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5 お賽銭箱 前編

新作 第3弾目の投稿です。

題名 転生したらしいけどスキルデッドストックって何???

今回の主人公は海軍さんの街呉からの転生した女子高生のお話です

はちゃめちゃのスキルで異世界を乗り越えます。


誤字脱字が多くなると思いますが、よろしくお願いいたします。

途中で、脱線することもあると思いますが、ゆっくりと見守ってください。

作品の内容が前後することが多々あると思いますが、大目に見て頂ければ、うれしく存じます。


パラレルワールド編 ダビンチは世界遺産のナスカから謎の大陸ムーのお話です!

当初から作品を見ていただき本当にありがとうございます。

大変励みになっております。


これからもよろしくお願いします。

では、参ります!!

## 第一章: 


古代迷宮の最下層に眠る三頭の巨竜を「呪いの藁人形」と「現実改変執筆」のコンボで灰にしてから数週間。


ルミナス魔法学院の図書室は、すっかり天照ひよりと、その愉快な付喪神つくもがみたちの定位置、もとい「臨時の執筆室」と化していた。


「……はぁ。もうすっかり街の有名人になっちゃってさ。昨日なんか、エルフの果物屋さんから『迷宮を救った大巫女様、これ持ってって!』って、見たこともない紫色の瑞々しいリンゴを山ほど貰っちゃったよ」


ひよりは机の上に突っ伏し、貰ったばかりの異世界の果実を転がしながら、気の抜けた声を上げていた。十六歳の女子高生(兼・見習い召喚士)にとって、英雄としての重圧は少々荷が重いらしい。


「良いことではないか。人々に施しを受け、感謝される。それはまさに、神職の末裔が受けるべき正当な信仰の形だ。お主の魔力タンクが日増しに巨大化しているのも、その感謝の念がこの世界の『神気』となってお主に還元されているからだろう」


私は人型の姿で、愛用の文机の前に座り、万年筆のペン先を丁寧に磨いていた。

私の名前は『硯水けんすい』。千年以上もの間、あの超ど田舎の神社で、数々の人間の感情を書き連ねてきた文机の付喪神であり、自称・才能あふれる小説家である。


「いや、魔力が増えたのは嬉しいんだけどさ! そのおかげで、最近『デッドストック』のスキルが勝手にうずくっていうか……実家の埋没した蔵の奥から、『俺を早く出せー!』って、いろんな道具の執念が脳内に直接ノックしてくるんだよね」


「ほう。それは興味深いな。我が故郷の神社には、本殿や東西の蔵だけでなく、名もなき小さな祠や、歴代の神主が趣味で集めた『ガラクタの山』が数多く存在していた。お主の魔力が上がったことで、それらの眠りが浅くなっているのだろう」


「ガラクタって言わないでよ! みんな大事に使われてた付喪神様なんだから!」

ひよりが頬を膨らませた、その時だった。


図書室の窓が、ガタガタと激しく震え始めた。

いや、震えているのは窓だけではない。学院の敷地全体、いや、このルミナスという都市全体を揺るがすような、不気味で重苦しい「魔力の地鳴り」が響いてきたのだ。


「な、何事!? また魔王軍!? それとも迷宮がまた暴走したの!?」

ひよりが慌てて窓の外を覗き込む。


そこには、驚くべき光景が広がっていた。

雲一つない青空だったはずの天空に、突如として「巨大な黄金の天秤」の幻影が浮かび上がり、街全体を覆い尽くそうとしていたのである。

その天秤の周囲には、無数の天使のような翼を持つ魔物――『ジャッジメント・エンジェル』が群れをなして飛んでいた。

ドタドタと足音を響かせ、生徒会長のセリアが息を切らせて図書室に飛び込んできた。


「ひ、ひよりさん! 大変なことになりました! ついに、あの組織が動いたのです!」


「セリア様! あの組織って、また魔王軍の幹部ですか?」


「違います! 魔王軍よりも性質たちが悪い、この世界の『神の秩序』を絶対とする宗教国家の最精鋭――【異端審問騎士団】です! 彼らは、君が迷宮や魔王軍との戦いで見せた『世界の理から外れた召喚術』を不浄な異端と認定し、君の身柄を拘束し、この街の全財産を『神の名の元に没収』すると宣言しました!」


「えええええええっ!? せっかく世界を救ったのに、今度は神様系の騎士団に目をつけられたの!?」

ひよりは頭を抱えて叫んだ。


「なるほど、神の名の元に没収、か」

私はペンを置き、冷ややかな笑みを浮かべた。


「自らの理解を超えた力を『異端』と呼び、それを奪い取ろうとする。どこの世界でも、権力を持った聖職者の考えることは同じだな。……ひより、どうする? 大人しくお縄を頂戴して、彼らの言う『神の審判』とやらに従うか?」

「従うわけないでしょ! 私の『デッドストック』は、あの優しい別嬪神様から貰った大切なスキルだし、何より実家のみんなをあんな物騒な騎士団に渡してたまるもんですか!」

ひよりの黒い瞳に、強い決意の炎が灯る。


「よし。ならば、あの思い上がった天秤を、我らの泥臭い歴史で叩き割ってやろうではないか」


## 第二章:異端審問と「お賽銭箱の守銭奴」

学院の正門前広場は、すでに異様な緊張感に包まれていた。


純白の鎧を纏い、背中に光の翼を生やした百人以上の騎士たちが、一糸乱れぬ隊列で街を包囲している。その中心に立つのは、異端審問官の長である枢機卿、バルド。彼は巨大な黄金の杖を掲げ、傲慢な声を響かせた。


