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閑話1ポルトー:波止場の休日と手作り大ピクニック(日常&料理・お買い物回)

ひよりの冒険者編の始まりです。よろしくお願いします

学園を卒業したので、丁寧語ではお話ししません!

登場人物等も方言で物語が進んでいきます。

間違った方言も多数あると思いますのでごめんなさい!

これからもよろしくお願いします


途中で、脱線することもあると思いますが、ゆっくりと見守ってください。

作品の内容が前後することが多々あると思いますが、大目に見て頂ければ、うれしく存じます。

これからもよろしくお願いします。

 波止場の休日と手作り大ピクニック(日常&料理・お買い物回)


【AM 09:00 | 宿屋「海猫亭」・ひよりの客室】


ポルトーの海から吹き込む潮風が、白地に青い花柄のカーテンをふんわりと押し広げていた。


「んん〜〜っ……! よく寝たぁ……!」


ひよりはふかふかの布団の中で大きく身体を伸ばした。窓から差し込む太陽の光が、部屋の木床を黄金色に染めている。昨夜の幽霊船討伐とS級依頼の完了から一夜が明け、ポルトーの街にはいつも通りの穏やかで活気ある日常が戻っていた。


枕元に置かれた革袋を手に取ると、ズッシリとした重みが手首に心地よく伝わって来る。中には、これまでの大活躍で得た金貨や銀貨がジャラジャラと詰まっていた。


「うふふ……見てみぃねみんな、こんなにお金があるよ。うち、こんな大金持ったの生まれて初めてじゃわぁ」


ひよりが呉弁で嬉しそうにつぶやくと、リュックや机の上にいた付喪神たちが、一斉にカチリ、チョキッ、カコンと音を立てて実体化した。


「カッカッカ! ひより様、これもすべてひより様の頑張りと、我ら付喪神たちの絆の賜物でございますな!」


木製しゃもじの飯蔵が豪快に胸を張る。


「はい! B級依頼にS級依頼、さらに黄金エビの事件解決まで……! ひより様は本当に立派な冒険者になられました!」


朱色の袴を纏った神刀・紅緒が、凛とした表情の中にどこか誇らしげな笑みを浮かべて頷いた。


「……じゃけどね、みんな」


ひよりは正座をし、付喪神たちを一人一人愛おしそうに見つめた。


「うち一人じゃったら、何にもできんかったよ。道に迷って、魔物に怯えて、お腹すかせて泣いとったかもしれん。うちがここまで来られたのは、全部みんながうちを助けて、守ってくれたおかげじゃけぇね」


ひよりの温かい呉弁の言葉に、付喪神たちは少し照れたように視線を泳がせたり、もじもじと身をよじったりした。


「じゃけぇね、今日は依頼のお仕事はぜ〜んぶお休み! 今日は『みんなのための休日』にするんよ! 貯まったお金で、みんなの欲しかったものやお世話に必要なものを買いに行って、午後は海の見える波止場で大ピクニックをするんじゃ!」


「大ピクニック……!?」「お買い物ですか!?」


付喪神たちの間にパッと歓声が上がった。


『お見事なご提案にございます、ひより殿』


文机の硯水がそっと空中を浮遊し、知的な声で頷く。


『道具たる我らにとっても、日頃のメンテナンスや手入れ、新たな装いは至上の喜び。ましてやひより殿と過ごす休日とあれば、断る理由などございませぬ』


「よーし! ほいじゃあみんな、港町ポルトーのお買い物&ピクニックツアー、出発進行じゃー!」


「「「おーっ!!」」」


【AM 10:30 | ポルトー・職人街と雑貨露店】


午前中のポルトーの街は、雲一つない青空と心地よい潮騒に包まれていた。石畳の坂道を下り、ひよりと付喪神たちは職人や商人が集まる「職人街」へと足を運んだ。


「うわぁ、見てみぃねステラ! いろんなお店があるよ!」


「はい、ひより様! 街全体がキラキラして見えます……!」


手のひらサイズの天球儀の付喪神・ステラが、ひよりの肩の上で嬉しそうに小さな羽を羽ばたかせている。


最初に立ち寄ったのは、老練な砥石職人と刀剣メンテの店が集まる「研ぎ師の路地」だった。


「いらっしゃい、お嬢ちゃん! 何をお探しだばい?」


東北なまりの顽固そうな職人の親方が声をかけてくる。


「おじさん! うちの大事な『紅緒(日本刀)』と『竹千代(竹定規)』のお手入れに使う、一番ええ油と研ぎ石、手入れ用の丁子油(ちょうじゆ)をくださぁい!」


「おおっ、若いのに刀や定規の手入れを自分でやるんか! 感心だなぁ。ほれ、これは南の国から輸入した極上の天然椿油と、最高級の砥石だ! 特別勉強して銀貨二枚でいいぞ!」


