↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

54/86

冒険者編 ポルトー6【前編】:古代海底遺跡と水底の導き(探索準備・準備編)

ひよりの冒険者編の始まりです。よろしくお願いします

学園を卒業したので、丁寧語ではお話ししません!

登場人物等も方言で物語が進んでいきます。

間違った方言も多数あると思いますのでごめんなさい!

これからもよろしくお願いします


途中で、脱線することもあると思いますが、ゆっくりと見守ってください。

作品の内容が前後することが多々あると思いますが、大目に見て頂ければ、うれしく存じます。

これからもよろしくお願いします。


第1章:朝の港と天球儀の導き


【AM 08:00 | 宿屋「海猫亭」・ひよりの客室】


ポルトーの街に心地よい朝陽が差し込み、潮風が部屋のカーテンを優しく揺らしていた。 昨夜の雨は綺麗に上がり、澄み切った青空がどこまでも広がっている。


ひよりはベッドの上で「んん〜〜っ!」と大きく身体を伸ばすと、枕元で可憐な光を放つ手のひらサイズの天球儀の付喪神・ステラに視線を向けた。


「ステラ、おはよう! 朝からぶち綺麗に光っとるねぇ」


『ひより様、おはようございます! あの……見ていただけますか?』


ステラが嬉しそうに小さな羽を羽ばたかせると、天球儀の真鍮の輪がカチカチと心地よい音を立てて旋回し始めた。中央の水晶体から光が溢れ出し、部屋の壁一面に美しい「立体星空図」と「ポルトー沖の海図」が浮かび上がる。


その海図の特定の一点——港から少し離れた浅瀬の海底で、青く眩い光が点滅していた。


「うわぁ……なんねこの光? 港のすぐ近くの海の中じゃん」


文机の付喪神・硯水がそっと浮遊し、眼鏡を光らせて浮き出た文字を読み解く。


『ふむ……ひより殿。ステラ殿が示しているのは、数百年前のポルトーがまだ古代都市だった時代、地変動によって海底へ沈んだとされる『沈没都市の古代遺跡』の座標にございます。この星の配列……今朝から数日間、潮の満ち引きによって最も浅瀬の海底へのアプローチが容易になる絶好の好機を示しておりますぞ』


「古代海底遺跡……! ぶちワクワクするねぇ!」


ひよりの呉弁の興奮に答えるように、腰の『おみくじ箱』がカコンと音を立てて揺れた。


『ひより様! 拙者のおみくじも引いてくだされ!』


ひよりがシャカシャカとおみくじ箱を振ると、小さな木札が一本跳び出した。


「本日の運勢……『大吉』! 『水底(みなぞこ)に眠る古き知恵を求めよ。聖なる泡と固き絆が、未知なる扉を開かん』! よっしゃぁ! 完璧な大吉じゃ!」


「カッカッカ! ひより様、冒険者ギルドで海底探索の許可と依頼を受けに向かいましょうぞ!」


木製しゃもじの飯蔵が大声を上げ、ひよりたちは活気あふれる朝の港へと飛び出した。


第2章:ギルドでの依頼受託と老漁師の警告


【AM 09:30 | 冒険者ギルド「潮風の錨亭」】


「なにっ!? ポルトー沖の海底遺跡の探索だと!?」


ギルドマスターは、ひよりが提出したステラの精密な海底地図を見るや、驚きで目を見開いた。


「この座標……古くから噂されていたが、潮の流れが速すぎて誰も近づけなかった幻の沈没都市じゃないか! ひよりちゃん、もし本当に到達して内部の調査と古代遺物の持ち帰りができれば、ギルドから特大の特別報奨金銀貨三十枚(約三十万円相当)を支払うよ! ぜひ受けてくれ!」


