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98式噴進砲 その2 (日本陸軍の頭痛)

ポチです。


さて、チャッピーさんと遊びすぎてます(笑

娘からは笑われてます。

無職は暇なんです。でも遊びの結果として、夜中の2時あたりまでパソの前で座ってる白髪のジーサンって………

何なんでしょ?(苦笑



チャッピー(ちなみに第五AIまで僕と遊んでます)に推敲を任せたためか、これまでの文章とは変わったかもしれませんが、基本は変わりません。


兵器が主役

戦前の民間会社が頑張りを見せた

組織を(行政的なものではなく)作っていけば、連絡がスムーズだよね


あたりを目指してます。


では

お楽しみください。



「はしごを登るのは 人と競り合ったり見下したりする事以外にも使えるぞ!

 自分だけの絶景を獲得できるんだよ!」

              (ロバート・ゴダード ?)



      ◇          ◇


 研究員は少し考え、紙を引き寄せた。

「砲弾は、ここで押されます」

 砲身を一本描き、その中に丸を一つ。

「火薬が燃える。ガスが膨らむ。砲弾を押す」


「うん」

小銃だって、機関銃だって、大砲だって一緒だ。


「砲口を出る」

 丸を砲身の外へ描いた。

「もう誰も押してくれません」

 そして今度は丸の後ろへ、小さな煙を書いた。

「だったら、ここでも押せばいい。弾の中に火薬を入れます」


「爆発するぞ」


「爆発させません。後ろへ燃焼ガスを出します」


「で?」


「前に進みます」


「弾が?」


「弾自身が、です。飛んでいる途中でも、弾自身が自分を押すんです」


「…………」


 説明を聞けば聞くほど妙な気持ちになった。


    ◇


 昭和六年。

 陸軍では、後にロケット兵器と呼ばれるものの研究が始まっていた。

 もっとも、最初から新しい兵器を作ろうという話ではない。

 問題になったのは、砲だった。

 三八式野砲。

 口径七十五粍。

 日露戦争末期にドイツから導入された砲をもとに、日本陸軍の主力野砲として長く使われてきた。(結局日露戦争には間に合わなかった)

 よくできた砲だった。

 その頃としてはそれなりに近代化されたもの、軽い、信頼性がある。しかし今となっては古い。

 (日本軍にとって、軽いことは正義だ)

 射程はおよそ八千米。

 外国では一万米級の野砲も珍しくなくなっていた。

 「砲を作り直しますか」

 もちろん新しい大砲を用意しようとした。けれど金がない日本陸軍は今使っている砲の改良に勤しんだ。(努しんだ、ではなく……)三八式野砲そのものにも改良は加えられた。砲架を改めるなど工夫を加えた結果として、射程も1万程度に伸びた。

 

 だが、砲そのものを改める以外に方法はないのか。

 「弾の方で、もう少し飛んでもらえませんかね」

 誰かが言った。

そしてロケット兵器の開発が始まった。しかしいきなり砲弾へ火薬を詰めて撃つわけにもいかない。もっと簡単なところから始めることになった。



 「これを作りました」


 研究員が持ってきたものを見て、将校は黙った。

 細長い金属の管。

 その下に、小さな車輪が四つ。車輪が牛乳瓶の蓋のように見えた。


「…………何だ、これは」

 玩具?

 ねぇ、小学生が夏休みの自由課題の時に作ったやつ?