ひよりは喜んで銀貨を支払い、極上の手入れ油と柔らかい絹布を受け取った。


リュックの中で、神刀の紅緒と竹定規の竹千代が嬉しそうにカチリと音を立てる。


「ひより様……私のためにそのような高級な油を……感謝いたします」 「竹定規の目盛りの保護に、極上の絹布……完璧なメンテナンス計画が立てられます」


「ふふ、二人ともいつも頑張ってくれとるけぇね! 当然よ!」


続いて向かったのは、色鮮やかな生地や毛糸、羊毛製品が並ぶ「裁縫と手芸の露店街」だった。


「次は……ぬくもりの番じゃね!」


ひよりが腕に抱えた『昭和レトロ・トタン金属製湯たんぽのぬくもり』を露台の上にそっと置く。


「おばちゃん! この湯たんぽにぴったりな、肌触りが良くって暖かくて、可愛いカバーを作りたいんじゃけど、ええ毛糸か生地はあるかいね?」


コテコテの関西弁を喋る手芸屋のおばちゃんが、トタン湯たんぽを見るなり目を丸くした。


「あらまぁ! なんてレトロで愛くるしい湯たんぽやのう! うちの店で一番柔らかい『極上モコモコ羊の毛糸』があるで! これでカバー編んだら、抱き心地最高や!」


「それにする! ぬくもり、何色がええ?」


『ひより様……私めは、ひより様の袴と同じ、温かい朱色と黄色のあたたかな柄が希望にございます』


「あいよ! おばちゃん、朱色と黄色のモコモコ毛糸と、編み針を頂戴!」


ひよりは手芸用品を買い揃えると、裁縫用糸切りバサミの糸吉に声をかけた。


「糸吉、宿に帰ったら一緒に編み物しようね!」


「任せてチョキ! 糸吉のハサミ技で、最高のカバーをチョッキンチョッキン編んじゃうよ!」


さらに、三つ仕切りバケツの洗三には「ピカピカに磨くための天然スポンジと真鍮磨き用の布」、文机の硯水には「極上の松煙墨(しょうえんぼく)と高級和紙」、おみくじ箱には「運気を高める金糸の結び紐」、そして天球儀のステラには「星くずのように輝くクリスタルガラスの保管ケース」を買い求めた。


金貨や銀貨を惜しみなく使い、大切な道具(仲間)たちのためのプレゼントを両手いっぱいに抱えたひよりの顔は、溢れんばかりの笑顔で輝いていた。


【PM 12:30 | 港の市場と『飯蔵』の大買い出し】


「カッカッカ! さあさあひより様、お次はワシの主戦場、ピクニックのごちそう買い出しですぞ!」


特大木製しゃもじの付喪神・飯蔵が、大童の姿で腕まくりをしながら鼻鼻を鳴らした。


向かったのは、港の市場の「焼きたてパン屋」と「果物屋」、そして「ハーブ・肉加工品」のエリアだ。


「いらっしゃい、お嬢さん! 焼き立てのサクサクフランスパンと、ホカホカの塩バターロールだばい!」


土佐弁の店主が香ばしい匂いを漂わせる焼き立てのパンを並べている。


「美味しそう〜! おじさん、この大きなフランスパン三本と、バターロールを十個くださぁい!」


「あいよっ! 毎度あり!」


さらに、果物屋ではポルトー特産の「太陽のミカン」や「黄金のリンゴ」、果汁たっぷりの「紫ブドウ」をカゴいっぱいに買い込み、肉屋では特製燻製ハムとソーセージ、フレッシュなチーズを買い揃えた。


「飯蔵、こんなにいっぱい買って、どんな料理を作るん?」


「カッカッカ! ひより様、見てのお楽しみでございますぞ! 港町のピクニックにふさわしい、豪快かつ極上のサンドイッチとスープをお見せいたしましょう!」


飯蔵が大きな腕で食材の詰まったカゴをひょいと抱え上げたのだった。


【PM 02:00 | ポルトー・海を見渡す丘の波止場】


ポルトーの街の東端、青い海と港を一望できる小高い丘の波止場。 芝生が敷き詰められたその丘の上に、ひよりは真っ白な大きなピクニックシートを広げた。


ぽかぽかとした陽気と、潮風の心地よい香りが鼻腔をくすぐる。


「うわぁぁぁ……! ここ、ぶち眺めがええねぇ!」


ひよりが広場に座り込むと、付喪神たちが全員実体化し、ピクニックシートの上に大集合した。


朱色の袴の紅緒、大童の飯蔵、竹尺を持った竹千代、ハサミを手にした糸吉、バケツを抱えた洗三、トタン湯たんぽのぬくもり、浮遊する文机の硯水、着物姿のおみくじ箱、そして空を舞う天球儀のステラ。


「さあ! 料理人の飯蔵特製・波止場の大ピクニック重、完成でございますぞ!」


飯蔵が豪快に大きな木箱の蓋を開けた。


「「「うわぁぁぁぁぁっ!!」」」


全員から歓声が上がる。


木箱の中に並べられていたのは、目にも鮮やかな絶品料理の数々だった!


焼き立てのサクサクフランスパンに、切り立ての厚切り燻製ハム、とろけるフレッシュチーズ、シャキシャキのレモン風味の野菜を挟んだ『特製港町カツサンド&ハムチーズサンド』!