「やるやる! うち、絶対に調査してくるよ!」


ひよりが元気に依頼を受託してギルドを出ると、港の波止場で網の手入れをしていた薩摩弁風のイカつい老漁師・ゴンゾウ爺さんが、ギロリとこちらを睨みつけた。


「おいおいお前さん方、正気かっ!? あの浅瀬の海底遺跡に潜ろうっち言っとるんか! 命がいくらあっても足らんぞ!」


「ゴンゾウのおじいちゃん、なんでなん? なんが危ないん?」


ひよりが尋ねると、ゴンゾウは太い腕を組み、深海を指さしながら重々しい声を響かせた。


「あの遺跡の周りにはな、『大渦クラーケン』っつう巨大な八本足の怪物が出没するといわれとる! 船をも丸ごと海中に引きずり込む恐ろしい魔物じゃ! 息もできん海底でそんな奴に遭遇したら、一たまりもなかぞ! やめときなさい!」


ひよりは少し身を引いたが、リュックの横で神刀の紅緒がカチリと鞘を鳴らした。


「ゴンゾウ殿、ご助言感謝いたします。ですがひより様には、我ら八百万の付喪神がついております。不測の事態があろうと、必ずやお護りしてみせます」


「ぐぬぬ……相変わらず度胸のすわったお嬢ちゃんたちじゃ……。どうしても行くっち言うなら、おいどんの頑丈な小舟を貸してやる! 無事で帰ってこいよ!」


「ゴンゾウのおじいちゃん、ありがとねーっ!」


第3章:洗三の特製「エアカプセル」と水中準備実験


【AM 11:30 | ポルトー・東波止場の静かな入り江】


小舟を出す前に、ひよりたちは最大の課題である「水中での呼吸と行動」のための実験を行っていた。


「いくら足がつく浅瀬でも、海の中に潜ったら息ができんけぇね。どうやって潜るん?」


「ひよりお姉ちゃん、僕にまかせて!」


三つ仕切りバケツの付喪神・洗三が元気よく前に躍り出た。手にした三つ仕切りバケツには、清らかな湧き水がなみなみと湛えられている。


「洗三のバケツはね、お水だけじゃなくて『綺麗な空気』も閉じ込めておけるんだよ! えいっ!」


洗三がバケツをくるりとひっくり返して空気をすくい上げ、波止場の海へ向かってバシャーンと投げかけた。


すると、透明な水膜で包まれた直径二メートルほどの大きな「聖なる空気の泡(エアカプセル)」が、海水の中にフワフワと浮かび上がったのだ!


「うわぁぁぁぁ! 水の中に大きなシャボン玉ができたよ!」


『ふむ……見事ですな、洗三殿』


文机の硯水がそっとカプセルに触れて分析する。


『この洗三殿の水膜は、海水の圧力を完全に遮断し、内部に常に清らかな酸素を循環させる性質を持っています。これならカプセルの中に入ったまま、海底を陸上と同じように歩行・呼吸・会話が可能ですぞ!』