「異端の召喚士、天照ひより! お前が呼び出す『得体の知れない邪神の道具』は、この世界の調和を乱す悪魔の産物である! 大人しく降伏し、すべての召喚物を我が教会へ引き渡せ! さもなくば、この街ごと『浄化の炎』で焼き尽くす!」


「おいおい、大層な御託を並べおってからに。ウチを邪神の道具呼ばわりするとは、あの白タイツ野郎、一回綺麗に首を刎ねて教育してやらんといかんなぁ?」


ひよりの腰の紅一文字(紅緒)が、不快そうにカタカタと鳴る。


「待ちねえ、紅緒の姉さん。敵は『神の加護』とやらで、こちらの物理攻撃をパーセンテージで減衰させる聖なる障壁を張ってやがる。力任せに斬り込んでも、あの数の騎士を一人で相手にするのは燃費が乱れるぜ?」

懐の中から吉凶(おみくじ箱)が冷静に分析する。


「ふむ。相手が教会の人間で、目的が『没収(こちらの財産を奪うこと)』か」

私はひよりの背後で、思考を巡らせた。


「ならば、我が神社の境内で最も『人間の金欲と強欲』を吸い尽くし、あらゆる不当な搾取に対して鉄壁の防御を誇っていた、本殿の正面に鎮座していた『あの重鎮』を呼び出すのが最適解だろう」


「本殿の正面……? あ! まさか、毎日みんながお金を入れてた、あの……!」


「そうだ。彼を呼び出せ。教会の連中に、本物の『集金と防衛のプロ』の恐ろしさを教えてやるのだ」

ひよりは広場の中央へ一歩進み出ると、これまでにないほど澄んだ、しかし力強い魔力を足元に叩きつけた。


「デッドストック、発動! 我が故郷の神社にて、千年の間、人間の願いと引き換えに金銭をがめつく守り続けてきた、最強の盾をここに!」


ズゥゥゥゥン!!!


バルド枢機卿の目の前に、突如として出現したのは――頑丈なけやきの木で作られ、太い鉄帯で幾重にも補強された、超巨大な『お賽銭箱おさいせんばこ』だった。その上部には、格子状の細い投入口が整然と並んでいる。


「ガハハハハ! カランカラン、と景気の良い音が聞こえねえと思ったら、ここはどこだ!? 随分と小綺麗な白物しろものが並んでやがるじゃねえか!」


賽銭箱の影から立ち上ったのは、金の刺繍が施された豪華な羽織を羽織り、数珠の代わりに小銭を繋げたネックレスをジャラジャラと鳴らす、恰幅の良い中年男性の姿をした付喪神――名を『金蔵かねくら』という。千年の間、氏子や観光客が投げ入れる硬貨を受け止め、その「絶対に金を外へ逃がさない」という強い守銭奴的執念から生まれた、賽銭箱の付喪神だ。


「金蔵さん! あの白い騎士たちが、私たちの道具(財産)を全部没収するって言ってるの!」


「ああん!? 没収だぁ!? ワシの前で『没収』なんて不届きな言葉を口にするんじゃねえ! この世の金と宝はすべてワシの箱に入るためにあるんだ! 出すのは一円だって許さんぞ! ――【神域奉納・絶対不可侵しんいきほうのう・ぜったいふかしん】!」


金蔵が懐から巨大な『すず』を取り出し、激しく振り鳴らした。


カランカラン、カランカラン!


その瞬間、ひよりたちの周囲に、無数の五円硬貨と五十円硬貨の幻影が重なり合って作られた、黄金に輝く「巨大な格子状の結界」が展開した。


「ふん、小賢しい! 異端の盾など、我が【審判の光】で打ち砕いてくれるわ! 全軍、放て!」


バルド枢機卿の命令で、百人以上の審判騎士が一斉に光の槍を放った。激しい光の豪雨が、金蔵の張った賽銭箱の結界に降り注ぐ。


ズガガガガガガガッ!!!


凄まじい爆音が響き渡り、周囲の石畳が粉々に砕け散った。


セリアが「ひよりさん!?」と悲鳴を上げる。

しかし、土煙が晴れたそこには、傷一つないどころか、ますます怪しく輝きを増した黄金の結界と、鼻で笑う金蔵の姿があった。


「……な、何だと!? 我が神の光が、完全に無効化された……!?」

バルドが目を見開く。


「ガハハハ! 無効化じゃねえよ、白モヤシ! よーく見てみやがれ、ワシの箱の中身をよぉ!」


見れば、騎士たちが放った「光の槍(純粋な魔力エネルギー)」は、結界の格子を通り抜けた瞬間、すべて『ピカピカに磨かれた百円玉の山』へと強制的に変換され、大賽銭箱の中にジャラジャラジャラ……と小気味良い音を立てて吸い込まれていっていたのである。


「あ、ありえん……! 我が審判の魔力が、ただの硬貨に変換されて、貯金されているというのか!?」


「ワシの賽銭箱はな、投げ込まれた『願い(魔力)』をすべて自分の資産にするんだよ! 攻撃してくればしてくるほど、ワシの懐が潤うって寸法よ! さあ、もっと貢ぎやがれ、この信心浅き迷える子羊どもめ!」


金蔵の不条理極まりない「エネルギー吸収貯金能力」の前に、異端審問騎士団の攻撃は完全に無力化されてしまった。

みなさま、どんな風に感じてもらったのでしょうか?

少しでも面白いかもと思って頂けましたら幸いです。

励みになりますので、☆☆☆☆☆をチェックしてもらえると嬉しく存じます。

これからもお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

今回は女子高生のお話です。

よろしくお願いします。

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