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【連載版】加護なしの第八王女は、前世が社畜だったので王宮生活がイージーモードにしか見えない  作者: 茨木野


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101/139

100.

 最後の魔物が地に倒れ伏し、森に静寂が戻る。

 土煙と、ツンとした魔物の血の匂いが混ざり合って鼻を突いた。

 グレースは大剣を地面に突き立てると、大きく息を吐き出した。


「ふう……。どうにか終わったね」


 彼女が振り返ると、治療魔法を受けたマルコーの傷がすでに完全に塞がっているところであった。


「あんた、怪我はもう大丈夫かい」


「ええ、この通りです。お気遣い感謝します、レディ」


 またしても向けられた甘い言葉に、グレースはカァッと顔を赤くして目を泳がせる。

 グレースは巨体を縮こまらせ、自身の太い腕をモジモジと擦り合わせた。

 普段の豪快な彼女からは想像もつかない、ひどく乙女チックな仕草である。


「だから、レディっていうのは、その、やめなよっ」


「おや。貴女は女性ではないのでしょうか」


 マルコーが不思議そうに首を傾げると、グレースはさらに顔を真っ赤にして地団駄を踏んだ。

 ズシンと地面が重く揺れ、周囲の木々の葉がパラパラと落ちてくる。


「ああもう、そうだけどさっ。名前で呼べって言ってんだよっ」


 照れ隠しに声を荒らげるグレースに対し、マルコーは涼しい顔で優雅に微笑む。


「承知いたしました。では、グレース様、と」


「ひゃんっ」


 自身の名前を甘い声で呼ばれ、グレースは変な声を出して両手で顔を覆った。

 名前で呼ばれたら呼ばれたで、猛烈に照れてしまうのだ。

 彼女はそのまま膝から崩れ落ち、大きな背中を丸めて悶絶する。


「やっぱりそれも照れるから、やめなよぉっ」


「ははっ。これはまた、ひどく困ったレディですね」


 完全に恋する乙女の顔になってしまったグレースを見て、マルコーは愉快そうに肩を揺らした。

 圧倒的な腕力を持つSランカーの巨女は、一人のスマートな帝国軍人の前で、ただ顔を赤くして身悶えすることしかできなかった。


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― 新着の感想 ―
99/101:100話 100/101:99話 101/101:100話(101話) になっています。
100が2つ!? 100-2ってこと?
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