9話 騎士団の内情
ーー騎士の宿場、大食堂にて
『ムシャムシャ』
「うーん、美味い!どの料理も素晴らしいな!」
サイとの決闘を終えた俺(聖剣)は、食堂へと戻り食事を再開していた。
しかもさっきよりもだいぶ速いペースで。
もっと丁寧に食べてくれよ……。
「くはっ……」
「サイ、大丈夫か?」
「お、おう……」
俺(聖剣)の正面には、先ほど戦ったサイが座っていた。
まだ腹を押さえてるあたり、相当重い一撃だったんだろうなぁ。
すまんなサイよ、この身体の真の持ち主は争うつもりはなかったとだけ伝えさせてくれ。
「ねぇ貴方って何者なわけ?」
「む、俺のことか?」
「そうそう貴方、サイは一応うちの騎士団では腕の立つ方だからさ、そのサイがまったく歯が立たないなんて正直信じられなくてさ」
俺(聖剣)にそう訊ねて来たのは、同じテーブルに座る赤髪ツインテールが印象的なもう一人の女性だった。
「むっははは、あやつが腕の立つ方か!ならばこの騎士団は相当に弱いな」
『……』
聖剣のその言葉により、静まり返る食堂。
誰も反論しないあたり、心当たりがあるようだな。
つか、また変な事言いやがったなこの馬鹿聖剣。
「なんだ心当たりがあるようだな、その感じだと大方、魔族の軍に毎度してやられているのだろう」
『……』
またもや聖剣の言葉により黙り込んでしまう食堂の面々。
てか、俺らのテーブルだけじゃなくこの食堂にいる全員が心なしか俯いてる気がするんだが……。
「その通りよメイナード、私たちはこの5年ほど魔族の侵攻を止められてない、現に今、私たちのいるこの城塞都市アープルは、本来ならこの辺境地アズルの3番目の都市よ」
「ほう3番目か、つまりここが事実上の最後の砦ということか?」
「……その通りよ」
し、知らなかったここが1番の都市じゃなかったのか。
てか3番目って、2番目ですら無いのかよ。
「その反応だと、また侵攻があるのだな」
「3日後だ、魔族の軍が今ここを目指して進軍している、その数1万」
「こちらはどのくらいおるのだ?」
「2000ほどよ」
「ほう、絶望的な差じゃな」
『ムシャリ』
そう言うと俺(聖剣)は、持っていた骨付き肉に齧りついた。
「言うなよそんなこと、勝つかもしれねぇじゃんかよ!」
サイはそう言って俺(聖剣)を睨みつける。
「無理じゃな、ほぼ確実にここは落ちる」
「くっ……」
聖剣の言葉に悔しそうに唇を噛むサイ。
言い返してこないあたり、自覚があるのだろう自分達では侵攻を止められないと。
「そう辛い顔をするな、飯の礼じゃ助けてやるよ」
『え?』
「だから助けてやるって言ってんだよこの大英雄メイナード様がな」
『ムシャリ』
俺(聖剣)はそう話すとまた骨付き肉にかぶりつくのだった。
いやいや倒すってお前なぁ、相手は1万の魔族の軍だぞ!
"案ずるな勝てるさ、まぁでもちょうどいい試練だし使い手様がやってみるのも良いかもな"
え?
いやいや俺には無理だって。
"ふはははは、誰しも最初はそう言うさね、力はあるんだし示せよ使い手様よ"
そ、そんなぁ~。




