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連弾は二人でしか弾けませんので、亡き婚約者の兄君と組みます

作者:久遠ひばり
最新エピソード掲載日:2026/08/25
二人で弾く曲を、一人で弾かされました。

王立楽院の連弾席は、二人一組で生涯変わりません。低音側を務めるユーリカは、七歳から高音側のアルベルトと組み、彼と婚約もしていました。——半年前、彼が死ぬまでは。
追悼演奏の日。誰も止めないまま、ユーリカは二人用の曲を一人で弾き始めます。届かないはずの最後の四小節。そこで隣に人が座り、右側の鍵盤が鳴りました。
弾いたのは、アルベルトの双子の兄クレメンス。十年前に「弾かない」と決めて調律科へ移った人でした。
片翼では学年末の御前演奏に出られません。組み直すしかない。仮の対の期限は四十日。けれど彼の母は、生きている息子に死んだ息子の音を求めます。
わたくしは写しません。継ぎます。

※ざまぁはありません。喪失から始まる、静かな再起と恋の話です。第一部・全30話、ハッピーエンドまで書き上げてあります。
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