を成功させることなんて、絶対に不可能だったばい!」
ダン吉は深々と頭を下げ、感謝状と木彫りの記念品をひよりの両手へ手渡した。
「ひよりちゃん! あんたらは俺たち職人全員の、生涯の自慢の仲間だばい! 本当に、本当にありがとうだばい!」
「「「ありがとうございましたーっ!!」」」
現場で共に汗を流した数十人の職人たちが、一斉に帽子を脱いでひよりと付喪神たちに深々と頭を下げた。
ひよりの手の中に贈られた木彫りの記念品——それは、職人たちが夜な夜なナイフで削り出して作ってくれた、「可愛いひよりの姿」と「八百万の付喪神たちが防波堤を支える姿」が繊細に掘り込まれた、世界にひとつだけの木彫りのレリーフだった。
「ダン吉さん……源造さん……みんなぁ……っ!」
ひよりの瞳から、ボロボロと大きな涙が溢れ出した。
「こんな……こんな素敵なもの、貰ろーてええん……!? うち……うち、みんなと一緒にこの防波堤を作れて……ぶち幸せじゃったよぁぁぁん!!」
呉弁で泣きじゃくるひよりを、源造とダン吉が「よしよし、泣くなだばい!」と大きな手で優しく抱きしめ、職人たちから地鳴りのような温かい拍手がいつまでも降り注いだのだった。
【PM 01:00 | 祝勝大宴会と飯蔵特製『呉風・焼き鳥丼甘辛仕立て』】
表彰式が終わり、新防波堤の広場ではポルトー街中を巻き込んだ「祝勝大宴会」が幕を開けた。
「さあさあ! 一ヶ月間の地道な苦労を吹き飛ばす、最高のご馳走の完成ですぞーッ!」
大童の姿となった木製しゃもじの付喪神・飯蔵が、巨大な特設厨房から立ち上る、甘辛い醤油と香ばしい炭火のたまらない匂いとともに現れた。
「うおっ!? なんて香ばしくて美味そうな匂いなんだばい!?」
「匂いだけでお腹がグーグー鳴り出すたい!」
職人たちや街の人々が我先にと特設ブースへ群がる前で、飯蔵が巨大な団扇をぶんぶんと煽りながら、炭火の上で香ばしく煙を上げる鶏肉をタレに潜らせた。
ジュワァァァァァァッ……!!
炭火に滴り落ちたタレがハぜ、甘辛い極上の香りが港風に乗って会場全体を包み込む。
「本日の完成祝賀飯は! ひより様の故郷・呉の伝統と職人のスタミナを称える至高の逸品!『焼き鳥丼甘辛仕立て』でございますぞ!!」
大きな木鉢に取り分けられた白飯の上に、甘辛い特製醤油タレがたっぷりと回しかけられ、その上に炭火で表面をパリッと、中はプリプリに焼き上げられた大ぶりの鶏もも肉、甘みのある白ネギの角切り、そして香ばしく炙られた皮やつくねがギッシリと敷き詰められていた。
仕上げには、鮮やかな黄身の温泉卵と、ピリッとしたアクセントを与える「ポルトー特産七味唐辛子」が添えられている。
「焼き鳥……丼……!? 焼き鳥をご飯の上に乗っけた料理だばいね!?」
石工頭のダン吉がハシを取り、タレの染み込んだ白飯と一緒に、大ぶりの鶏肉をガブリとかぶりついた。
次の瞬間、ダン吉の身体がビクッと硬直し、目がカッと見開かれた!
「な……な、なんだこの香ばしさとプリプリ感はぁぁぁぁっ!?」
炭火で香ばしく炙られた皮のパリッとした食感の直後、歯を押し返すようなプリプリとした鶏肉の弾力と、噛むたびに溢れ出すジューシーな肉汁!
そこに、濃密な甘辛醤油タレと温泉卵のマイルドなコク、そして七味のピリッとした辛味が一体となり、タレの染みた白飯とともに怒涛の勢いで喉を通り抜けていく!