さらに、昨日の「赤甲鎧タイタンタイ」のアラから取った極上出汁と、たっぷりの夏野菜を煮込んだ『海の恵みの特製コンソメスープ』!


そして、洗三が汲んできた冷たい清流の水で冷やされた『太陽ミカンとブドウの特製フルーツポンチ』!


「う、美味そう……! 飯蔵、あんた天才じゃね!」


「カッカッカ! さあひより様、冷めぬうちに存分に召し上がれ!」


ひよりは、あふれんばかりの具材が挟まれた厚切りサンドイッチを両手で持ち、大きな口を開けてかぶりついた。


ガブリッ!


「んんんん〜〜〜〜〜っっっっ!! うっま!! なんこれぇぇぇ!!」


パンのサクサクとした香ばしい歯応えの直後、ジューシーなハムの肉汁と濃厚なチーズのコク、そしてフレッシュな野菜の酸味が口の中で見事に調和する!


「スープも飲んでみてつかぁさい!」


木製スプーンで温かいスープをすすると、海の深い旨味がじわ〜っと身体中に染み渡っていく。


「ふぁぁぁぁ……しあわせぇぇぇ……! 美味しすぎるよ飯蔵ぁ!」


「ワシも自慢の料理でひより様が喜んでくだされば、感無量でございますぞ!」


付喪神たちも、それぞれが料理を楽しんでいた。 洗三は冷たいフルーツポンチを嬉しそうにバケツの水で冷やし、糸吉は小さなサンドイッチを器用にハサミで切り分けて食べている。


「ひより様、お口の横にソースがついておりますよ」


紅緒が優しく微笑み、絹の手ぬぐいでひよりの口元を優しく拭ってくれた。


「あはは、ありがと紅緒! 紅緒ももっと食べてぇね!」


「はい、いただきます」


温かな太陽の光の下、笑い声と「美味しいね」の言葉が波止場に響き渡る。


【PM 04:00 | 芝生の上でのお手入れ時間とお昼寝】


お腹がいっぱいになったひよりたちは、波止場の芝生の上でのんびりとしたお手入れ時間を楽しんでいた。


ひよりは膝の上に神刀・紅緒(刀身)を横たえ、今日買った天然椿油を絹布に一滴垂らした。


「紅緒、いつも刃を痛めてまでうちを守ってくれて、ほんまにありがとね……」


優しく丁寧な手つきで、ひよりが刀身を拭っていく。ひよりの温かい手が触れるたび、神刀の刃がキィン……と心地よい鈴のような音を立て、朱色の袴を纏った紅緒が頬を染めて嬉しそうに目を細めた。


「ひより様の手は……とても温かいです。私めは、ひより様のお側で刀を振るえることが、何よりの誉れにございます」


隣では、糸吉が「チョキチョキッ!」と器用にハサミを動かし、今日買ったモコモコの毛糸で『ぬくもり用の専用カバー』を編み上げていた。


「できたチョキ! ひよりちゃん、ぬくもりちゃん! できたよ!」


完成したのは、鮮やかな朱色と黄色のチェック柄の、ふんわりと柔らかいモコモコ湯たんぽカバーだった。


ひよりがぬくもりをカバーの中に入れると、ピッタリとジャストサイズで納まった。


「うわぁぁ! ぶち可愛いじゃん! ぬくもり、どう?」


『ひより様……糸吉殿……! ああ、なんという肌触り……! お湯の熱が心地よく分散され、まるでひより様に抱きしめられているかのような温もりでございます……!』


トタン湯たんぽのぬくもりが、感激のあまりポカポカと黄金色の光を一層強く放った。


「良かったねぇ、ぬくもり!」


竹千代も手入れ油で竹尺の目盛りがくっきりと磨かれ、洗三のバケツはピカピカの真鍮の輝きを取り戻し、硯水は高級松煙墨の香りに満足そうに目を細め、おみくじ箱は新しい金糸の結び紐を誇らしげに見せびらかし、ステラはクリスタルケースの中で気持ちよさそうに揺れていた。


ポカポカとした午後の陽気。 海からの優しい風が、ひよりの髪をサラサラと揺らす。


ひよりは、モコモコカバーを着たぬくもりを胸に抱きかかえ、芝生の上にコロンと横になった。


「ふあぁぁ……なんか……ぶち眠くなってきちゃったわぁ……」


「ひより様、どうぞお眠りください。我ら全員が、ひより様をお守りしております」。


紅緒が優しく膝枕をしてくれ、膝の上でぬくもりがじんわりとした温かさを提供してくれる。


竹千代が「ひより様の睡眠深度、正常値」と静かに呟き、硯水が「良い夢を」と囁いた。


「みんな……いつも……ありがとね……」


広島呉弁の少女・ひよりは、大好きな八百万の付喪神たちに囲まれながら、安心し切った顔で静かにすやすやと幸せな寝息を立て始めた。


波止場に揺れる青い海と、輝く太陽。 激しい冒険の合間に訪れた、最高に温かく心地よいポルトーの休日は、穏やかな笑顔とともにゆっくりと過ぎていくのであった。ーー

今回は学園を卒業してからのお話です。


励みになりますので、☆をチェックしてもらえると嬉しく存じます。

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