「試験用です。燃やしたとき、どのくらい物を押すかを見ます」


 将校はもう一度それを見た。


「これが動くのか」


「そのはずです。で、これから確かめます」


 黒色火薬とパラフィンを細長い管に詰める。火を入れれば燃える。そして燃焼したガスを後ろへ出す。

 そうすれば、その反動として反対へと管が動く。

 理屈としては間違ってない。


 白い煙が噴き出した。

 四輪の小さな車体が震えた。

 ゆっくりと動いた。

 そして――

 走った。


 「走ったぞ!」


 研究員たちが追いかける。将校も追いかける。


「速い!」

「追え!」

「待て!」

「何です!」

「止め方は?」

「…………」


 誰も答えなかった。


 四輪の妙な車は、そのまま走っていった。

 その場のほとんどの人がついでに走ってた。


 笑い話のようだが、実験としてはそれでよかった。

 火薬は、砲身の中でなくても物を押す。

 それは分かっていたが、それを確かなものとした。

 では、どのくらい押すのか。

 どのくらいの時間、押し続けるのか。

 欲しくなったのは数字だった。


      ◇          ◇


 千葉県、富津射場。


 東京湾に面した広い射場へ、今度は細長い試験体が運び込まれた。


「これをどうする」


「埋めます」


「埋める?」


「はい」


 穴を掘った。

 試験体の噴口を上へ向ける。

 そのまま、全体のおよそ三分の二を地中へ埋めた。


「飛ばすんじゃないのか」


「飛ばしません」


「なぜ」


「燃える時間を測ります」


 飛ばすためではない。飛ばないようと埋めた。


「計測器は?」


 研究員が取り出した。

 ストップウォッチだった。

「燃焼時間は測れます」

 間違ってはいない。


 点火線を延ばす。

 研究員たちが離れた。


「準備よし!」


「点火!」


 火が入った。


 次の瞬間、地面から煙が噴き上がった。

 親指がストップウォッチを押した。

 煙が続く。

 やがて煙が弱くなる。

 止まった。

「何秒だ」

 数字を読み上げる。

 記録係が紙へ書いた。

 「もう一回」

 またしばらく冷ました弾体に粒状の火薬を詰める。また火を入れた。また測った。

「さっきと違います」

 数字を見せる。

「誤差じゃないのか」

「もう一本やります」

 そして、試験を重ねるほど、数字のばらつきが目につくようになった。


「同じ量なんだろう?」

研究員は、しぶしぶという感じで頷く。

「なら、なぜ違う」

 研究員は地面から掘り出された試験されていた弾体を見た。幾度かの試験、熱のせいか鉄の色が変わっていた。


「それを調べるのが、次です」


 黒色火薬は燃えた。

 毎回、同じようには押してくれない。


 そして実験体は「とりあえず」飛ばされた。東京湾へ。

 点火。煙が噴き出した。試験体が飛び出した。

 研究員たちが一斉に双眼鏡を上げる。


「あっちです!」


「どっちだ!」


「あっち!」


 飛んだ。

 それだけは間違いなかった。

 問題は、どこへ飛ぶかだった。


 その後も試験は続く。

 撃った。また撃った。火薬の量を変えた。弾体の形を変えた。噴口も変えた。風向を記録した。風速を測った。飛んだ距離を調べた。


 が、

 同じように作ったつもりでも、同じようには飛ばない。


 そして――森へ飛び込んだ。

「火が出てるぞ!」

「消せ!」

 研究員たちがバケツを片手に走った。(空のバケツで何をする?)


 別の日。

 また飛ばした。

 今度は民家の屋根を突き破った。


「人は?」


「無事だそうです」


「弾は?」


「居間にあります」


 研究員は帽子を被りなおした。


「謝ってきます」



 実験は続く。

 やがて、三八式野砲から実際に撃ち出す弾にも及んだ。

 砲身で加速する。砲口を出る。その後でもう一度、弾自身を押す。

 それができれば、古い三八式野砲でも射程を延ばせる。


 「射程は?」


 「伸びています。が、まだ…散布界が…」


 標的からかなり離れたところへ着弾した。


 「使えんのか? こんなん……」


 研究員は答えなかった。答えられなかった。

 飛ぶ。射程も伸びる。

 だが、当たらない。


 「もう一発………当たるまでとは言わん。せめて、どこへ行くか分かるまでだ」




 当たらない。


「原因は?」


 まず、弾体を疑った。重心の位置が悪いのではないか。

 そして噴出口を疑った。穴を広げた。狭めた。形を変えた。

 燃焼ガスが真っ直ぐ出ていないのではないか。



 ある日の試験には、研究所の上の方から将校が来た。


 試験記録を一通り見た。

 紙の上には数字が並んでいる。そして数字だけなら、研究が進んでいるようにも見えた。


「それで、いつ使える?」

「前線は待ってくれないんだ」


 研究員たちは誰も答えられなかった。

 着弾図を指さす。

「野砲の射程は伸びた。けれどこの命中率じゃあな」

「飛ぶだけなら鳥でも飛ぶ!」


 それは少し違う気もしたが、誰も言わなかった。

 しばらくして、一人が着弾図を拾った。


 「……鳥か」



 風を測った。地上の風だけではない。高度が変われば、風向も風速も変わる。飛んでいる間、弾はそのすべてを通っていく。気象資料を改めて集めた。射角ももちろん記録した。

 地球が回っている以上、長い距離を飛べばその影響も出る。


「コリオリの影響は?」


「この距離で、そこまで出ますかね」


「分からん」


「分からないから計算します」


 計算した。タイガー計算機がぐるぐると夜中の研究室で回された。そしてそれらしい数字は出た。だが、目の前の散布界を全部説明できるほどではなかった。



 また撃つ。分からないのならば、とりあえず試験の数を増やせば良い。(とても理系脳 ほめ言葉)


「……今のは良かったな」

「同じものをもう一発」

 撃つ。

「どこだ? どこ行った?」

 さっきと同じように作った………はずである。

 研究員が記録帳をめくる。


 同じ量の黒色火薬。

 同じように詰めたつもりのもの。

 それなのに、燃えている時間が違う。


 「燃え方が揃ってないのでは?」


 とりあえず検証のために使った(安いし…手軽だし…)はずの黒色火薬はなかなか同じようには燃えてくれなかった。


 もっと強い火薬が欲しいのではなかった。少なくとも今、一番欲しいものは違った。1発目と2発目で同じように燃える火薬。百本作れば、百本とも同じように弾を押してくれる火薬。

 それだった。




「うちだけでは無理です」


「ならば…」


 少し間があった。


「作っているところがあります」


 研究員は一枚の紙を取り出した。

 そこには、民間会社の名がいくつか書かれていた。


「まず、話を聞きに行きます」




いかがだったでしょうか?


実史にも野砲の射程を伸ばすためのロケット開発開始というのはありますし、四輪ロケット、埋め埋め弾体の話がありますので、ちょっとIF小説風にもりました。砲弾の方は多少散布界の問題もありましたが、結局採用前に終わってます。ドイツの技術とか、アメリカ兵器のリバースエンジニアリングで日本でロケット兵器ができたわけではありません。たいそう苦労してます。はい、まっすぐ飛ばすために………


ということで、次は火薬の話になるはずです。


下調べしてましたけれど………… 闇です。 整理できません。  昔(50年前 ?)の古本屋の倉庫みたいになってます。


  ちなみに、だれかポチん家の書庫を整理してくれませんか? マンガだけで5万冊はありますが………たぶん全部で7万冊?



次はまた一週間後です。


 ではでは。



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― 新着の感想 ―
一昨年にお気に入りを全消ししてしまうというアホな事をしてしまい また一から構築してたんですが、更新2年ぶりでご無沙汰しておりましたw 後で纏めてゆっくり読ませて頂きます。
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