ボランティア後編
新作 第3弾目の投稿です。初日からたくさんの方に読んでいただきありがとうございます
題名 転生したらしいけどスキルデッドストックって何???
今回の主人公は海軍さんの街呉からの転生した女子高生のお話です
はちゃめちゃのスキルで異世界を乗り越えます。
誤字脱字が多くなると思いますが、よろしくお願いいたします。
途中で、脱線することもあると思いますが、ゆっくりと見守ってください。
作品の内容が前後することが多々あると思いますが、大目に見て頂ければ、うれしく存じます。
パラレルワールド編 ダビンチは世界遺産のナスカから謎の大陸ムーのお話です!
当初から作品を見ていただき本当にありがとうございます。
大変励みになっております。
これからもよろしくお願いします。
では、参ります!!
## 第三章:亜人の集落と「喋る蓑」
学院での地位を確立したひよりだったが、彼女の元には新たな問題が舞い込んできた。
近隣の森に住む亜人(エルフや獣人)の集落が、凶暴な魔物の大群に襲われ、壊滅の危機に瀕しているという。学院から「ボランティア(という名の強制任務)」として、ひよりたちが調査に赴くことになったのだ。
「うぅ、なんで私がこんな危険な場所に……。実家のパパとママは今頃、呉のあたりで美味しい肉じゃがでも食べてるのかなぁ……」
「弱音を吐くな、ひより。お主は神主の娘だろう。困っている民を救うのは、神職の末裔としての義務だ」
私は文机の姿で、ひよりの背負うリュックに(超小型化して)収まりながら声をかける。
「だって、今回の魔物は『シャドウウルフ』の群れだよ!? 気配を消して影から襲ってくるんだって! 紅緒姉さんの超スピードでも、影の中に隠れられたら斬れないよ!」
「ふむ。隠密と索敵、そして防御か。ならば、西の祠に祀られていた『あの偏屈じいさん』の出番だな」
「偏屈じいさん……?」
亜人の集落に到着した時、すでに周囲は暗黒の霧に包まれていた。
あちこちからエルフたちの悲鳴が聞こえる。影から這い出た狼たちが、容赦なく彼らを追い詰めていた。
「ひより、デッドストックの準備を!」
「分かった! 来て、おじいさん!」
ひよりが呪文を唱えると、足元の影から、ボロボロに擦り切れた草製の『蓑』が出現した。
「……ふぁぁぁ。なんじゃ、喧しいのう。せっかく千年の眠りについとったというのに、誰じゃワシを叩き起こしたのは」
現れたのは、蓑を頭からすっぽり被った、小さな小さな老人の付喪神――名を『蓑翁』という。
「おじいさん! 今それどころじゃないの! 周りを見て!」
シャドウウルフの一頭が、ひよりの背後から音もなく飛びかかってきた。
「危ない!」と叫ぶひより。
しかし、蓑翁はふんと鼻で笑った。
「慌てるな、小娘。ワシを誰だと思っとる。千年の間、あぜ道の雨風を凌ぎ、時には行き倒れの旅人の命を隠し通してきた『隠れ蓑』の蓑翁じゃぞ。――【千重霧】」
蓑翁が身震いすると、彼の身体から、濃密な「白霧」が爆発的に広がった。
その霧は、ただの霧ではない。日本の神社の境内に立ち込めるような、厳かで、一切の穢れを拒絶する「結界の霧」だった。
「グオォン!?」
シャドウウルフたちが霧に触れた瞬間、完全にその視界と「気配」を失い、混乱して右往左往し始めた。逆に、霧の中にいるひよりやエルフたちからは、影の中に潜む狼たちの位置が『赤く光る輪郭』として丸見えになったのである。
