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【連載版】加護なしの第八王女は、前世が社畜だったので王宮生活がイージーモードにしか見えない  作者: 茨木野


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139/141

139.


 妖精郷への調査部隊の編成、および行程表が、恐るべき速さで完成した。


 ティル、ピクシー、そしてマルコーをはじめとした若く実力のある兵士たち。

 引率には、Sランク冒険者のグレースが当たることになった。


 ティルは、ミシェルが嫌がらせでこんな無茶な任務を課したのだと思っていた。

 しかし実際には、今回の遠征が確実に成功するよう、ミシェルは周到な準備を整えていた。

 盤石な布陣に加え、補給路もしっかりと確保し、八宝斎の最新魔道具までも全員分用意していたのである。


「…………」


 ティルは机の上に山と積まれた書類の束を見つめ、小さくため息をついた。


「おや、どうしたんだ、ティル?」


「師匠~……」


 ティルはピクシーの小さな体に、ぎゅっと抱きついた。


「ティル、なんだか……ミシェル様に酷い態度を取ってしまったかなって……」


(妖精郷へ行くのが嫌になった、というわけではないのか)


 ピクシーは微笑みながら、弟子であり生徒の頭を撫でた。


「最初は、嫌がらせか、いじめで行かされるのかと思っていたんですぅ……」


「わからなくはないね。でも、わかったのだろう? 彼女の思いが」


 過剰とも言えるほどの準備。

 それは、誰一人として捨て駒にせず、全員を必ず死地から連れ帰るという、確固たる決意の表れだった。


 ティルが本物の愚か者であれば、その思いは正しく伝わらなかっただろう。


「はい……ティルのために、ここまでしてくださっていたんですぅ……」


(まったく、ミシェルの優しさは伝わりにくいものだからね……。それにしても、この子がちゃんと理解してくれる子でよかった)


 ミシェルの態度は、ともすれば威圧的に映ることもある。

 実際、そういった声も一部では上がっていた。


 しかし、ミシェルが見出し、集めた人材たちは、誰もが理解していた。

 彼女の不器用な優しさを。


「ティル……頑張りますぅ……」


「ああ、頑張ろうじゃないか。頑張り屋な皇妃様のいる、この国のために」


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