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『ヘルメット』他

お題をくださった皆さまに感謝します。

・『ヘルメット』を使って文章を書く。


ヘルメットには血がこびりついてた。工事中の事故で死んだ青年の被っていたものだ。良く晴れた春の午後のことだった。青年には身寄りがなく、ただ恋人だけが駆け付けた。ほぼ即死に近い状態の、青年の顔は不思議と安らかだった。その安らかな顔に恋人は口づけて、それから泣き崩れた。


・『味噌汁』を使って文章を書く。


どうしてかな。君の作る味噌汁が、本当に一番、美味しいんだ。思い返すとその言葉は、遠回しなプロポーズとなった。今時古い台詞だと自分でも思うが僕たちには似つかわしいように思えた。出汁をしっかりとった味噌汁は、二日酔いの朝でも僕の胃袋にちゃんと収まった。君の笑顔と味噌汁が一番のご馳走。


・『掃溜菊』を使って文章を書く。


長い髪の毛の綺麗な人だった。亡くなった姉は、私よりずっと容姿に秀でていた。そんな姉は、なぜか地味な掃溜菊を好んだ。姉に贈られる花は、豪勢な薔薇や百合などもあったのに。なぜかと尋ねると姉は、儚い微笑を浮かべ、だって健気じゃないと答えたのだ。そんな姉が、私は好きだった。恐らくは神も。


・『シャンプー』を使って文章を書く。


そう、いつもあの人に髪を洗ってもらうのが好きだった。節のない、すんなりと長い指は私の頭皮を引き締めるように動いた。あの人と別れてから、私は自分で髪を洗うようになった。シャンプーも変えた。あのシャンプーだと、香るたびにあの人を思い出してしまうから。弱い私は、チーズケーキを咀嚼した。


挿絵(By みてみん)


淡い青の紫陽花の花群に、一匹のハナムグリが潜り込んでいた。鈍く玉虫色に輝く小さな命は、花を恋うるように潜んでいる。これからどんな生を全うするのだろうか。私は庭の紫陽花の手入れで、偶然見つけた虫を、慈しむように眺める。隣に来た子供が、手を伸ばしそうになるのを慌てて止めた。



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