「す、すごい! 敵の位置が完全に分かる!」
「ガハハ! 位置が分かればこちらのものよ! ひより、ウチを抜け!」
紅一文字(紅緒)が叫ぶ。
「いくよ、紅緒姉さん!……はぁぁぁ!」
ひよりは紅一文字を構え、霧の中を疾走した。蓑翁の結界に守られ、敵の攻撃は一切ひよりに届かない。ひよりが刀を振るうたび、紅緒の超絶な剣技が炸裂し、シャドウウルフたちは一頭、また一頭と確実に仕留められていった。
「ふむ、実に見事な連携だ。これは良い小説のネタになる」
私はリュックの中からその光景を観察し、メモ帳(これも付喪神の一種)にガシガシと記録していく。
『――少女の振るう刃は、神聖な霧を引き裂き、闇の獣を屠る。その姿はまるで、失われた古代の戦巫女のようであった。』
「ちょっと硯水さん! 私の恥ずかしいポエムをリアルタイムで書き換えるのやめて! なんか体が勝手に神々しいポーズ取っちゃうから!」
「おっと、すまん。つい筆が乗ってしまった」
こうして、亜人の集落は無事に救われた。
エルフの長老は、ひよりの前に跪き、「おお、偉大なる霧と剣の巫女様……!」と涙を流して感謝した。ひよりは「いやいや、私はただの女子高生(見習い召喚士)ですから!」と必死に手を振っていたが、彼女の評判はさらに跳ね上がることとなった。
## 第四章:魔王軍の急襲と「大鍋の怪」
物語というものは、平穏が訪れた直後に、最大の危機がやってくるのが王道である。
ひよりの活躍が異世界で噂になり始めた頃、この地域を管轄する「魔王軍の幹部」が、彼女の排除に動き出した。
ある夜、ルミナス魔法学院の上空に、巨大な魔法陣が展開した。
現れたのは、魔王軍四天王の一角、地獄の業火を操る『魔将フレイムロード』。彼が率いる数千の魔物兵が、学院を包囲したのである。
「おのれ、生意気な人間の召喚士め! 我が軍勢の炎で、この街ごと灰にしてくれるわ!」
学院の防壁は次々と破壊され、生徒たちはパニックに陥った。教師たちも、フレイムロードの圧倒的な火力の前に対抗手段を失っていく。
「ひより、これは冗談抜きで不味いぞ。敵の数が多すぎる。紅緒の剣も、蓑翁の霧も、この大軍勢を一度に相手にするには限界がある」
私は人間の姿に戻り、シリアスな表情でひよりに告げた。
「そんな……! 私の魔力じゃ、硯水さんの現実改変で『敵が全滅した』なんて書いたら、一文字目で魔力が枯渇して私が消滅しちゃう!」
「ああ。では、どうする? ここで諦めて、あの別嬪神の元へ逆戻りするか?」
「そんなの嫌! 私、まだ十六歳だよ!? 美味しいものも食べてないし、恋だってしてない! 何より……実家の神社を、みんなの思い出を、こんなところで無駄にしたくない!」
ひよりの瞳に、強い光が宿った。
「私の『デッドストック』には、まだまだ眠ってるはず。あの神社の、一番広くて、一番深くて、みんなが集まって美味しいものを食べた、あの場所の記憶が!」
ひよりは両手を地面についた。
彼女の全魔力が、体中から溢れ出す。それは青白い光から、やがて黄金色の、どこか懐かしい「お祭りの灯火」のような色へと変わっていった。
「お願い、応えて! 我が実家の、本殿の裏庭にあった、あの大きな、大きな――」
ズゥゥゥゥン!!!
