8話 辺境騎士団
ーー騎士の宿場、大食堂にて
「お、ニーナがきたぞ!」
ニーナに連れられて俺達は騎士の宿場にある大食堂に来ていた。
おそらくニーナの知り合いであろう男性剣士が、こちらに手を振ってきていた。
あいつのいる机、何だか人が多いな。
見た感じ男1人に女2人といったところか。
聖剣のやつ変な事言わないといいんだけど……。
「おお待たせたなお主達よ」
『ドカッ』
俺(聖剣)は、デカい態度でそう言うとドカッと椅子に腰掛けた。
お、おい馬鹿野郎!
それが遅れて来たやつの態度かよぉ。
「えっとニーナ、こいつが噂の新人か?」
「ええそうよ、私の幼馴染なの」
「へ、へぇ幼馴染かぁ」
疑心の目を向けるおそらく俺と同じ騎士団の同胞達。
そりゃそうだよ、遅れてきてその態度だもん。
てか……。
「お、上手いなこの肉!おいもっと持ってこい!」
もう食ってるし~。
「おいこいつ、色々舐めてねぇか」
男の1人がそう言って俺(聖剣)を睨みつける。
「や、やめなよサイ、この人も悪気はなさそうなんだし」
「うるせぇぞアリス悪気がどうとかじゃねぇ、新人の態度の問題だと言いたいんだ俺は!」
うん正論。
間違いなく正論だよ。
もっと言ってやってくれ。
「うるせぇぞ馬鹿、早く食わねぇとお主の分も頂いてしまうぞ?」
『ムシャッ』
「て、テメェ……いい加減にしろよぉ」
『カチャッ』
そう言って男は、腰に携えている剣に手を置いた。
ひ、ひぃぃ怖いよぉ。
「む、やる気か小僧?」
「何が小僧だ、お前の方が俺より歳下だろ!」
「歳下か、さてどうだろうな」
「何だよ精神年齢は上だって言いてぇのかよ」
「まぁまぁ落ち着け小僧よ、言葉よりもこれ(剣)で語るほうが良いだろ?」
『チャキッ』
俺(聖剣)は、背中の聖剣を指さしてそう話す。
おいおいゆっくり飯食うだけだろ!
何してんだよ馬鹿野郎……。
ーー騎士の宿場、外にて
野外に出るとニーナから木剣を渡された。
「はいコレ!」
「何だよ真剣じゃねぇのかよ」
「当たり前でしょ私達は味方なのよ、なんで仲間同士で真剣で斬り合うのさ」
至極当然なことを述べるニーナ。
何一つとして間違った事は言っていないが、多分だけどその理屈、こいつ(聖剣)には通じないぞ。
「いやいや味方同士なら尚更真剣じゃろ」
「は?」
「まぁ良い、今日のところはこいつ(木剣)でやってやるよ」
『クルクル』
俺(聖剣)は、ニーナから貰った木剣をクルクル回しながら相手のサイという男の元へ歩いていった。
「おい新入り、そういえばお前の名前をまだ聞いてなかったな教えろよ」
「大英雄メイナードじゃ」
「ぷはっ、何だよそれ名前に自分で大英雄って」
「事実なんだじゃからいいだろ別に」
『スッ』
そう言って俺(聖剣)は木剣を構えた。
「お前、俺の名前は聞かねぇのかよ」
「これから切る相手の事なんぞ興味ねぇ」
「か、カッコいい……」
聖剣のその言葉を聞いて、先ほどのアリスという銀髪の少女が小さくそう呟いた
「おいアリスお前、どっちの味方だよ!」
「い、いや別にサイの味方ってわけでもないし……」
そう言って目を背けるアリス。
「へいへいそうかよ」
「おいお前、さっさと剣を構えてくれんかのぉ」
聖剣は気怠げにそう訊ねる。
「わわ、わかってるよ馬鹿野郎」
慌てた様子で剣を構えるサイ。
おいおい本当に始める気かよ。
「じゃあ私が始めの合図をしますね」
「おう!」
「頼むぜニーナ」
『スッ』
2人からの同意を得られたニーナは、静かに右手を上げる。
『シャッ』
「はじめ!」
『パァン』
「ぐはっ」
ニーナが手を振り下ろした瞬間と同時に、サイの腹にぶち込まれる木剣。
負けるわけないと思ってたけど、まさかこんなあっさり勝つとはな。
「え、サイ?」
一瞬で気を失うサイを見て驚くニーナ。
そして騎士の宿場から出て来た他の野次馬騎士達も、俺(聖剣)の信じられない剣速に驚いていた。
「おい、終わったから飯に戻るなぁ、ニーナ姫も後から来いよ~」
そう言って俺(聖剣)は、騎士の宿場の中へ帰って行くのだった。