「美味い……! 美味すぎるばい! 炭火の香ばしさと特製タレの甘辛さが、プリプリの鶏肉と白飯に完璧に絡み合っておるたい!」
大工頭の源造も豪快にハシを動かし、大きな口で焼き鳥丼をかき込んだ。
「これぞ一ヶ月の汗と涙を労う、最高のご馳走だばい! 飯蔵のオッチャン、一杯じゃ足りんだばい! おかわりくれだばい!」
「俺もおかわりたい! ネギとつくねもたっぷり乗せてくれ!」
職人たちも、街の人々も、夢中になって焼き鳥丼を頬張り、「美味い!」「美味い!」と大歓声を上げた。
ひよりもうれしそうに焼き鳥丼を一口口に運び、「んん〜〜っ! これこれ! 呉の焼き鳥は、香ばしいお醤油タレとプリプリのお肉がご飯にぶち合うんよ!」と満面の笑顔を咲かせた。
「飯蔵殿、呉の焼き鳥丼にはどのようなこだわりがあるのですか?」
文机の硯水が尋ねると、飯蔵が髭を揺らして誇らしげに語り始めた。
「カッカッカ! さようでございます! 呉の屋台街や街の居酒屋では、鶏肉を無駄なく美味しく食べるために、秘伝の甘辛醤油タレを継ぎ足しながら炭火で香ばしく焼き上げるのが伝統なのですぞ! この甘辛いタレと炭火の香ばしさは、力仕事で疲れた身体に即座にエネルギーを補給し、心を元気にしてくれる魔法の味なのです!」
「俺たちの身体に、最高の元気が戻ってきただばい……!」
ダン吉は大涙を流し、「おかわり三杯目だばい! 汁まで残さず食べるだばい!」とどんぶりを突き出した。
【PM 05:00 | 夕焼けの防波堤と、職人たちとの別れ】
宴が夕方に差し掛かり、空が茜色から深い紫色のグラデーションへと移り変わる頃。
宴会の片付けを終えたひよりたちは、完成した新防波堤の先端で、ダン吉や源造たち職人全員と向き合っていた。
一ヶ月前はギクシャクしていた関係が、今や実の家族以上の強い絆で結ばれている。
「ひよりちゃん……明日、俺たち職人グループは、次の建設現場である北の大陸へ旅立つだばい」
ダン吉が少し寂しそうな笑みを浮かべ、ひよりを見つめた。
「そうなん……。寂しくなるねぇ……」
ひよりが呉弁でポツリと言うと、源造が太い手でひよりの頭をなでなでした。
「寂しがることはなかたい! 俺たちが作ったこの頑丈な防波堤は、これからもずっとここに残って、ポルトーの海とひよりちゃんを守り続けるばい!」
「そうじゃね! この防波堤を見たら、いつでもダン吉さんや源造さん、みんなのことを思い出せるけぇね!」
ひよりは貰った手作りの木彫りレリーフをギュッと抱きしめ、満面の笑顔で頷いた。
「ダン吉さん、源造さん、みんな! 一ヶ月間、本当にありがとね! 次の現場でも、怪我に気をつけて頑張ってつかぁさい!」
「おう! ひよりちゃんも、付喪神の仲間たちと元気に冒険を続けるんだぞ! また逢おうだばい!」
「「「元気でなーっ!!」」」
職人たちが手を振りながら去っていく背中に、ひよりと付喪神たちはいつまでも手を振り続けたのだった。
【PM 08:30 | 宿屋「海猫亭」・未来への日記】
夜。宿屋「海猫亭」の部屋に戻ってきたひより。
テーブルの上には、職人たちから贈られた「感謝状」と「手作りの木彫りレリーフ」が、温かなランプの光に照らされて誇らしげに飾られていた。
膝の上では、朱色と黄色のモコモコカバーを着たトタン湯たんぽの『ぬくもり』が、ポカポカとした優しい熱でひよりの一ヶ月の疲れを癒してくれている。
「ふぅ……一ヶ月間、ほんまに頑張って良かったねぇ……」
『はい、ひより様。私どもも、職人の皆様と共に汗を流し、街のお役に立てたこと、胸が誇りでいっぱいにございます』
神刀の紅緒が優しく微笑み、ひよりの隣で朱色の袴を静かに揺らした。
ひよりは、高級和紙と松煙墨を取り出し、パパとママへの日記を大切に書き始めた。
【天照ひよりの異世界冒険日記〜防波堤の完成に寄せて〜】
パパ、ママへ。
今日ね、一ヶ月間みんなで頑張ってきた「ポルトーの新防波堤」が、ついに完成したんよ!
最初は頑固じゃった職人さんたちも、最後は「ひよりちゃんたちはおれたちの自慢の仲間だ」言うて、手作りの綺麗な木彫りの飾りと感謝状をくれたんよ。
今日のお昼はね、飯蔵が呉の「焼き鳥丼」を作ってくれて、みんなで「美味い美味い」って笑いながら食べたよ。
呉でパパやママと食べたあの味、職人さんたちもぶち喜んでくれたんよ。
自分の手で何かを作って、街の人を守るお仕事は、ぶち大変じゃったけど、ぶち気持ちが良かったよ。
これからも、呉で教わった大切な心を持って、みんなと元気に異世界での冒険を頑張るけぇね!
ひよりより
日記を書き終えたひよりは、そっとペンを置き、窓の外に広がるポルトーの海を見つめた。
夜の暗闇の中、完成した白亜の新防波堤が、街の灯りを受けて優しく静かにたたずんでいる。その先では、大灯台の聖なる光がどこまでも遠い海原を照らし出していた。
「みんな……明日からも、ぶち楽しく過ごそうかいね」
「はい、ひより様。どこまでも、共におります」
天球儀のステラが綺麗な星空の光を部屋の天井に映し出し、竹千代が「明日の天気、快晴率一〇〇パーセント」と優しく囁く。
広島呉弁の少女・天照ひよりと、愛おしくも頼もしい八百万の付喪神たち。
一ヶ月の地道な努力と故郷の思い出料理が育んだ強い絆を胸に抱き、彼女たちの温かく愉快な冒険の日々は、ポルトーの優しい潮騒とともに、これからもどこまでも続いていくのであった。