「すごぉぉい! 洗三、天才じゃね!」


「えへへ、ひよりお姉ちゃんのためだもん!」


さらに、竹定規の竹千代が水中に向かって竹尺を突き差し、ミリ単位で測定を始める。


「水深十二メートル、水圧・屈折率の補正完了。水中での間合い計算、通常時と変わらぬ精度で弾き出せます」


「チョキチョキ! 糸吉の粘着糸も、水中でもバッチリ切れないように強化しておいたチョキ!」


糸切りバサミの糸吉も準備万端だ。


「よし! これなら海底遺跡も怖ないね! みんな、準備はええかい!?」


「「「おーっ!!」」」


第4章:ポルトー沖への出航と神秘の海底遺跡


【PM 01:30 | ポルトー沖・透き通る浅瀬】


ゴンゾウ爺さんから借りた頑丈な木造の小舟に乗り込み、ひよりたちはポルトーの港を背にして出航した。


オールを漕ぐのは特大木製しゃもじの飯蔵だ。


「カッカッカ! ひより様、素晴らしい進水式でございますな! 潮風が実に心地よい!」


「飯蔵、ぶち頼もしいわぁ!」


小舟が天球儀ステラの指し示すポイントに到達すると、海の色がエメラルドグリーンから深いコバルトブルーへと変化した。


「ひより様、目的地の上に到着いたしました! この真下です!」


ステラが指さす海面をひよりが覗き込むと、透き通った海水越しに、海底に整然と並ぶ巨大な白亜の石柱や、古代の神殿の屋根がはっきりと見えた。


「うわぁぁぁぁ……! ほんまに海の中に街があるよ……! ぶち綺麗じゃ……!」


「ひより様、洗三殿のエアカプセルを展開し、海底へと降下いたしましょう」


神刀の紅緒が静かに手を差し伸べる。


「うん! 洗三、お願い!」


「うん! 聖なるエアカプセル・大展開ーッ!」


洗三のバケツから放たれた巨大な透明な空気の泡が、ひよりと付喪神たち全体をすっぽりと包み込んだ。


ポンッ!


小舟から海へと飛び込むと、一瞬浮遊感に包まれ、次の瞬間にはエアカプセルごとスルスルと吸い込まれるように海底へと降下していく。


カプセルの外側を、色鮮やかな熱帯魚や光るクラゲたちが気持ちよさそうに泳ぎ抜けていく。


「すごぉい……! お魚がすぐ目の前におるよ! 全然息も苦しくないし、濡れんけぇぶち快適じゃね!」


昭和レトロなトタン金属製湯たんぽの「ぬくもり」が、ポカポカとした温かさでひよりの手を温めてくれる。


『ひより様、海中は少々冷えますゆえ、私めをしっかり抱きかかえてくだされ』


「ぬくもり、ありがとね。ほんまにあたたかいわぁ」


第5章:海底神殿への参入と忍び寄る影


【PM 02:30 | 海底都市の石畳】


トン……。


エアカプセルが静かに海底の石畳に着地した。


周囲には、海藻やサンゴが美しく絡みついた古代の神殿や、精巧な彫刻が施されたアーチが立ち並び、まるで時間が止まったかのような幻想的な世界が広がっている。


「ここが……古代海底遺跡なん?……」


ひよりが感動に胸を躍らせていると、ステラが天球儀の光を神殿の最奥にある巨大な扉へと向けた。


『ひより様、あの扉の向こうに、古代の知恵と秘宝が眠っています……!』


「よし! 行ってみよう!」


ひよりたちがエアカプセルを転がすようにして神殿の参道を進み始めた、その時だった。


グラグラグラッ……!


突如として海底全体が激しく揺れ動き、石畳の隙間から大量の気泡が湧き上がった!


「な、なんねこの揺れは!? 地震かいね!?」


『ひより殿! あれをご覧なされ!』


硯水が叫んだ先——神殿の影となった漆黒の海溝から、太さ数メートル、長さ十数メートルを超える巨大な赤黒い「触手」が、うねうねと波打しながら姿を現した!


びっしりと並んだ巨大な吸盤、そして暗闇の中でギラギラと不気味な黄色に光る巨大なふたつの目玉。


老漁師ゴンゾウが警告していた海底の悪魔——『大渦クラーケン』が、ひよりたちの侵入を察知して目を覚ましたのだ!


「ギシャアアアアアアアッッ!!」


海水を震わせる咆哮とともに、巨大な触手がエアカプセルに向かって一斉に振り下ろされる!


「ひえぇぇぇぇッ! 出たぁぁぁぁッ!!」


「ひより様、お下がりを! 水中であれ何であれ、ひより様を害するものはこの紅緒が斬り伏せます!」


朱色の袴を纏った神刀の紅緒が、神聖な光を放つ刃を解き放ち、前に立ちはだかった!


果たして、息の詰まる水中での死闘の行方は……!?


【ひよりの日記】


パパ、ママへ。今日はステラの導きで、ポルトー沖の古代海底遺跡へ探索に来たよ! 洗三の泡のカプセルのおかげで、海の中でも息ができてぶち快適じゃったよ。でも、奥でぶちでっかいタコ(クラーケン)が出てきたんよ! 紅緒と一緒に絶対に無事で帰るけぇね! ひよりより

今回は学園を卒業してからのお話です。


励みになりますので、☆をチェックしてもらえると嬉しく存じます。

リアクションボタンもよろしくお願いします


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。