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3鉄鍋とおみくじ箱 前編

新作 第3弾目の投稿です。

題名 転生したらしいけどスキルデッドストックって何???

今回の主人公は海軍さんの街呉からの転生した女子高生のお話です

はちゃめちゃのスキルで異世界を乗り越えます。


誤字脱字が多くなると思いますが、よろしくお願いいたします。

途中で、脱線することもあると思いますが、ゆっくりと見守ってください。

作品の内容が前後することが多々あると思いますが、大目に見て頂ければ、うれしく存じます。

パラレルワールド編 ダビンチは世界遺産のナスカから謎の大陸ムーのお話です!

当初から作品を見ていただき本当にありがとうございます。

大変励みになっております。


これからもよろしくお願いします。

では、参ります!!

## 第一章: 『鉄鍋の魔女』???


魔王軍の幹部を「炊き出し」で撃退するという、世界の戦史を根底から覆すような大事件から数週間。

ルミナス魔法学院における天照ひよりの立場は、「ド田舎出身の無能召喚士」から「得体の知れない古代遺物を操る、怒らせてはいけない特級危険人物」へと完全に変貌を遂げていた。


廊下を歩けば、すれ違うエリート貴族たちが「ひっ、あの鉄鍋の魔女だ……」「目を合わせるな、スープにされるぞ」と怯えたように囁き合う。


「……ねえ、硯水さん。私の二つ名、おかしくない? 『鉄鍋の魔女』って何? せめて『霧と剣の美少女巫女』とかさ、もうちょっとこう、小説家としてマシなネーミングを周囲の脳裏に植え付けられなかったの?」


学院の最奥にある、普段は誰も立ち入らない古びた図書室。その片隅で、私は依り代である文机を実体化させ、優雅にインクを補充していた。


「何を言うか、ひより。読者というものは、大仰な肩書きよりも、ギャップのある俗称を好むものだ。『鉄鍋の魔女』、実にキャッチーで私は嫌いではないぞ。それに、私の『現実改変執筆プロット・ドライブ』をそんな瑣末な世間の評判の書き換えに使うなど、インクの無駄遣いというものだ」


「私の魔力の無駄遣いでしょ! あーあ、パパとママ、今頃呉のレンガ通り近くで海軍カレーでも食べてるのかな……。娘が異世界で鍋の擬人化みたいに扱われてるって知ったら、どんな顔するんだろ」


ひよりが机に突っ伏してため息をついた、その時だった。

図書室の重厚な扉が、凄まじい勢いで跳ね開けられた。


「天照ひより! ここにいたか!」


息を切らせて飛び込んできたのは、学院の生徒会長であり、この国の第一王女でもあるエルフの少女、セリアだった。金髪の美しい髪を振り乱し、その端正な顔は焦燥に染まっている。


「セリア様? どうしたんですか、そんなに慌てて。また魔王軍がスープの味見にでも来たんですか?」

「冗談を言っている場合ではない! 大変なことが起きた。……学院の地下深くに封印されていた『古代迷宮ダンジョン』の最下層が、突如として活性化し、地上の街へ向かって『魔物の氾濫スタンピード』を始めようとしている!」


セリアの話によれば、このルミナス魔法学院は、もともと古代の超魔法文明が残した巨大な地下迷宮の「蓋」として建てられたものらしい。


それが、先日の魔王軍の襲撃によって地脈のバランスが崩れ、封印がひび割れてしまったというのだ。


「すでに学院の精鋭騎士団が地下へ向かったが、迷宮の特殊な環境――あらゆる『現代の魔法』を無効化する【反魔の障壁】の前に、まともに戦えず撤退してきた。……現代の魔法が効かない以上、私たちが頼れるのは、君の操る『あの世界のことわりから外れた召喚物』だけなのだ!」


「現代の魔法が効かない迷宮……?」

ひよりが不安げに私を見る。


私はパイプの煙をくゆらせながら、不敵に口角を上げた。


「ふむ。この世界の魔法構築理論とは異なる、純粋な『道具の執念と歴史』によって動く我ら付喪神には、その手の障壁は一切通用せん。むしろ、小説の舞台としてはこれ以上ないほどおあつらえ向きの『クローズド・サークル(閉ざされた空間)』だな。よし、いこうではないか、主よ。新たなる章の幕開けだ」


