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【連載版】加護なしの第八王女は、前世が社畜だったので王宮生活がイージーモードにしか見えない  作者: 茨木野


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135/137

135.


 ティルはミシェルが居ない間の事務処理を行っていた。


 書類仕事をしながら、「ふひぃん……」と情けない声を上げる。


「どうしたの?」


 と一緒になって事務処理を行っていた、軍医フローラが訪ねる。


「作戦……失敗にならないかなぁって」


「いきなり不穏なこと言ってるじゃないわよ……」


「いや、だってぇ、やっぱり妖精郷へ赴くの怖いじゃないですかぁ~……」


 妖精郷には瘴気だけでなく、巨大虫が居る。

 いくら瘴気をどうにかできたところで、虫の脅威が消え去るわけではないのだ。


「てぃるに虫の餌になれっていうんですか、あの強面女っ!」


「いやでもほら、そうならないように対策とってくれてるじゃん。今も、八宝斎のとこいってるんでしょ?」


 八宝斎に魔道具を作ってもらうのも、ティル達の安全を確保するため。


「わかってますよっ。でも……でもぉ……こわいじゃーん。あーあー、勧誘失敗すればいいのに」


「あ……」


 フローラの顔色が青くなっていくことに、ティルは気づいていなかった。


「だいたい、あの人に勧誘とか無理ですよぉ。人のココロとかないんか? なんですから~」


「…………」


「あの人のほんっと怖いし、人使い荒いしあの人の本性を知ったら、八宝斎さんだって逃げてきますよねぇ?」


「…………」


「まあ別に悪い人じゃないし? 恩義も感じてますけど? でもそれ以上に馬車馬のごとく働かせるし、酷い人ですぅ。人でなしですぅ」


「…………」


 先ほどから、フローラが何も言ってくれなくなった。

 不思議に思って、背後を見やる。


「ただいま帰りましたよ、ティル」

「あ……」


 そこに居たのは、たった今悪口を言っていた相手、ミシェルその人だった。

 フローラはとばっちりを受けないように、そぉ……と部屋から退出。


 周りにはティルだけ。

 緩衝材である、カイウスもここにはいない。


 ガチャリ。

 ミシェルは鍵を閉める。


 ティルは、両手を挙げて天を仰いだのだった。

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