学院の広場中央に、地面を揺るがして出現したのは――超巨大な、直径十メートルはあろうかという『古びた大鉄鍋』だった。
「……な、何これ? お鍋?」
ひよりが呆然とする。
「ガハハハハ! 呼んだなひより! ついにワシの出番か!」
大鍋から立ち上る湯気の中から現れたのは、割烹着を着た、ふくよかで豪快な大柄の女性の付喪神だった。その名は『鍋お袋』。千年の間、神社の秋祭りで「芋煮」や「炊き出し」を何万人もの氏子に振る舞い続けてきた、大鍋の付喪神である。
「お袋さん! 敵が炎の魔物なの! 街が燃やされちゃう!」
「ふん、炎だと? ワシの前で火力を自慢するとは、百年早いわ! ワシが千年間、どれほどの薪の火に耐えてきたと思っとるんじゃ! おい、お前たち、準備はええか!」
鍋お袋が叫ぶと、ひよりの影から、次々と小さな付喪神たちが飛び出してきた。
お盆の付喪神、お玉の付喪神、古びた茶碗の付喪神たち――いわゆる「台所道具の八百万」である。
「いくぞ、【神徳万菜・大炊き出し(しんとくばんさい・おおたきだし)】!!」
鍋お袋が巨大なお玉を振るうと、大鉄鍋の中に、周囲の「魔王軍の炎」が凄まじい勢いで吸い込まれていった。
「な、何だと!? 我が地獄の業火が、ただの鍋に吸い込まれていく……!?」
フレイムロードが驚愕する。
吸い込まれた炎は、大鍋の中で「極上の出汁」へと変換され、ぐつぐつと音を立てて煮立ち始めた。さらに、蓑翁の霧がスパイスとなり、私の文机から生み出された「言葉の旨味」が加わる。
「さあ、お前たち! これをお見舞いしてやれ!」
鍋お袋の合図とともに、大鍋から溢れ出したのは、超巨大な「スープの津波」だった。
ただのスープではない。浴びた者の「戦意」を完全に喪失させ、お腹をいっぱいに満たして「あ~、実家に帰りたいなぁ」と思わせる、究極の郷愁スープである。
「う、美味い……。何だこの優しい味は……。俺はなぜ、こんなところで戦っているんだ……?」
「故郷の母ちゃん、俺、魔王軍辞めて畑耕すよ……」
数千の魔物兵たちが、スープに溺れながら、次々と武器を落として涙を流し始めた。
フレイムロード自身も、スープを一口浴びた瞬間、その体から炎が完全に消え去り、ただの「ちょっと焦げたトカゲ男」に戻ってしまった。
「わ、我が闘争心が……消えていく……。ぬくとい……このスープ、ぬくといぞぉ……」
魔王軍幹部は、満足そうな笑みを浮かべてその場に頽れた。
## 終章:物語は続いていく
魔王軍の襲撃を「炊き出し」で解決するという、前代未聞の偉業を成し遂げたひより。
学院は救われ、彼女は街の英雄となった。
数日後。平穏を取り戻した学院の裏庭で、私たちはささやかな宴会を開いていた。
鍋お袋が作った美味しい(普通の)料理を囲み、紅緒は酒(の代わりに魔力水)を煽り、蓑翁は日向ぼっこをしている。
「いやー、一時はどうなるかと思ったけど、なんとかなるもんだね!」
ひよりはジュースを飲みながら、晴れやかな笑顔を見せた。
「ふん、お前の魔力タンクが大きくなったおかげや。ウチらも動きやすくなったわ」
紅緒がひよりの頭を乱暴に撫でる。
「そうじゃな。千年前のド田舎に比べれば、この世界も、まぁ、悪くはない」
蓑翁も満足げに頷いた。
私は文机に向かい、この一連の出来事を、一冊の本にまとめ終えたところだった。
「硯水さん、なんてタイトルにしたの?」
ひよりが覗き込んでくる。私は微笑み、表紙に力強い文字でこう書き込んだ。
『名もなき神社のデッドストック~異世界を救うのは、埋没した我が家の道具たちでした~』
「ふふ、傑作の予感がする。さあ、ひより。次のお話のプロットを考えようか。お主の物語は、まだ始まったばかりなのだから」
「うん! よーし、これからもよろしくね、みんな!」
青空の下、神主の娘と、千年の時を超えた付喪神たちの笑い声が、異世界の風に乗ってどこまでも響き渡っていった。
みなさま、どんな風に感じてもらったのでしょうか?
少しでも面白いかもと思って頂けましたら幸いです。
励みになりますので、☆☆☆☆☆をチェックしてもらえると嬉しく存じます。
これからもお付き合いのほどよろしくお願いいたします。
今回は女子高生のお話です。
よろしくお願いします。




