10話 固有スキル"星剣"シリーズ
ーーその日の深夜、騎士の宿場近くの森にて
「おい聖剣!どうすんだよ」
『なにがじゃ?』
「何って魔族の軍にについてだよ!」
とぼける聖剣に俺はそう叫んだ。
こいつが食堂で言ってた話が本当なら、もうじき魔族がここに来る。
そんなの絶対にまずい。
てか、父さんはこんな危ないところに俺を送り込んでたのか。
本当に見放された気がして、切なくなるよまったく。
『ああ来るぞ、大方魔族軍の30位まである幹部の誰かが率いてくるだろうな』
聖剣はそう得意げに話す。
魔族軍については、アズールの家にいた時少しだけ勉強している。
1番上に魔王がいて、その次に宰相が2人、そしてその下に幹部が30人いるらしい。
つか幹部がここに来るのかよ、絶対負けるじゃんかよ。
ここ100年、人類が魔族の幹部に勝った記録はない。
故に幹部が来るという事は、敗北確定ということにもなるのだ。
『なぁに、安心せい使い手様よお主が私の固有スキルを使えるようになれば、下位程度の幹部なら倒せるはずじゃよ』
「いやいやそれができないから、無理って言ってるんだろ」
『やる前から諦めるな使い手様よ、お前ならできるはずじゃよ』
そう話す聖剣。
なんだ、なんでこいつは俺にそこまで期待してくれるんだ?
「なぁ聖剣よ、どうしてあんたは俺にそんな期待を持ってくれるんだ?」
『期待ではなく事実なのだよ、まぁ言っても伝わらんだろうから、持って来た木剣であの木を切ってみろ使い手様よ』
『ギシッ』
そう言われた俺は宿場から持って来た木剣を力強く掴んだ。
『前も言ったが、お主の膂力は最上位スキル"辺境聖騎士"により格段に上がっておる、まずはその力を体感してみるがよい』
「膂力が上がってるねぇ、でもどうせそんなの少しだろ」
俺はそうぼやきつつも木剣を構えて、目の前の木に向けた。
まぁたぶん無理だろうけどやってみるか。
剣術とか久しぶりだなぁ、昔は兄さん達に教えてもらったけか。
『スッ』
俺は肩に木剣を置きそのまま、目の前の木へと走った。
『バシュッ』
勢いよく蹴り出した地面から想像よりも強い反発があり、その力でグンッと俺の身体が進んでいく。
え、こんなに早く動いたつもりないのに。
『どうやら感じてるようだな、己の身体に起きた超強化を』
「ちょちょ、速すぎるって!」
『ズバァン』
俺はその速さのまま目の前の木に木剣を叩き込んだ。
メキメキと音を立てて、木剣が当たったところから折れていく木の感触が剣を持っている手に伝わる。
なんだこれ、木剣ってこんなに強かったのか?
『最上位スキル"辺境聖騎士"は、常時解放型のスキルであり所有者の肉体を極限までに鍛え上げる……だけではない、その手に持つあらゆる剣を名剣へと変えるのだ』
「……すげぇなこれ」
俺の目の前には木剣により曲がって変形した木があった。
「こんなの木剣のできることを超えてるよ」
『これでわかったと思うが、昨晩私がお主の身体でやった事は大抵使い手様にもできる』
「な、なるほど」
『しかし、使い手様と私の決定的な違いは固有スキルにある』
「固有スキル……」
『良いか使い手様よ、魔族の軍を退けるためには固有スキル、特に星の名を冠する私の最強の固有スキル"星剣"シリーズ習得せねばならん』
星剣シリーズ、もしかしてそれって一度にゴブリンを50体以上も葬ったあのスキルの事か?
確かにあれが使えれば、魔族の軍相手にも勝ち目が見えるけど、俺にあれが使えるようになるのかな。
「星剣シリーズ……」
『もちろんいきなりの習得は厳しい、故に段階を踏む』
「段階?」
『うむ、使い手様にはまず"星の番人"シリーズである"南十字星"と"北十字星"を学んでもらう』
「ほ、ほう」
木剣で木を切れたときから感じているのだが、なんだか今の俺、生まれて初めての自信に満ちている気がする。
やれる!今の俺ならその"星の番人"シリーズも習得できる気がするぞ!