## 第二章:地下迷宮と「おみくじの箱」


学院の地下に隠されていた巨大な鉄の扉を開けると、そこには下へと続く果てしない螺旋階段と、どす黒い魔力の霧が渦巻く異空間が広がっていた。

同行するのは生徒会長のセリア。そして、ひよりのリュックには私が収まり、腰には紅一文字(紅緒)の刀が納められている。


「冷えるのう。この世界の地下は、日本の井戸の底に似ておるが、どうにも情緒というものがない」


ひよりの影から、蓑を被った蓑翁さおうが顔を出して呟く。


「当たり前でしょ、おじいさん。ここは魔物の巣窟なんだから。……ねえ、紅緒姉さん、準備はいい?」


「おう、いつでもいけるで。魔法が使えん空間なら、ウチの物理ぶったぎりの独壇場じゃ。そこのエルフの姉ちゃんも、ウチの切れ味に腰抜かすなよ?」


腰の刀がカタカタと鳴り、セリアが「刀が、喋った……!?」と目を丸くしている。

地下三階まで降りたところで、通路の先から無数の赤い眼光が迫ってきた。

体長二メートルを超える、鋼鉄の皮膚を持つ大蜘蛛『アイアン・スパイダー』の群れだ。


「来るぞ! 【火球ファイアボール】!……くっ、やはり魔法が発動しない!」

セリアが杖を振るうが、魔法陣は出現した瞬間に霧散してしまう。


「ウチに任せとき!」


ひよりが紅一文字を引き抜き、前方へ躍り出ようとした。しかし、通路の天井や壁からも次々と蜘蛛が這い出し、完全に包囲されていることに気づく。数があまりにも多すぎる。


「ちょっと、これじゃあ前衛の紅緒姉さんだけじゃ捌ききれないよ! 硯水さん、広範囲を足止めできる付喪神様はいないの!?」


「足止め、かつ迷宮の攻略に適した者か。ならば、あの神社の境内で最も『人の運命を惑わせ、立ち止まらせてきた』、本殿の横に置かれていたあの箱を呼ぶといい」


「本殿の横の箱……? あ、まさか!」

ひよりは足を止め、精神を集中させた。


「デッドストック、起動! 我が故郷の境内にありし、人の運命を百円で弄ぶお宝(?)よ、出よ!」


泥の魔法陣から現れたのは、六角形の形をした、古びた木製の『おみくじの箱』だった。上部に小さな穴が一つ開いている。


「ガラガラガラ……。へいへい、誰だい、俺の昼寝を邪魔する奴は。一回百円、お代は見てのお帰りだよ」


箱の中から聞こえてきたのは、江戸っ子のような、軽妙で少し生意気な少年の声だった。彼の名は『吉凶きっきょう』。何百年もの間、何万人もの参拝客に「大吉」や「大凶」を突きつけ、その一喜一憂の感情を吸って神格を得た、おみくじ箱の付喪神だ。


「吉凶くん! 蜘蛛の群れだよ! なんとかして!」

「おっと、随分と毛深いお客さんだねぇ。いいぜ、俺の『運命演算ディスティニー・ドロー』を見せてやる。――おい、そこの化け物ども! 神の託宣おみくじを引いていきな!」


吉凶がその身体を激しくシェイクすると、上部の穴から、無数の木製の『みくじ棒』がマシンガンのように射出された。


シュシュシュシュシュッ!


放たれたみくじ棒は、アイアン・スパイダーたちの額にピタリと貼り付いた。その瞬間、棒の表面に赤い文字が浮かび上がる。


「【大凶:転んで頭を強打する】!」


吉凶が叫んだ瞬間、先頭の巨大蜘蛛が、何もない平らな床でなぜか激しく足をもつれさせ、頭から激突して自重で気絶した。


「【凶:重度のぎっくり腰】!」


別の蜘蛛たちが、背中の関節を派手に鳴らし、その場から一歩も動けなくなってのたうち回る。

「【末吉:なんかちょっと痒い】!」


「それは地味に嫌だけど戦闘に関係ないでしょ!?」とひよりがツッコミを入れるが、蜘蛛たちは一斉に自分の体を脚で掻き始め、完全に戦闘不能に陥っていた。


「すごい……! 因果律を操作して、強制的に不運を引き起こしているの……!?」

セリアが驚愕の声を上げる。


「へへん、これが俺の力さ。運が悪い奴は何をやってもダメ、それがこの世の真理ってね!」

「よし、遊んどる暇はないな! 動けん奴から順番に、あの世へ送ったるわ!」


紅一文字を構えたひより(を操る紅緒の力)が、身動きの取れない蜘蛛の群れを次々と一刀両断にしていった。

みなさま、どんな風に感じてもらったのでしょうか?

少しでも面白いかもと思って頂けましたら幸いです。

励みになりますので、☆☆☆☆☆をチェックしてもらえると嬉しく存じます。

これからもお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

今回は女子高生のお話です。

よろしくお願いします。

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