表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

クビになった四十一歳の鑑定士、呪物専門の通販配信を始める ~「この剣は持ち主を殺します」「返品できますか?」「使用後は無理です」~

作者:ramune
最新エピソード掲載日:2026/08/06
ダンジョンから出る遺物には「銘」が宿る。

品名と効果を語る表銘は、資格持ちの鑑定士なら誰でも読める。だが銘には続きがある――発動条件、代償、制約。世にいう「呪い」の正体、遺物の但し書きだ。

その裏銘まで読める「全文読み」は、現役ではただ一人。大手競売商ミダス商会の鑑定士・折口誠一(四十一歳)である。

ところが誠一は、目玉出品の名剣に「この剣は持ち主を殺します」と鑑定書を書いて、クビになった。正直すぎたのだ。

退職一時金の一部として押し付けられたのは、現金ではなく、倉庫一杯の売れ残り呪物・三百十七点。処分費を惜しんだ会社の、厄介払いである。

クビの翌日の四月一日、誠一は倉庫の隅にカメラを立て、実演販売の丁寧語で配信を始めた。

「さて本日の呪物です。絶対に嘘をつけなくなる仮面。着けて説明いたします。……ええ、ですから全部本当です」

淡々と欠点を読み上げるほど、視聴者は爆笑し、注文が入る。

褒め言葉が微妙に具体的な鎧。敵より先に土下座する魔剣。目的地に必ず遠回りで着く靴。

呪いとは、用途を間違えた性能である――そして四十一歳の誠一自身が、業界で一番の「訳あり在庫」だった。

やがて例の名剣が闇に流れ、「最強の呪物」を求める連中が店に現れる。

誠一の武器は嘘をつかない口と、実演と、利用規約だけ。今日も低評価レビューに、律儀に返信しながら。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