第2話:摩擦なき戦場とプロトコル
第2部:暗躍する企業と「プロトコル」
【1. 異変の追跡とプロトコル社の影】
重力反転や時間ループの現場から回収したスタックトレースを解析した蓮は、すべてのバグが単なる自然発生的な崩壊ではなく、意図的な「ルート権限の奪取試行」によって引き起こされていることを突き止める。そのアクセスログに残されていたシグネチャは、かつて自身が桐生惣一と共に開発した未完成のプロトコル『GENESIS』のものだった。
蓮とシエルは、不自然なデータ異常が集中するメガコーポレーション「プロトコル社」のデータセンター地区へと潜入を開始する。
【2. 桐生惣一との再会と「世界フォーマット計画」】
プロトコル社の高層タワー最上階。蓮の前に現れた桐生は、かつての友を冷ややかに迎え入れる。桐生は世界の壊滅を目論む狂人ではなく、極限の合理主義者として自らの計画を語る。
桐生の論理: 人類の歴史は戦争、災害、犯罪といった「不条理なバグ」の連続である。既存の世界を修復し続けるのは無駄であり、一度すべてを「フォーマット(初期化)」した上で、人間の愚かな感情や不確定要素を排除した完璧なディストピア的秩序世界を再構築する。
蓮の反論: 悲しみや不条理が存在するからこそ人間の意志や選択には価値がある。完全なシステムは世界ではなくただの箱庭に過ぎない。
対話は破綻し、桐生はプロトコル社の私設セキュリティ部隊「デバッガー」と特異プログラムの起動を命じる。
【3. 極限のコード・バトル(現実改変戦闘)】
敵はコンパイラ端末を駆使し、物理法則そのものを武器として襲い掛かる。蓮は天才的なリバースエンジニアリング能力で即座に対抗パッチを記述し、極限のスピードバトルを展開する。
摩擦ゼロプログラム(friction = 0):
敵の攻撃: 床全体の摩擦係数を瞬時にゼロへ書き換え、蓮たちの態勢を崩して滑落させようとする。
蓮のカウンター: 空間の空気抵抗率を極小範囲で高密度化(air_density *= 100)し、空気の粘性を足場代わりにするパッチコードを実行して体制を立て直す。
空間圧縮コード(spatial_compress()):
敵の攻撃: 蓮の周囲の空間座標を物理的に圧縮し、圧死させようとする。
蓮のカウンター: 空間の次元数定義に介入し、直前に折りたたまれた3次元空間を一時的に4次元的な幾何学構造へと展開・迂回(dimension_shift())させることで圧縮波を回避する。
【4. 「NULL化」の前兆と第3部への架け橋】
シエルの演算サポートと蓮の即興コード記述により、プロトコル社の第一防衛線を破ることに成功する。しかし、桐生はすでに世界規模でのフォーマットプロセスを開始していた。
タワーの外では、空の一部が巨大なバイナリコード(0と1の幾何学模様)に塗りつぶされ始め、物質のテクスチャが失われた透明な「NULL領域」が街を侵食し始める。世界全体の「NULL化(無への還元)」が秒読み段階に入ったことを知った蓮とシエルは、世界の根幹データベース「ルートディレクトリ」への直接アクセスを試みるため、システムの最深部へと足を踏み入れる。




