131.
ミシェルはピクシーのもとへ向かう。
ピクシーは設計図面を渡してきた。
「これでどうだろう? とりあえず、外から測定した瘴気を完全に中和できると思うんだけど……」
魔道具の設計図だ。
瘴気を取り込み、特殊なフィルターにかけて、有害毒素のみを取り除く。
仕組みとしては単純だ。
フィルターには術式が刻まれており、結界が発動。
毒成分だけを拒絶する。
「けどこれ、ほぼ机上の空論……というか、妄想の領域だよ。結界は、弾くものが高度であればあるほど、緻密な術式を組む必要がある」
人間を覆う服を作り、そこに術式を刻むことで、防護服にしようとしてる。
だが防護服の面積に対して、術式の面積はあまりに狭すぎるのだ。
例えるなら、米粒に写経するかのごとく、精密な術式を刻む必要がある。
「大丈夫、作れる人には当てがあるから」
「ああ、八宝斎か」
伝説の魔道具師、八宝斎。
以前カイウスの、知育玩具を作ってくれたことがある。
「そう。かの御仁なら、これくらいのむちゃくちゃな魔道具は作れる」
確かに、とピクシーはうなずく。
「あのね、ミシェル。八宝斎氏に作れる腕があることと、これを作ってくれるかどうかは、別問題だと思うんだけど」
「大丈夫」
「いや大丈夫って……何を根拠に……?」
「とにかく、この人は話を受けてくれる。問題ない」
そうかなぁ、と半信半疑なピクシーだった。




